メガ盛りをもりもり。
何度か書いているが私の料理の先生は母とマンガである。
味付けのさしすせそや食材の下拵えと魚を捌いたりという基本的な技術は高校時代に身に着けた。
部活終わりに家に帰るとすぐにエプロン姿に着替えて母のサポートをしたものである。
他の兄弟はただ食べるだけだったので良いなぁと思わないでもなかったが毎日のご飯づくりは母との濃密な時間でわりと好きだった。
高校を卒業して一人暮らしを始めてからは自分の食べたいものを好きなように作れるのが嬉しくてたまらなかった。
例えばお米を四合、卵を十個使った巨大オムライスや五百グラムのスパゲティをケチャップで味付けをした特大ナポリタンなどを作ってはモリモリ食べていた。
そんなレパートリーの中でテンションが上がったのはバケツプリンである。
といっても家にバケツはなかったので一番大きなボウルで作った。
卵と牛乳と砂糖を大量に混ぜてダマが出来ないようにボウルに注いで蒸し器で一時間半ほどじっくり加熱した。
それを取りだして冷蔵庫で冷やしてカラメルソースもたっぷり作ってスタンバイした。
三時間くらい冷やしてから大皿にプリンを乗せると巨大なドームが現れた。
そこにカラメルソースをタラーッと回しかけてスプーンでガッポガッポと食べ始めた。
ボウルプリンは食べ応えが抜群で食べても食べても減らなかった。
そんな幸せな時間を堪能しながら完食した時にはお腹いっぱいになっていた。
さぁて次はどんな料理を巨大化させてやろうと思っていたが、費用がかさむのと体重が激増することが判明したのであまりやらなくなった。
ボウルプリンが東の横綱だとしたら西の横綱は巨大ハンバーグだろう。
一キロのひき肉を使ってハンバーグを作ったことがある。
肉だねを作るのはそんなに手間ではなかったが焼くのに往生した。
なんといってもサイズが大きいので火がなかなか入っていかない。
形を崩せば簡単に焼けるのだろうがそれでは巨大化料理の意味がない。
なのでここでも蒸し器を持ち出してじっくり蒸すことにした。
一時間以上蒸して竹ぐしを刺してみるとどうにか火が通ったみたいだったので仕上げにフライパンで焼き目をつけて完成とした。
ケチャップとウスターソースの即席ソースで食べたがこれは全体的にパサつきがやや気になった。
それでも十代の腹ペコの胃袋には飛ぶように吸い込まれていった。
さすがに全部食べ終えると苦しくて動けなかった。
あの頃はとにかく料理で遊んでいたなと思う。
最近は夫婦二人分の食事を慎ましく作っている。
たまには羽目を外して巨大料理を食べてみようかなとも思う。
おじさんの衰えた胃腸だとやや荷が重いか。
もしあの頃に動画サイトがあれば必ず配信をしていたと思う。
今頃それなりの発信者になっていたりして…。
そんな事を考えるのもまた楽しい。