諦めろ、私。
好きすぎて別れたいと思ったのは初めてだ。
彼のことよりも自分の気持ちを優先したくなって、彼の望まない言葉を浴びせて困らせて、最終的には傷つけてしまいそうで。
付き合う前、自制のために刺した釘を自ら引き抜くなんて格好悪いことするくらいなら、ちゃんとけじめをつけなきゃ、って思う。
思うのに、な。
彼には、きちんと隣に座っている人。自分がそこには座ることがないのは、当たり前のことだ。それでいい。
いま彼が大事にしているものに比べたら、私なんてお遊びでしかないし、むしろお遊びであるべきだ。比較するのもおこがましいくらいの重さを、歴史を、私はよく知っているだろう。
だから、これは戯れだ。愛してるや好きが楽しくて幸せなのも、そのせいだ。きらきらして眩しいのも日常じゃなく非日常のせいだ。
非日常にいる私なんて選択肢は存在しない。それが当たり前と飲み込み直すんだ。いや、選んでもらえないんじゃない、選択肢の中にそもそもないんだ。
ほらほら。諦めて、泣いていないで早く寝なさいね。私。
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