永遠を誓った夜。
今から十八年前のクリスマスイブに私と妻は夫婦になった。
市役所に婚姻届けを出しに行った記念日である。
その日は土曜日で休日受付の窓口に書類を提出した。
何だか眠たげな顔をした職員の方がジロリとこちらを見てきた時の視線が忘れられない。
ああ、ここ抜けていますねと婚姻届けの不備を指摘されたので慌てて自宅に帰って記入して再提出をしに行った。
二度目のチェックは無事に終わって、ではお預かりしますとだけ言って部屋の奥に戻っていったのでそのあっけなさに拍子抜けしたものである。
おめでとうとかそういう言葉はないんだなぁと思ったのをよく覚えている。
それから実家に顔を出してめでたく夫婦になりましたと報告したらその時まだ元気だった祖父がとても喜んでくれた。
その日は奮発して近所でも予約の取れないレストランを抑えていた。
私の安月給からしたらかなり頑張った方である。
三か月には予約をしていたので問題なくお店に入ることが出来た。
私はスーツ、妻もドレスアップしていた。
テーブルマナーなんてほとんど知らないのでかなり緊張していた。
クリスマスディナープランだったので料理を選ぶ必要が無かったのはよかった。
料理はさすがに美味しくて非の打ちどころがなかった。
お酒もそれなりのお値段のワインを選んだのでいいお味だった。
食事の時は将来の話ばかりしていた。
子どもは何人欲しいとか、いつか一戸建てに住みたいとかそれを楽しそうに語る彼女が可愛いなと思っていた。
食事の後は近所のホテルのラウンジで改めて乾杯した。
どこもかしこも大混雑でクリスマスイブに街に繰り出すのは大変なんだなと思ったものである。
それからアパートに帰ってクリスマスプレゼントの交換会をした。
私は彼女が欲しがっていた高級ドライヤーをあげた。
彼女からは私に似ているという大きなカエルのぬいぐるみを貰った。
お互いにプレゼントを贈りあったのはその時が初めてで何だか照れ臭かった。
あの日から十八年、紆余曲折があり叶った夢もあればそうではない夢もある。
お互いに五十歳を目前にしてだいぶあちこちガタが来ているねと話している。
変わらないものがあるとすれば私の彼女に対する愛である。
いや、あの頃よりもずっと今の方が愛している。
私よりも一日でもいいから長く生きてほしいと常に思っている。
今日もささやかなプレゼントを用意している。
喜んでもらえるかどうかドキドキ半分ワクワク半分。
妻よこれからも大切にさせていただきます。
いつまでも一緒にいたいから。
そんなのろけ話をしながらちょっとだけ昨日の晩御飯のお話を。
昨日はまたもや鍋。
最近は寒いので週に二日か三日は鍋にしている。
メインの具はイカ。
野菜は白菜と春菊とセロリ。
豆腐ももちろん用意。
後はキムチも準備する。
副菜は納豆に韓国海苔を混ぜたもの。
もう一品はオクラの浅漬け。
オクラを板摺りして一分茹でてから昆布だしの素と塩、ゆず胡椒で漬けた一品。
三十分くらいしたらもう食べられる即席漬けである。
ようし用意が出来た。
妻を呼んでいただきます。
昨日は休肝日。
鍋に昆布を敷いて火を点ける。
沸騰したら昆布を取り出してイカを入れて野菜と豆腐も入れる。
クツクツ煮込んで火が通ったらそこにキムチをドサリと加える。
キムチがクッタリしたらイカキムチ鍋の出来上がり。
アツアツのうちに食べる。
イカはシコシコで噛むとパツンと切れる歯ごたえの良さ。
噛むほどに旨味がジュワジュワとあふれてくる。
これは良いなと思いながら次は豆腐を食べる。
豆腐は三角形に切ると煮崩れしにくいとテレビで言っていたので試してみたが確かに掴みやすかった。
ハフリハフと豆腐を口に含んで噛むと鍋の出汁が沁みていてかなりいいお味。
野菜も昨日は初めてセロリを入れてみたが独特の香りがいい風味になっておりシャキシャキとした食感も嬉しい。
ふむふむ、まだ新しい発見があるなぁと思いつつモグモグ。
鍋の合間に納豆も食べる。
韓国海苔が香ばしくて食べていて楽しい。
オクラの浅漬けは簡単に出来るがゆず胡椒が効いており箸休めには嬉しい一品だった。
何度か鍋の具材を追加して締めはうどんを一玉入れてキムチうどんにして食べた。
いやぁよく食べたなぁと思いつつご馳走様。
さぁて、今日はこれからクリスマス&入籍記念日のご飯づくり。
材料は十分にあるので精いっぱいご馳走を作るぞぅ。
ハッピーメリークリスマス!!
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