【雑記】SHE'S THE ONEを深掘りしたい【MONSTA X/歌詞】
MONSTA X初の英語アルバムで名盤と名高い'All about Luv'。メンバー達も太鼓判を押すこのアルバムの収録曲の中でも、今日は7曲目を飾るトラック"SHE'S THE ONE"の歌詞について深掘りしたいと思いしばらく放置されていたブログを開きました。サウンドだけでも美しいこの曲ですが、歌詞を眺めると様々な発見があるものです。そこで今回はこの歌詞の解釈について私なりの“仮説“を書いていこうと思います。一行ずつ訳していくというよりは、気になる部分をピックアップしてこういう解釈もできるんじゃないか?ということを書いていくつもりです。まず歌詞の全文を引用します。
【歌詞全文】
①君のためなら100万曲だって
まず冒頭の"She’s the one, got me all messed up(彼女こそその人、僕をめちゃくちゃにした人)"に続く歌詞"I could write a million songs, but I know it’s not enough"です。直訳すると"100万曲書けるけど、それが十分じゃないって知っている"となります。"million"というのはあくまでも"すごく沢山"ということを表す誇張表現であり、"could"という仮定法を用いていることからも"(実際に作曲するっていう訳ではないけど)君を思う気持ちで100万曲くらい書けてしまいそう!"という意味合いが取れます。それでは"十分じゃない"とはどういうことなのでしょうか?100万曲でもまだ足りないくらい想いが大きいということでしょうか?この部分はもう少し先で明らかになります。
②まだ伝えていない想い
美しくて聡明な"彼女"のことを100万曲も書けそうなほど思い慕っている"僕"ですが、実は"But I just haven’t told her yet, no, I just haven’t told her(でも僕はまだ彼女に言っていない)"なのです。つまり"僕"は"彼女"のことが好きで好きでもうめちゃくちゃになっているというのに、"彼女"本人はその想いをまだ知らないという訳です。ここでこの曲が片思いを歌った曲であることが分かります。ここまではよくありそうなラブソングですね。
③薔薇のプレゼント、パリへの旅行…
"僕"の密かな恋心を知らない"彼女"に対して歌詞はこう続きます。"I’ma buy a rose, a dozen roses / Fly her on a one day trip to Paris(僕は1ダースの薔薇を買う、彼女をパリへ一日旅行に連れていく)"。頭の中ではあらゆる方法で"彼女"への愛を表現しているけど、実際は"But I just haven’t told her yet, no, I just haven’t told her(でも僕はまだ彼女に言っていない)"わけです。あるいは彼女のために曲が書けると言っているので、歌の中ではこんなこともできるのに(歌詞にはいくらでも書けるのに)現実では何もできないという意味にも取れます。
余談ですがこの"one day trip to Paris"を"one WAY trip to Paris(パリへの片道旅行)"と空耳して「どうして彼女をパリに置いていくの…?」と言っている人がいてめっちゃウケました。ちなみにこの曲の"僕"がアメリカ人なのか韓国人なのか分かりませんが、Google先生によるとNYからパリまで飛行機で7時間半、ソウル発ではなんと13時間半というフライト時間を要するそうです。韓国から行く場合は最低でも3泊くらいはしたいところですね。余談でした。
④彼女はまだ知らないから
"彼女"への思いを募らせるあまり膝は震えるし酔いはすぐ回るし夜は眠ることも夢を見ることもできない、文字通りめちゃくちゃな"僕"はサビでも"彼女"のために100万曲書けると歌います。でもやっぱりそれは"十分じゃない"のですが、ここでその理由が分かります。それは"‘Cause she probably doesn’t even know this song’s about her(彼女はこの曲が自分のことだってきっと知らないから)"なのです。つまり"十分じゃない"というのは曲数が不足しているという意味ではなく、"どれだけ曲の中で彼女への想いを伝えたところでそれが彼女のことだと分からなければ意味がない(足りない)"ということなのです。
⑤"袖のハート"
朝起きると"彼女"のことを考えて、本当は一日の終わりに今日一日どうだったかと"彼女"に聞きたいけどやっぱり想いをまだ伝えられていない"僕"。ここで気になる表現が出てきます。それは"Rolling down my sleeve and you’ll see my heart on it(袖を捲り下ろすとそこにハートが見える)"というものです。一見何のことだか分かりませんが、これは"wear my heart on my sleeves"をもじった表現と考えられます。"wear my heart on my sleeves"というのは直訳すると"袖にハートを身に付ける"となりますが、"心の内を明かす"という意味の慣用表現です。(中世の騎士が愛する婦人のハンカチを鎧の袖に巻いたことに由来するんだとか。)
では"Rolling down my sleeve and you’ll see my heart on it"がどういう意味になるかというと、"袖が捲ってあって見えないけれど僕は自分の気持ちを打ち明けている"ということです。つまり"僕の想いを知らない彼女は気付いていないけど、本当は曲の中で君への気持ちを明かしているんだよ"と言っているのです。シャツの袖一枚隔てたすぐそこに"僕"の気持ちはあるのに"彼女"には見えないんです。なぜなら"彼女"はそれが自分についての歌だと知らないから……。
⑦"この曲"ってどの曲?
"彼女"が自分について歌われた曲だということに気付かないまま曲は終わりを迎えます。ちなみに"‘Cause she probably doesn’t even know this song’s about her"という何度も登場する歌詞の"this song"って単純に考えれば"100万曲くらい書けそう〜"と言っているその曲のことだと思うのですが、これって"SHE'S THE ONE"という曲そのものとも捉えられませんか?つまり"今僕がこうやって君への想いを歌っている間にも君は自分のことだって気付いていないんだ"というような"メタい"解釈ができてしまうという訳です。これってちょっと面白くないですか?まだ気付かれていない恋心を歌という形で表現しているけどその主人公はまさに"彼女"その人、だから"SHE'S THE ONE"なんですね。
いかがでしょうか?
以上は私の解釈に過ぎません。もちろん違う解釈もありえますし、作詞家の意図とは異なるものかもしれません。ですので楽しい読みもの程度に、軽い気持ちで読んでいただければ幸いです。それではまた。
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