ヨウカイ

お風呂から上がって鏡見て、あれわたしこんな変な顔してたっけって思う時間がいちばん悲しい
わたしはそんなのあったことないけど、たまに来る友達が言う。
化粧水塗る時間だけは自分と向き合わなくちゃいけなくって、自分を見つめないといけなくって
そんな時間だから、自分が壊れないように、自分を崩しちゃわないように、いい曲を聴くんだって
辛いときに何度も聴いてきたあの曲とか、何度も一緒に泣いてきたあの曲とか
でもそのときの、自分を見つめてるわたしの、そう見つめながら顔に化粧水塗ってる、わたしの気持ちに合う曲なんてなくって
結局何も聴かずにいる。

何処かで鳴っているサイレン。救急車。
ああこれが今日のBGMかって、やっぱりわたしには合わないなって、寂しくなる。

だいすきな曲をだいすきだって言えない
だいすきはひとりでいる時にしか聴けない。
だって今こんなこと考えてるんだあの人のこと嫌いなんだってバレちゃうでしょ

知ってもらえるんだからいいじゃん、わかってもらえてお得じゃんって友達は言うけど
わたしはわたししかいないからさ
わたしをわかってるのはわたしだけで十分なの

二重整形するときかけてもらった笑気麻酔
「お酒飲んだ時みたいな感じでちょっとふらふらします」って言われた、わたし未成年。
そんな感覚わかんねえよって
でも知ってた。この感覚、抗不安薬たくさん飲んだときの感覚だ

結局わたしはひとりなんだよ
誰とも繋がれない、混ざり合えない
それがこの世界の当たり前なのかもしれない
けど、そんなのが当たり前の世界なら、わたしは死にたい
ひとりで愛してひとりで背負って生きていかなきゃいけないならわたしは死を選ぶ
わたしひとりで愛せるほどわたしは可愛くないし
わたしひとりで背負えるほどわたしは軽くないから

誰かわたしを見つけてよ
誰かわたしを愛して
わたしを恋でいっぱいにして
それでわたしとひとつになって、おんぶして天国まで運んでよ

今日も心を殺しに行く
大嫌いな人のインスタチェックして大嫌いな笑顔目に焼き付けて焼かれて燃えて灰になる
自傷行為
気持ちいい

でも今日は見れない
この指が動かない
怖い、きっとわたし怖い
これ以上火傷したらもう女の子として生きていけないんじゃないか
これ以上傷がついたら人の形保っていられないんじゃないかって

こんな顔じゃ生きていけないこんな心じゃ生きていけないこの気持ちは本物なの
でもこんなこともう何回思った？

恋人失格なんて思わないよ
これ以上可愛いわたしがどこにいると思う？

わたしはいないほうが良かったかもしれないね
ごめんね