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三度目の逢瀬(3)

「唯ちゃんの、好きなことしようか」と言われて、期待に満ちた目をしていたと思う。おずおずと、四つん這いになって彼に後ろから犯して貰えるように準備をすると「何も言ってないのに、これが好きなんだ?」と少し嘲笑うように言う。私が好きな体位を知ってる癖に、そうやって口に出す彼は本当に意地悪で、大好きだ。

お尻を突き出して、彼に差し出すと指を挿し込まれる。彼そのものを期待していたのに、指じゃ刺激が足りなくて、挿れて欲しいと、はしたない言葉でねだる。「よく言えました」と一度パチンとお尻を叩いてから、再び硬いものが入ってくる。後背位で足首を持たれて、身動きが取れない中、繰り返される規則的な刺激に耐えきれずにずっとびくびくと痙攣を繰り返す。

動きが少し穏やかになったかと思うと、少しずつ私が立てていた膝を崩してくる。私が一番好きで、彼にされると何の抵抗もできなくなる体位。

寝バック自体はもともと大好きな体位なのだけれど、彼にされるのが一番弱い。奥深くまで刺さって、呻き声しか出せなくなる。中の気持ちいい場所に当たる、とかそんな次元でなくて全部が気持ち良すぎて困ってしまう。「俺のじゃなきゃ満足出来なくなって?」に「もうなってる、なってる」って髪を振り乱して叫ぶくらいには、彼の与えてくれる感覚に染まっている。彼が動いていなくても、挿れているだけでずっと達してしまうし、呼吸する余裕がなくなるくらいに乱れてしまう。ここまでぴったり嵌るような感覚は、過去にないから、もしなにか関係に変化があって身体を重ねなくなっても今後ずっと忘れられないだろうな、と思う。

この時、息も絶え絶えになるくらい喘いで、ずっと達している私の首を軽く絞めようと、彼の手や腕が触れるのが愛しくてたまらなかった。普段、首絞めをしない彼が試行錯誤してくれているのが嬉しくて、身体も反応してしまう。私の身体にびくんと強い反応が返ってきた時は絞め過ぎたかな、と緩めてくれたり加減をしてくれているのが分かって嬉しい。でも、痛いとか苦しいじゃなくて、それは気持ちよかっただけで本当は「もっとして」って言いたかったよ?喋ることなんて、出来なかったけれど。

最中、喘ぎすぎてひどい顔をしていたと思う。そんな時「俺以外にこんな顔見せちゃダメ」なんて言われて、嬉しかった。でも、こんなに髪を振り乱して涎まみれになって恍惚の表情を浮かべている状態になんて、そうそうなれない。だから、安心して?と思いながら「見せない、こんなのにならない」って喚いた。そんな言葉を声に出したら、自分の状況を自覚させられてまた悦くなってしまって「入っているだけなのに、なんで、わかんない、わかんない」と我を忘れて叫びながら身を捩った。そして、身を捩ったせいで中が擦れてまた達してしまった。

彼が少し心配した顔で、ゆっくり引き抜いて、正常位に返される。さすがに達しすぎて、私も酸欠になっている。ぼんやりした頭で彼にしがみついて唇を乞う。彼の唾液を貰って、ごくりと飲み込むのが幸せだ。くれる度、ぞくぞくする。正常位で、また奥まで突かれて、繰り返し達する。もう、ずっと頭の中が真っ白だ。彼の名前を何度も呼んで、縋る。愛しくて、もっと欲しくて、もっとひとつになりたくて。

しばらくそのまま求め合ったが、すっかり二人して息が上がっていた。一旦、休憩することにする。ずっと動いている彼の負担が大きいだろうと思うし、仕事上がりに更なる肉体労働を課してしまった気がしてならないが、私の求めるものを与えようとしてくれる彼が、ひどく愛しい。

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