彼氏がいればすべて解決すると思ってた

タイトルのとおりである。
わたしは、今でこそ既婚者だが
彼氏がいればすべて解決すると思っていた。

だから、友達の言う「最近彼氏がさ〜」系の愚痴を聞くたび、マジで、いや、彼氏いるんでしょ?いいじゃんそれだけで。何を病んでいる??となっていた。わたしには1ミリも理解する気がない、というか、理解できない世界だった。

自分のことを絶対的に好きでいてくれて、かつ、彼氏がいるという称号を得ている圧倒的勝ち組である、という事実だけで一生困らんだろ、と思っていた。

しかし、大学1年の6月、そんなわたしにも彼氏ができる。
特に好きな人がいたわけではないが、告白されたので、とりあえず付き合った。
それが今の旦那である。

まず、先述のとおり、わたしは「彼氏がいればすべて解決する」と思っていた。
だから、彼氏ができた、というか、付き合うことになった次の日は、もう授業中、彼のことで頭がいっぱいだった。

人生で一度も彼氏ができたことがなかったということもあり、簡単に言うと、まあめちゃくちゃ舞い上がっていた。
クソつまんない栄養学の講義中90分間、大袈裟では無く、本当に90分間、「彼氏ができた」ということしか考えていなかった。

え、待って、嘘でしょ、彼氏できたんだけど、え、いいの?てか、え?あの人を恋愛対象に見れるのかな?ちょっと待って、え、付き合ったってことはこれから色んなことするわけでしょ、あれもするしこれもするでしょ、え、あの人と?いや、ないわ、ないけど、いや、え、やるんだよね、え、どうしよう、とりあえず脱毛行かなきゃ

この思考の反芻。
大変失礼ながら、元々彼のことは恋愛対象として見たことがなかったので、そもそもそこがいけるのか?という気持ちと、あまりにも突然彼氏ができたので脳が追いつかなかったのと、彼氏ってほんとにできるんだ…という、ツチノコに出会ったみたいな気持ちでいっぱいだった。

付き合うことになった次の日くらい、電話で「付き合ったはいいけど、これからどうしようか」という話になった。
確かに、付き合うって何をすればいいんだろうか。
学生同士とかならなんか、遊んだり、、遊んだり、、、、まあとにかく遊ぶじゃん。
当時わたし18歳で、大学生。一人暮らし。
それに対し当時彼は29歳一人暮らしで、普通に働いている社会人だった。
10個も下の10代の女に手を出したその彼氏どうなん???って話はほんとにもう、その通りですので、まあ結局結婚しましたので、置いておいて頂いて。
しかも彼は、わたしの家からそこそこ遠い、他県に住んでいる人だった。
そこで彼は、「金曜に仕事が終わったらまいかの家に行って、そのまま泊まって、土日を一緒に過ごす」という提案をしてきた。
正直「?!!?!?」という感じの提案である。
そんな秒速でお泊まりする?!
そもそも今まで、彼とは1対1で会ったり話したりしたこともほとんどないのだ。
いきなり…お泊まりデート……?
いや、でもわたしが彼氏いなかったからわかんないだけかな…
わたしが18歳だから考えすぎなのかな…?いや相手29歳だしな…大人の恋愛ってそれが普通なのかな…きっとそうだ
と、今考えると絶対に違うのに、わたしはその提案をいとも簡単に飲んだ。

そしていよいよわたしは、「彼氏がいる生活」を送り始める。
月〜木までは普通の女子大生。
ただ金曜日だけは、ほぼ「主婦」になるのである。
普段マトモな食事・料理をしていないわたしだったが、1週間のうち、この日だけは、講義中クックパッドを読み漁り、大学からの帰り道、スーパーに寄って、夜ご飯に使う食材を買って帰る。

そして帰るや否や急いで夕飯作りに取り掛かる。
彼が来るのは20時〜21時頃だったので、何もそんなに焦らなくていいのだが、いかんせんわたしは料理初心者なので、失敗した時のことも考えて、早めに完成させるのである。
彼は大食いなので、おかずをいくら用意しても足りなくて、毎回毎回どんどんおかずを増やした。ほんとに、成長期の息子をもつ親の気分でしかなかった。

作り終わると、爆速で部屋の掃除をする。と言っても掃除機をかける程度だが、これは絶対に怠ってはいけない。

掃除を済ますと次は爆速でお風呂に入る。
先述の通り彼は20時〜21時と遅い時間に来るので、わたしは先にお風呂を済ませておいた方がさっさと寝られるのである。
と、いうのもあるし、毛を、毛を剃らないといけないというのがいちばんだったので、早くお風呂に入って、ありとあらゆる毛を剃った。

この一連の流れを毎週やっていた。
今思うと、マジでよくやってたな…と思う。
今は結婚して3年目だが、わたしは料理もしなければ掃除もしないし、毛なんてどっかオシャレ着で出かける時にしか剃らない。

長くなったが、本題に入る。
「彼氏がいればすべて解決する」。
お察しの通りだろうが、結論から言うと、それはバツ!!である。まったくの嘘である。

むしろ彼氏がいた方が辛かった。
単純にそういう日々の生活への気配り(ご飯作ったり毛剃ったり)が大変だったということもあるが
わたしは当たり前にメンヘラだったので、
毎日している寝落ち通話が、かかってこないと、それだけで不安で死にそうになったし
全然仲は良かったが、常に、いつ捨てられるのだろうか…と思いながら生活していて、なんとなく辛かった。

それでも彼は、愛に飢えているわたしにたくさんの愛をくれた。
初めて抱きしめられた時は、わたしってこんなに愛されていいのかなって、大泣きした。

「彼氏がいればすべて解決する」。
それは、愛されてさえいればいいじゃん、愛された経験がある、それだけでなんでも乗り越えられるじゃん、っていう、わたしの気持ちが生み出した勝手すぎる予想に過ぎなかった。

人間、欲深いもので
愛だけが欲しくて欲しくて仕方ないわたしに、彼氏がちゃんと愛を与えてくれて、
それだけでわたしの夢は叶えられたはずなのに
次は、その愛がちゃんと本物じゃないと嫌だ。
本物なのか?違うのか?確かめたくて、疑って、
そんな日々を過ごしてしまっていた。

友人たちの言っていた、「彼氏の愚痴」とかも、そういう「疑い」の気持ちを孕んでいるものだったのだろう。
いや、この世の彼氏の愚痴全てがそうとは思わないけれど
少なくともわたしの周りにいる友人たちは、わたしと同じような子ばかりだった。

わたしは結婚したいという気持ちがあった。
結婚して、子供を産む。そういう、「普通の幸せ」が欲しかった。
わたしは普通じゃないから。せめて、普通の幸せを手に入れて、「わたし普通じゃないのに幸せになったぞ!」って、世界に言ってやりたかった。

でも、わたしの彼氏は結婚願望がなかった。
だから、それもわたしを不安にさせた。
話していても、わたしとの将来なんてまるで考えていないようなことを言ったりして
わたしはこの人といて幸せになれるのか?と、何度も思った。

思った。けど、
ある日のこと。
わたしが過呼吸を起こして、彼氏に救急に運んでもらったことがあった。
精神がぶっ壊れている人間であったため、特に病気とかではなかったのだが、
病院が!わたしを!帰してくれなかったのだ。
当時わたしは19歳。で、ギリ18歳ではなく20歳成人の代だったので、
未成年は保護者へ連絡しないと帰せません、と言われた。
「この人(彼氏)じゃだめなんですか?」と言うと、
「ご結婚されていませんよね?親族ではないのでちょっと…」
みたいなことを言われた。

わたしは両親と不仲、ではないが、家庭環境のいざこざで一人暮らしを始めた人間だったので
頑なに拒否した。
けど、あっちも、だいぶねばる。
けど、これだけは絶対譲らねえ!と、「無理です」を貫くわたし。
貫き続けた結果、あっちが折れて、わたしは無事に帰ることができたのだが

それで、結婚した方が便利だね…となり、
あとはまあ、わたしが「いつ別れるんだろう」と不安定になるから早く結婚したい、という気持ちがあったため、
プロポーズとかなんかいい感じのことは特になかったが、結婚した。

あんまり特別じゃなかったな。
婚姻届を出しに行ったことすらもあまり覚えていない。

わたしは19歳で結婚、と、若かったこともあり、成人式の後の同窓会なんかでは、「なんで結婚したの?!」「どうやって結婚したの?!」と聞かれまくった。
が、ほんとうに、結婚なんて、別に何もすごいことじゃないのだ。

世の中の「結婚」に対するハードルってなんでそんなに高いの?と思わされることが多い。
わたしは、結婚なんて別にそんな深く考えずにしちゃっていい派だ。(他にどんな「派」があるのかわからないが)
結婚して、不便だな〜と感じることはない。

ただ、わたしが機能不全家庭育ちだったからか
世界でいちばん好きな人と家族になった、という事実をたまに思い出して、すごく幸せな気分になるときがある。
目が覚めたとき、隣に旦那がいて
仕事で出かけても、絶対にここに旦那は帰ってきてくれる
それがとっても安心する。嬉しい。
ただ、関係ないが、この前病院の問診票で、ほぼ無意識的に、旧姓で名前を書いてしまったのが、なんというか気持ち悪くて、19年間の慣れってグロいなと思った。もう結婚して3年目なのに。

世の中はみんな働いている。
女も男も。だから、結婚するのに、多分お金のこととかを考えて躊躇ったりしてるのかなと、思う。
あと、子どものこと考えたり。して。

わたしたちは結婚したくて、した。
結婚してから、わたしの病状は悪くなった。
旦那は正社員だったけど、仕事を辞めて。
その後旦那と一緒にホテルの清掃員をしたり
わたしはアパレル店員をしたり
色々したけど、続かず
1年間くらい、どちらも全く働かずに
YouTubeを見たりゲームをしたりして夜を明かして
朝になったら安いモーニングを食べに行く
そんな生活を送っていた時期もあった。

その後旦那はパートで働き始めて、今も働いている。
わたしの希望で、不妊治療をしていた時期もあった。
お金なんてないのに。
結局、体外受精以外に道はなくなって
諦めた。
けど、それも無駄じゃなかったなって思う。

わたしたちは普通じゃない。
だから、家族になれた。
できないことがたくさんある。でも、やりたいことをやる。
普通じゃないから、お金もないけど
わたしは、これ以上にない幸せな人生を生きていると思う。

「彼氏がいればすべて解決する」は、嘘です。
多分だけど、
「家族と呼びたいと思える人がいればすべて解決する」
です。

当たり前だけどね!

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