マガジン

  • 創作

    短歌と小説

最近の記事

感情だけが

思い出の本を買った。3日ほど前のことだ。 中学生の時に図書館で借りたティーン向けの小説。1、2回読んだだけなのでもうほとんど内容は覚えていない。記憶の端に追いやられつつあった本を、再び手に取りたくなった。別にあの頃に戻りたいとかじゃない。ちょっと思い出してみたくなっただけ。あの頃の感性はもうどこにもないし、二度と戻らないものだ。けれどあの頃わたしはこれを読んで何を感じていたのかを知りたい。そして、今のわたしはこれを読んでどんな感想を持つのか、何を思い出すのか知りたかった。

    • 浮かんでは沈む。移ろいでは見えなくなる。

      聞く度に胸が苦しくなる音楽がある。遠いところに置き去りにしたはずの記憶を強制的に呼び覚まし、塞いだはずの過去の中に引きずり込んでしまうほどの力がある。気軽には聞けない曲のはずなのに、たまに無意識にその曲を選んでしまう。目に見えない形で自分で自分に傷をつけてしまう。 日々を退屈を感じるとnoteを書きたくなる。文章にすればある程度この生活を昇華できる気がして、期待してついアプリを開いてしまう。だけど書いても書いても書き続けても、赤黒く濁った感情の処理の方法はわからないままだ。

      • 壊す

        7月、気づけば日は随分と長くなっていた。19時過ぎとは思えないほど明るい。ホームのベンチに座り、ふぅっと息をついた。今日は本当に長い1日だ。 ムワッとした嫌な湿気が全身にまとわりついてくる。スーツなので余計に暑い。手持ち扇風機で対抗しながら、走り去る快速をぼんやりと眺めた。 現在転職活動中。先日初めて書類通過のメールが届いた。 あんなに転職したいと喚いていたのに、いざ書類が通ると不安が一気に押し寄せてきた。息が詰まり冷や汗が背中を流れる。 どうしよう、書類通っちゃった。面接

        • 見えなくてもわからなくても

          社会人になって三度目の春がやってきた。桜はもうほとんど散ってしまっているし気温もイマイチ安定しないしやたら雨が多い。今まででいちばんとっ散らかった春。 漠然と思い描いていた社会人3年目の姿と職場のトイレの鏡に映る自分は驚くほどかけ離れていた。もう少しキリッとした顔つきになると思ってたのに、バリバリ仕事ができて尊敬されるような社会人に多少は近づけると思っていたのに。20歳になって数ヶ月経つけど、未だなにひとつ大人になれない自分に愕然とするばかりだ。 この間の日曜日、高校の友達

        マガジン

        • 創作
          4本

        記事

          19歳、思想を綴る。

          言葉というものに、書くことに、伝えることに真剣に向き合うようになったのは未明という名前でTwitterをやるようになってからだった。 元々文章を書くのは好きだった。小学3年生の時に担任に作文を褒められ、初めて自分の得意分野を見つけた。本好きが高じて中学生になった頃から拙いながらもいくつか小説も書くようになった。高校生になって未明という名前でTwitterやnoteをやるようになり、そこから言葉だったり伝えることの意味だったりをちゃんと考えるようになった。短歌を詠んだり、誰かの

          19歳、思想を綴る。

          自傷行為、自称恋

          はっきり言ってバカだと思う。 わざわざお金と有給を使って、会いたくない人達に会いに行こうとしている。正確には会いたくない人達の中にいるたった一人に会おうとしている。また同じように傷つけられて大切なものをバカにされてあの頃の自分に戻ってしまうかもしれない、フラッシュバックみたいなことが起きてしまうかもしれない。そんなリスクを冒してでも、どうしても会いたい人がいる。 この99に1が勝つの、地球上に存在する何かしらの法則に反しているんじゃなかろうか。おかしい、絶対におかしい。 成

          自傷行為、自称恋

          冬がはじまるよ

          日が落ちるのが少しずつ早くなり、薄手の長袖でも心許なく感じるようになりました。皆様いかがお過ごしですか。 * だんだんと冬が近づいてきて、また考えることが増えてきた。もう会えない友達のこととか、10代がもうすぐ終わることとか、成人式がめちゃくちゃ怖いこととか、ずっと続くと思ってた幸せは本当は永遠なんかじゃなくて何かの拍子であっという間に崩れ落ちてしまうこととか、忘れるとか忘れないとか。 19歳になってやっとわたしはわたしを大切にできるようになってきた気がする。遅いよ、な

          冬がはじまるよ

          こうなりたいって思ってた。

          中学2年生が終わる頃、「クラスメイトを褒めちぎろう!」と書かれたプリントが配られたことがある。 そこにはクラス全員の名前が書かれており、線で区切られたスペースにそれぞれの良いところや素敵なところを書きましょう、というものだった。ふざけるなとしか思えなかった。 褒めたいところなんてない。素敵だなと思える箇所なんてない。一年間苦しかったのは紛れもなく周りにいるコイツらのせいなのに、最後の最後にこんな苦行を強いられるなんて思ってもいなかった。もちろん全員が全員嫌な奴というわけではな

          こうなりたいって思ってた。

          余白

          中学を卒業してからの4年間は、簡単に言えば伏線回収の連続だった。伏線という言い方は少し違うかもしれない。夢だったり、憧れだったり、やりたいことだったり。それらをひたすら形にしていった4年間だった。 友達と一緒にお弁当を食べること、放課後に友達と寄り道をすること、学校行事を全力で楽しむこと、毎日どうでもいい話をしながら過ごすこと、好きなものを好きと言うこと、何も考えずに無邪気にはしゃいでお腹がよじれるくらい笑うこと、文章をたくさん書くこと、ライブに行くこと、言葉を集めること、憧

          日記(2023/05/08〜2023/05/15)

          5月8日(月) 今日はヒトカラしてきた。6時間くらい歌う予定だったけど4時間しか時間取れなかった。かなし。 5月9日(火) ライブ円盤をフラゲしたから今日はずっとそれ見てた。ドキュメンタリーも全部見た。最後の方にわたしが参戦した公演の映像が入ってて奇声をあげてしまった。初参戦だった事もあってこのツアーから未だに抜け出せずにいる。早く次の現場が欲しい。 そしてついに旅行前日だから荷物の最終チェックした!完璧!大丈夫! 5月10日(水) 今これは新幹線の中で書いている。新幹線

          日記(2023/05/08〜2023/05/15)

          日記(2023/05/01〜2023/05/07)

          5月1日(月) 退勤した!今ベッドの上でクーリッシュ片手にこれ書いてます。なにも考えなくていいの幸せすぎる。楽しいことだけで頭の中いっぱいにしたい。 休みは明日からだけど、家に帰るまでが遠足という言葉があるように退勤してからがお休みという認識でもいいでしょう!定時前退勤って本当に気持ちいい。 この2週間のことを考えるだけで楽しいけど、とりあえず明日は1日部屋の片付けに充てようと思う。部屋片付けないとなんもできないからなるべく最初の方に終わらせておきたい。がんばる! 5月2日

          日記(2023/05/01〜2023/05/07)

          卒業アルバム

          「さきちゃんの同級生イケメン過ぎない!?!?」 『いやほんとこれマスクの下もイケメンだからwwwww』 「羨ましい〜!!わたしの会社の同期くん、今まで出会った中でいちばんカッコいいからお顔見せたいんだけど写真ないんだよなぁ」 『同期さん今度盗撮お願いします』 「おっけーwww今度機会あったらこっそり撮るわ。あ、でも同期くんと出会う前までずっと1位だった人のなら写真あるよ」 『見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい

          卒業アルバム

          明るくて、

          18時なのに空はまだ明るかった。 突き刺すような強い光に涙がにじむ。思わずぎゅっと目を閉じた。 赤いまぶたの裏で思いをめぐらせる。浮かんだのはふぉろわーのこと。 * ふぉろわーとの繋がりは全部、奇跡と偶然の積み重ねで生まれた縁だと思っている 住んでるところも性格も価値観も全部違う。現実世界だけでは交わることもなかったような人たちとこうして今繋がれている。みんな優しくて素敵な人たちばかりだ。本当に恵まれてる。 ふぉろわーの転生垢にフォローされたり、しばらく見ないなって思っ

          明るくて、

          モンエナ

          今日の朝、家を出る直前にプルタブを引きちぎった。ビビットピンクが手の中で転がる。 昨日、帰りにコンビニに寄ってピンモンを買った。モンエナ自体恐らく高2以来でピンクは初めてだった。 久々に飲んだ「本物の」エナドリは甘酸っぱくて美味しかった。社会人になってからよくエナドリは飲むようになったけれど、大半が会社の自販機で買える100円のエナドリ「もどき」ばかりだった為、「本物」による強めの刺激が舌と脳に心地よく刺さった。 高校生の時からカフェイン常習犯だった。日付が変わるような時間

          モンエナ

          希死念慮と春

          あー、早いとこ自殺したいな。 いつも思う。特に3月に入ってから。 やりたい事もあるし行きたい場所もあるし会いたい人だっていっぱいいる。なのに希死念慮を口の中で転がすのをやめられない。わからない。 未来に希望が持てない。転職して一人暮らしするのが今のわたしの人生のゴールだ。結婚願望はないけれど、一生を労働のみに費やす未来も想像し難い。猫を飼いたいと思ったこともあるけれど、自分のことですら手が回りきってないのに動物の世話なんかできるわけないと一瞬で霧散した。子どもなんてもってのほ

          希死念慮と春

          忘れたくないけど

          もうすぐ3月がやってくる。「上書きしたくないからもう来なくていい」と18のわたしが拒否した3月が。一年、あっという間だ。 恐ろしいほど綺麗に片付けられた自室に差し込む夜明け。こたつの上にはカラになったマグカップに開かれたままのノートとシャーペン。死ぬなら今だな、なんて思いながらTwitterの更新音のみが静かに響き渡る午前五時。確かこの後コンビニに行って、定期として使っていた交通系ICカードの残高をゼロにしたっけ。17歳と18歳の狭間で揺れて、泣いて、死にたいばかりを繰り返

          忘れたくないけど