三度目の逢瀬(4)
ふたりとも完全に息が上がっていた。私はきちんと話すことも出来ないくらいに全く余裕がない。自らの呼吸をゆっくりと整えながら、寝そべる彼の肩に寄り添う。感度が上がったままだから、ちょっと触れられるだけで身体がびくんと反応してしまって恥ずかしくなる。何度も、何度もついばむようなキスをして、舌を絡めるだけで身体はびくびくと震えて、甘い声が漏れる。
彼がたくさん気持ち良くしてくれたから、何かお返しをしたい。本当はローションを持ってくるつもりだったのに、朝にバタバタして、うっかり持参しそこねてしまった。次に持っておいでね、と優しく声を掛けられて、うん。と返事をして、また彼ときつく抱き締め合う。ああ、また次があるんだな、次も会いたいなって思ってくれてるんだなと思って嬉しくなったのは、ここだけの余談としておく。
寝そべっている彼を攻めたくなって、弄られるのが好きな乳首を指先で転がしたり、つまんだりしつつ、彼そのものを口に含む。大きすぎて、奥までうまく頬張れないし、歯が当たらないよう細心の注意をしながら、喉奥まで埋めていく。喉奥から分泌される粘度の高い唾液で、彼のものを覆って、手で彼を覆って扱いていく。扱きながら、乳首を舐めると段々息が荒くなって来るのが嬉しくて、規則的に扱き続ける。彼が攻める時には、ひたすら屈してしまったけれど、今、この時ばかりは彼がとても可愛くて仕方ない。
彼が限界を迎えて、口の中に精を吐き出した瞬間、その量に少し驚く。私は我慢できず自慰をしてしまったけれど、彼はきちんと我慢していたのが分かる量だった。ぞくぞくしながら、それを喉を鳴らして飲み込んだ、後味の苦さに少し笑ったけれど、その体液がどうにも愛しくて仕方なかった。
しばらくそのままくっついて、ふたりとも事後の気怠い身体をベッドに預けつつ、襲い来る眠気に抗う。彼がお風呂に湯を溜めに行ってくれたから、その間、ずっとぼんやりとした頭で「気持ちよかったなあ」とか「やっぱり寝バックをされると私なにも出来なくなる」とか「騎乗位、あんなはずでは」などと一人反省会をしていた。
水分を補給して、戻ってきた彼と雑談。ちょっとした話も、穏やかにゆったりとできる相手は良いなあと思う。行為の最中の話だとか、私が今日濡れなかったらどうしようと不安に思っていた気持ちだとか、素直に話せた。うん、うん、と優しい相槌を打ってよしよしと撫でてくれる彼に心から安心した。
湯船にお湯が溜まったら、ふたりでくっついて温まってから、帰宅の準備。帰るのが寂しいけれど、与えて貰った快感と、たくさん「好き」って交わした安心感から心も身体も満たされた。手を繋いで、駅に向かって、私のホームの階段下まで見送ってくれた。ずっと見えなくなるまで、こちらを見てくれてた彼に、安堵と、愛情を感じつつ、幸せな気持ちで帰宅した。
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