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小説のあらすじを作るため、GoogleのAI「Gemini」と打ち合わせをしてみた

自身初の長編一次創作小説である『はなり亭で会いましょう』
2020年の文学フリマ京都で本にして発表し、2025年で初版発行5周年を迎えます。

話は完結したのですが、思い入れある作品なのでまだまだ推していきたいですし、もっと読まれて欲しい。
なので、あらすじを見直すことにしました。

とはいえ、自分の頭だけで考えてもどうして良いか分からず……

よし、こんなときは、最新テクノロジーを活用しようじゃないか!

そんなわけで、GoogleのAI「Gemini」に相談してみました。


まずは何に悩み、何をしてほしいか尋ねる

まずは、何がしたいのか、悩んでいるのはどんなことなのかを問いかけました。

自分の書いた小説をアピールするため、読みたくなる「あらすじ」の書き方に悩んでいます。
どのような内容を盛り込めば良いでしょうか?

Geminiは、あらすじに盛り込むべき内容として、以下の事柄を回答し……

物語の核心を簡潔に伝える
・主人公は誰で、どんな状況にいるのか
・物語の主な出来事や問題
・物語の結末(ネタバレしすぎない程度に)
読者の興味を引く要素
・意外性のある設定や展開
・魅力的なキャラクター
・共感できるテーマ
・読者の心に響く言葉
作品の雰囲気やジャンル
・ファンタジー、ミステリー、恋愛など、作品のジャンル
・物語のトーン(明るい、暗い、コミカルなど)
読者が得られるもの
・読後感(感動、興奮、爽快感など)
・読者に与える影響

同時に、注意点も回答……

ネタバレしすぎない
・物語の面白さは、読者が自ら発見する喜びにあります。
・結末をすべて明かしてしまうと、読者の好奇心をそそることができません。
具体的に描写する
・抽象的な表現ではなく、具体的な言葉で描写することで、読者の想像力を刺激します。
読者の視点に立つ
・読者はどんな情報を知りたいのか、どんな言葉に惹かれるのかを意識しましょう。
文字数に合わせる
・あらすじの掲載媒体によって、文字数に制限がある場合があります。
・読者が飽きずに読めるように、簡潔にまとめることが大切です。

そして、書き方のコツも答えてくれました。

起承転結を意識する
・物語の始まり、展開、クライマックス、結末の4つの要素を盛り込むことで、わかりやすいあらすじになります。
魅力的な言葉を選ぶ
・読者の心に響く言葉を選ぶことで、より効果的に作品をアピールできます。
複数人に読んでもらう
・客観的な意見をもらうことで、より良いあらすじに仕上げることができます。

最後に、参考記事として自費出版比較ナビの「小説応募時に役に立つ!あらすじの書き方」と、三百枚書けるようになるお得な「小説の書き方」コラムの「今より読まれるあらすじの書き方」(カクヨム)を紹介してくれました。
(この2記事の内容を再構築して回答しているのかな?)

なるほど、なるほど……

うん、まぁ、分かっているんだよ。
でも実際、自分の書いた「あらすじ」が、それでいいのか悪いのか判断つかないんだよ……

あらすじの例を作ってもらう

とりあえず、主人公の設定と舞台、どんな内容なのかをザックリ伝えてみたところ、あらすじの例を3つ出してもらえました。

例1:日常のオアシスを求めて
「仕事に追われ、人間関係にも疲れて、今日もまたひとり居酒屋へ。アラサーOLの絢子は、カウンターで冷酒を傾け、つまみを味わいながら、穏やかな時間を過ごす。そんな彼女の前に現れたのは、アルバイトを始めたばかりの大学生、涼花。料理への情熱とひたむきな姿に、絢子はかつての自分を重ねる。異なる世代の二人が織りなす、日常のささやかな物語。」

あ~……なかなか良い感じ?
でも、作中で涼花が調理するシーン、ほとんどないんだよね。
てか、絢子は何で自分と涼花を重ねるの?w
異なる世代の二人が~……っていう表現は良いかも!

例2:食卓から生まれる友情
「仕事も恋愛も上手くいかず、行きつけの居酒屋でひとり酒を飲むのが日課の絢子。ある日、アルバイトの涼花と出会う。日本酒好きの涼花との会話を通して、絢子は食の世界の奥深さを知る。仕事で疲れた日も、美味しい料理と酒があれば乗り越えられる。二人は食を介して、友情を育んでいく。」

いや、あの、出会った時点の涼花はまだ19歳なので……
のちのち、涼花も日本酒を好きになっていく展開ですけれども!
あと、友情を育んでいく……のか?w
まぁ、話が進むにつれて、二人の交流も深まっていくのは確かなんだけれど……
ちょっと、ツッコミどころの多い例でしたね。

例3:味と人生、そして成長
「都会の喧騒を離れ、小さな居酒屋で静かに酒を飲む。アラサーOLの絢子は、仕事に追われ、自分を見失いかけていた。そんな彼女に、若きアルバイトの涼花が元気をもたらす。日本酒を飲みながら、二人は人生について語り合う。食を通して、二人は自分自身と向き合い、成長していく。」

絢子、自分を見失っていたんか……
って、この書き方だと、ヤケ酒あおってるみたいじゃない?w
そんで、日本酒を飲みながら人生を語り合うって……急に距離詰まりすぎてないですかwww
これもちょっと、ツッコミどころが多い感じですね……。

うーん、提示した情報が偏っていたかもしれません!
キーとなる居酒屋の名称「はなり亭」を伝えていなかったし、絢子と涼花をつなぐ人物となる、御厨のこともあらすじに盛り込みたいですね!

そんなわけで、AIに追加情報を提示し、あらたに3つのあらすじ例を出してもらいました。

例1:心の拠り所
「仕事に追われる日々を送るアラサーOL、重森絢子は、ある小さな居酒屋『はなり亭』を心の拠り所にしていた。物腰柔らかな店主、御厨喜孝が作る滋味深い料理と温かいおもてなしは、彼女の疲れた心を癒やしてくれる。そんなある日、アルバイトを始めた大学生、渡辺涼花との出会いが、絢子の日常に彩りを添える。」

おー、なかなか良い感じがしますね!
涼花との関係性に関する部分は改良の余地ありですが、しっくりきます。

例2:食卓に集う人々
「古民家を改装した居酒屋『はなり亭』。店主の御厨喜孝が腕を振るう料理は、常連客の心を掴んで離さない。仕事に疲れたアラサーOLの絢子は、そんな『はなり亭』で、自分だけの時間を過ごすのが日課。ある日、アルバイトの涼花と出会い、二人の間には不思議な友情が芽生える。カウンター越しに交わされる会話、そして、食卓を囲む人々の笑顔。それは、都会の喧騒を忘れさせてくれる、温かい光のようなものだった。」

そうかー、はなり亭って、古民家を改装した店舗だったのか。
知らなかったなー……
カウンター越しの会話とか、温かい光とかの表現は良い感じなのですけれど、この例では絢子と涼花に友情を育ませたい方針なんですかね。

例3:味と人情、そして成長
「老舗の居酒屋『はなり亭』。その味を守り続けるのは、店主の御厨喜孝。仕事に追われる日々を送るアラサーOLの絢子は、そんな『はなり亭』で、自分を見つめ直す。アルバイトの涼花との出会いを通して、絢子は食の世界の奥深さを知る。そして、御厨の作る料理から、人生の喜びや悲しみを学び、成長していく。」

へー、はなり亭って老舗だったんですね。
初耳です……。

現在記載している「あらすじ」を添削してもらう

ちなみに、現在『はなり亭で会いましょう1』に記載しているあらすじは以下の通りです。

食道楽・飲み道楽なお一人様・重森絢子は、今日も自宅近くの居心地の良い居酒屋・はなり亭に行く。
職場の後輩に辟易し、複雑な感情が入り交じる相手との接し方に心を悩ませ、窮屈な電車通勤に疲れた彼女を癒すのは、美味しい料理と美味しい日本酒。
そして、優しい言葉をかけてくれる店主・御厨喜孝の存在だった。
また、ひょんなことから、はなり亭でアルバイトを始めた大学生・渡辺涼花は、客である絢子に憧れの気持ちを抱く。

はなり亭で会いましょう1 記載のあらすじ

うん、だいたい盛り込むべき要素は入っています。
主人公のこと、はなり亭がどんな場所なのか、どんな展開が予想されるか、何となく分かる……ような気がします。

だから、これでも別に問題ない感じですけど……もっと良くしたいんですよね。

とりあえず、現状を伝えて、改善点を聞いてみることにしました。

絢子の悩みを具体的に
「職場の後輩に辟易し」の部分をもう少し具体的にすると、読者がより共感できるかもしれません。例えば、「仕事ができない後輩に手を焼いて、上司から注意された」や「プロジェクトで意見が対立し、人間関係がギクシャクしている」など、具体的な状況を想像できるようにすると良いでしょう。

涼花の憧れの理由を深堀り
「絢子に憧れの気持ちを抱く」という部分をもう少し掘り下げてみましょう。例えば、「絢子が一人で酒を楽しみながらも、周囲への気遣いを忘れない姿に感心している」や「仕事に追われながらも、自分を楽しむことを知っているところに魅力を感じている」など、具体的な理由を付け加えると、二人の関係性がより明確になります。

「はなり亭」の雰囲気をさらに具体的に
「居心地の良い居酒屋」という表現を、もう少し具体的にすると、読者の想像力を刺激します。例えば、「古民家を改装した店内は、温かみのある照明とジャズの調べが心地よく、まるで自宅にいるような落ち着ける空間」のように、五感を刺激する言葉を使うと良いでしょう。

なるほど、なるほど……。

確かに、絢子が仕事や人間関係で疲れている部分について、もう少し具体的にしたほうがイメージしやすくなるでしょう。
もう1人の主人公たる涼花のことも、もう少し掘り下げたほうが共感を呼べそうです。

そして、はなり亭の雰囲気についての描写……
うーん、作中でも店内の様子はあまり具体的に書いてなかった気が……

自分なりに「あらすじ」を改善してみた

Geminiの提案内容を参考に、自分なりに「あらすじ」の改善をしてみました。

暖簾をくぐると、店主が温かく迎えてくれる居酒屋・はなり亭。自家製豆腐と鶏料理を中心に、美味しい和食と日本酒を提供してくれるこの店は、仕事に疲れた重森絢子にとって癒やしの場所だ。
困ったことは絢子任せな後輩や気遣いに欠ける営業担当との接し方など、仕事の悩みを忘れてひとり飲みを楽しむため、今日も足を運ぶ。
また、はなり亭でアルバイトを始めることになった大学生・渡辺涼花は、自分だけのひとときを楽しむ絢子に惹かれ、日本酒に興味を持つようになっていく。

改善版のあらすじ

あれもこれも盛り込むと、あらすじが長々しくなってしまうので、御厨さんのことは削りました!

どうでしょう……
抽象的だったところを具体的にし、物語がイメージしやすくなったでしょうか……?

うーん、やっぱり自分じゃわからん!
ビフォア・アフターを読み比べて、こっちが良い! ってなご意見ありましたら、コメントいただけると嬉しいです。

これはAI使用作品になるのか?

さて、ここに来てふと疑問。
あらすじをブラッシュアップするためにAIの力を借りたのですが、AIの力を借りた以上『はなり亭で会いましょう』はAI使用作品と見做されるのでしょうか?

小説本編を執筆しているときは、今のように生成AIが身近ではなかったですし、AIに執筆協力してもらった箇所はありません
しかし今、あらすじを改善するためAIに意見を聞き、アイデアをもらって書き直しました。

だから、今後は「この作品を発表するにあたり、生成AIは一切使用していません」という宣言ができなくなります。
「生成AI使用作品はお断りです」と仰る方には、『はなり亭で会いましょう』をすすめてはいけないかもしれません……

創作におけるAI使用の定義。
人によって範囲が違うでしょうし、AIの学習や著作権などの問題と併せて考えないといけない気がしています。

設定や展開をインプットして、小説本体をAIにアウトプットしてもらったなら、それはAIが書いたと言えるでしょう。
でも、AIのアウトプット結果をブラッシュアップして発表したなら……?
あるいは設定や展開から、読み手にどんな影響を与えるかをAIに分析させ、その結果を参考にして自力で小説を執筆したのなら?

興味を引く設定や展開を考えるアイデア出しにAIを使った場合はどうなるのでしょう?
近年人気を集めている作品から、ジャンルや主人公の属性傾向を調査するシーンにおいても、AIはなかなか頼れる存在です。
流行の分析にAIを使いつつ、今までにない要素を加えて新しい作品を自力で書き上げた場合も、AI作家として扱われるのでしょうか?

作中に登場する固有名詞を考える際、ありそうだけれど実在しない名称のアイデアをAIに出してもらったら?
作中劇の一節のみをAIに書かせた場合は?
展開に矛盾がないか、AIに構成を確認してもらったら?

考え込んで知恵熱がでてしまいそうですが、今年のnote投稿はこんな内容で終了します。
12月の1ヶ月連続投稿は一応達成ということで。
2025年もよろしくお願いします。

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読酌文庫/朔
果てしない自由の代償として、全て自己責任となる道を選んだ、哀れな化け狸。人里の暮らしは性に合わなかったのだ…。

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