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白拍子のドジっ子ねーちゃん
ドジっ子なのに剣舞だけは得意な白拍子のねーちゃん。無自覚ながらアメノウズメの寵を得ており、ただの人間でありながら舞の奉納によって場を浄め陽の気で満たし神々の権能を強めることができる。そして神々は見返りとして、権能の一端を加護(バフ)という形で貸し与える。しかも舞そのものが古流武術から派生したもの(受け流す系の武術)であり、また「舞」(ぶ)は武に通じるため、ねーちゃんにとって戦いも舞の演目のひとつ。
つまりーー戦闘中のねーちゃんはバッファー兼アタッカー。防御力では紙だけど回避率(受け流す)と加護(バリア)という点ではタンクを兼ねることもあるバランス型。しかも長時間舞い続けるだけの体力は高いので、元敵なパーティーからは「容易く手折れそうで斃せない」(=ただひたすら面倒くさい)と言われる。
このねーちゃんがいる世界は陽と陰の気を魔力として術(魔法)を発動する世界。主に陽の気が魔力であり、陰の気はその際発生する合成物質的なもの。酸素と二酸化炭素みたいなもので、陰陽の気は自然循環するが、陰の気が陽の気へと自然循環するには倍以上の時間がかかる。しかも陰から陽への循環方法は確立されていないため、いかに陽の気を節約し陰の気を抑えるかというコスパが風潮として強い。
その中で陰から陽への循環の方法として確立したもののひとつが巫女や白拍子による舞の奉納。
舞を奉納することで神々の権能を強め、自然循環を促進することができる。
ただし巫女は仕える神の領域(神域)以外では奉納の効果はなく、また神域内であっても御祓や祝詞の奏上など大がかりな手順が必要。対して白拍子は特定の神に仕える巫女とは違い、必要に合わせた神へと舞を奉納するため神域である必要がない。ただし神によって奉じられる舞を合わせ、御祓や祝詞もすべて基本自分一人で行わなければならないーーそのすべてを満たすのが斎宮(この世界では国の神事一切を取り仕切る一族)の白拍子である。斎宮は幼い子どもであっても舞や雅楽、祝詞を叩き込まれているので、斎宮の白拍子が一人いれば術のコスパはあってないようなものにできる。当然斎宮の白拍子は天上人、市井の目に付くような機会は国の神事くらいしかない。