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病院大国と医局の未来

医局は大学病院に所属する医師の職位・学位・研究・臨床・人事の全てを掌握する世界に類を見ない日本固有の制度である。 医局の歴史を遡ると、元々は明治時代にドイツ式医学を輸入した際に講座制を敷いたことに端を発し、戦前に学位規則の改正により教授に博士号授与権が与えられ、昭和後期には医師の人事権さえも掌握したという数奇な歴史を辿っている。 日本の医療制度とともに発展した医局は、現在においても所属する医師の勤務先を教授の一任で決められる人事権を持ち、医師の専門的訓練・研究の場を牛耳って

    • Good Capital, Bad Capital & Web 3

      Clayton Christensen writes in his now classic book "How to Measure your Life", of "Good capital" and "Bad capital". Good capital understands the inherent uncertainty accompanied with business ventures and patiently waits while management fi

      • The Bundling & Un-bundling of Healthcare

        When we think of modern healthcare, we think of massive hospital complexes resembling cities, worked by thousands of people in white coats. Modern tertiary acute care hospitals are the epitome of "bundled" healthcare. These state-of-the-art

        • 医師の仕事はCreativeなのか、それともOperationalなのか

          まず初めに、ソフトウェアエンジニアに関するビル・ゲイツの有名な発言を引用したい: "A great lathe operator commands several times the wage of an average lathe operator, but a great writer of software code is worth 10,000 times the price of an average software writer." (「素晴らしい旋盤(=

          Thank You & Farewell, Ubie Inc.

          さて、初めて退職エントリーを書きますがどこから始めましょうか。初期臨床研修医に就職してからもしばらく仕事を続けていてたので、どこかのタイミングで3年働いたUbie株式会社とは区切りをつける必要がありました。今がその時のようです。 つらつらと書くだけではつまらないので尊敬してやまないPeter Thielの名言とともにお届けしてみようと思います: 会社との出会い“Recruiting should never be outsourced. Everyone at your

          Thank You & Farewell, Ubie Inc.

          プロフェッショナルユーザー向けの開発

          「最良の開発は開発をしないこと」“The best code is no code at all." - Jeff Altwood 私たちが普段使うウェブサービスはとても使い勝手がよく、それで持って画一的である。Twitterの画面には10個程度のボタンしかなく、そのうちユーザーがよく使うのは5個程度。画面の構成も全世界1.8億人のユーザーで全く同じだ。「最良の開発は開発をしないこと」と言われるようにモダンな開発チームは極力機能を削り、贅肉を落とし、持ってコードをシンプルに

          プロフェッショナルユーザー向けの開発

          The Agile Cult

          The modern startup scene is dominated by small scrum teams that work on weekly, sometimes even hourly, customer-development feedback loops, strictly sticking to a "lean" diet of "MVPs". These teams follow what is known as "Agile" developmen

          The Agile Cult

          市場と海について

          私たちは否応なく市場の中で生きている。市場で生まれ市場で生き市場で人生を終える。それなのに市場についてその本質を知る手がかりは少なくとも義務教育や高等教育の中には存在しない。 別に市場について何も知らなくとも私たちは生きていける。そのことを現代社会は様々な社会機構を通じて保証してくれている(これを救命胴衣と呼ぼう)。市場という海で溺れることはまずない。普通に生きていればそこそこの生活を得られるように私たちはお膳立てされているわけだ。 しかし市場の正常な状態、異常な状態、な

          市場と海について

          ナイフで大動脈を刺されたらどうなるのか?:『ジョン・ウィック2』のワンシーンを医学文献から検証

          ネットフリックスで映画『ジョン・ウィック2』を観ていたら、医学生とし気になるシーンがありました。 主人公ジョンが電車内で悪役の暗殺者に見つかり、列車内で双方抜刀し激しい切り合いの後、ジョンが悪役の胸部にナイフを突き立てるシーンです。 ジョンがナイフを強引に押し込む様子から、胸骨を貫通して刺さっていると思われます。 悪役は力を失い、電車の椅子に座り込んでしまいます。 大動脈・心臓への損傷による急激な血圧低下からでしょうか。 「ナイフは大動脈に刺さっている。抜けば死ぬぞ

          ナイフで大動脈を刺されたらどうなるのか?:『ジョン・ウィック2』のワンシーンを医学文献から検証

          【一部事前公開】『医療とデザインの接点』

          Designship 2020で登壇します! こんにちは、Ubie株式会社でプロダクト開発・デザインをやってる大木です(Twitter) 実は明日に迫ったDesignship 2020に公募スピーカーとして登壇することになっています。 登壇時間は25日(日)14:10-14:30 テーマは「医療とデザインの接点」 医療従事者として未知の世界だったプロダクトデザインに踏み込んだ経緯、そこで得た経験をお話する予定です。 本番の前に一部だけこのnoteに事前公開します。

          【一部事前公開】『医療とデザインの接点』

          GPT-3に新聞寄稿を書かせたら

          英国Guardian紙がOpenAI社が開発した最先端の自然言語処理モデルGPT-3にOp-Ed(寄稿)を書かせた、という記事があったので読んでみました。 自然言語モデルが書いたものとは思えない、圧倒的な文章力でした。映画並、と言いたいところですがこの文章力はHAL-3000でも持ち合わせていない気がします。 日本語の解説記事がなさそうだったのでDeepLで原文を翻訳した後、校閲して全文を日本語訳しました。 自然言語モデルが出力した文章を機械翻訳にかけて、最後に人間が校

          GPT-3に新聞寄稿を書かせたら

          USMLE不要派が勉強してみて思ったこと

          こんにちは、都内で医学生をしているしょうへいです。 (ツイッターアカウント) ザッと自己紹介をすると、今は医学部6年生。幼少期はアメリカに10年住んでいて、中高大は日本です。帰国子女なので当然のように「海外留学興味あるでしょ?」と聞かれ続けましたが、具体的に長期の海外臨床留学に興味が湧いたのは大学のプログラムで実際に臨床留学に行ってみてから、と割と最近です(2020年2月にワシントン大学医学部付属病院で臨床実習しました。後日詳細に)。それまではと言うもの、自分は海外臨床留学、

          USMLE不要派が勉強してみて思ったこと

          医用画像AIの実力は?世界初のメタアナリシスから読み解く

          この記事の目的と背景医療現場での深層学習(Deep Learning)の活用はここ数年、急速に進歩しています。 個別事例の報告は多くありますが、深層学習、特に画像領域の深層学習、の医療現場での実用性・実力を網羅的に調べた文献(メタアナリシスやシステマティックレビュー)は限られていました。 ここで、Lancet Digitalに掲載された世界初の医用画像AIのメタアナリシスを要約してご紹介したいと思います。 メタアナリシスは、既存文献を網羅的に探索しその断面での科学的エビデンス

          医用画像AIの実力は?世界初のメタアナリシスから読み解く

          「AIに代替される」論の問題点

          医療に関わっていると、最近嫌という程こういう話を聞きます。 「〜科はAIに取って代わられる」 「〜科はAI化される。だけど外科(⬅︎謎の自信)は大丈夫だ」 この論調は多くの場合他愛もないですが、今から医療を志す者にとっては先輩たる医師や教授がこのような話をすることは真剣な問題です。この論調を真に受けて、興味のある仕事を敢えて避ける人も出て来るでしょう。「〜がAIに代替される」が本当に正しければ、良いの 1. 焦点が広すぎる「(職業名)がAIに代替される」という命題につ

          「AIに代替される」論の問題点

          病院はどう運営されているのか:アメリカ編

          「病院ってどう経営されてるんだっけ?」 「海外だとどう経営されてるんだ?」 ある日ふと疑問に思いました。そこでこの記事をメモ代わりにまとめてみました。 病院経営をちゃんと紐解いて見るとなかなかに興味深いです。 病院の大分類、“For-Profit” か “Not-for-Profit” か (病院経営別分類、American Hospital Association, HPより) 米国には6,210の総合病院がありますが、連邦政府等の病院を除く5,262病院は大きく2

          病院はどう運営されているのか:アメリカ編

          こんなに違う、日米の医療現場

          先日、Pennsylvania州にあるThomas Jefferson University Sidney Kimmel Medical Schoolに2週間のエクスターンシップに行き、臨床実習を行なってきました。Thomas Jefferson大学病院は全米でも有数の大病院で、ペンシルベニア州の医療の中心を担っている大学病院です。 日本の医療現場しか知らない私から見てびっくりする違いがたくさんあったので簡単にnoteにまとめて見ました。日米の医療現場の違いに興味がある人は

          こんなに違う、日米の医療現場