あの煙突からどうやって?
昨日から本格的な寒波がやってきている。
私の住む町も朝の気温は氷点下まで下がっていてさすがに寒さを感じる。
天気予報ではクリスマスには雪が降るかもしれないそうなのでホワイトクリスマスになるかなと少しだけ期待している。
聖夜と言えば雪の降る中でトナカイの曳くそりに乗ったサンタクロースが街を飛ぶ姿をイメージする方も多いと思う。
子どもの頃は家に煙突はあったがそれは五右衛門ぶろを沸かす用の小さな換気口で太っちょのサンタさんにそこを通れというのは酷な話だった。
ああ、うちにはサンタさんは来ないかもなと思ってそれでも期待して靴下を枕元に置いて寝たものである。
興奮して寝ているので夜中に目が覚めることが度々あった。
何度か寝たり起きたりを繰り返していると枕元にラッピングされたプレゼントが置いてあったものだ。
その時の心臓の高鳴りというのはなかなかのものがあり、早く開けたいと思ったがいやいや明日の朝までは我慢しようと思ってプレゼントを誰かに取られないように抱いて眠ったものである。
翌朝目が覚めてすぐにプレゼントを持って父のところにサンタさん来た!と報告するのが常だった。
父はおおそうかとどことなく嬉しそうで、母はこれからもいい子にするんだよとよく言っていた。
プレゼントは欲しいものの時もあったがそうでもない時の事もよくあった。
ゲームソフトをお願いした時には全然違うものが届いて少々がっかりしたものである。
今思い返してみるとクリスマスに奔走してくれた父の愛情が身に染みてくる。
そんなこと懐かしがりながら今日も晩御飯の買い物に出かけた。
なんといっても寒いので今日は湯豆腐にしようと決めた。
それだけだと寂しいので何かないかなと思って店内を歩いてみるとブリのアラが安かったので久しぶりにブリ大根を作ろうと決めた。
あとはちょっと良い日本酒を四合瓶で一本買って精算して帰宅。
玄関を開けるとしんとした家はキンキンに冷えていた。
おお寒っと思ってたまらずエアコンをつけてこたつも電源を入れた。
それから手洗いとうがいをして晩御飯の支度。
まずは豆腐を八等分に切り分ける。
次に鍋に昆布を敷いて沸騰直前まで温める。
湯飲みに醤油を注いでそれを鍋に入れて温めていく。
薬味はねぎと鰹節、叩いた梅干しと少し変わりものとしてひきわり納豆をよく練っておく。
豆腐は食べる直前に鍋に入れて軽くクラッと揺れたら食べごろである。
お次はブリ大根の仕込。
ブリのアラを熱湯でさっと煮たらすぐに引き上げて冷水で血合いやドロドロした部分を取り除く。
大根を輪切りにして面取りをして少量のお米を入れた鍋で透き通るまで煮込む。
大根が煮えるまで間にブリを醤油、酒、みりんと水でコトコト煮込む。
あまり煮すぎると塩辛くなるのである程度で鍋から取り出す。
大根の下煮が終わったらブリを取り出した鍋に加えて煮込んでいく。
大根にしっかり出汁が染みたらブリを戻してこっくりと煮しめて出来上がり。
ようし、今日の晩御飯はこんなものかな眺めて食卓に運ぶ。
今日のお酒は日本酒の純米吟醸、ぬる燗にしていただく。
ではではと言いながらツピピッと杯をあけると甘くて力強い吟醸酒の果実のような香りがしてかなり美味い。
吟醸酒を燗するのはもったいないという人がいるが、私は気にしない派である。
まあ、それについて話すと議論になるので一旦置いておいてブリ大根を食べる。
ブリの身をほぐしてパクッと食べると芯まで味が染みており魚の繊維質がほどける食感が心地よい。
立て続けに大根を食べるとこれまたブリの旨味をしっかり吸っており素直にイケルと思う。
うん、ブリと大根の組み合わせは出会いものだなと思ってお酒を飲む。
醤油味のおかずは当然日本酒との相性はいい。
ではメインのお豆腐を頂こう。
豆腐を小皿に取り分けてそこに温めた醤油をかけて薬味を乗せる。
まずは鰹節とネギと行く王道の組み合わせ。
ハフハフと豆腐を口に含むと火傷しそうになる。
ここで日本酒で追いかけるとこれがまたいい塩梅である。
薬味もシンプルな組み合わせだが王道で外しがない。
寒い日にはこれだねと言いながらお酒を飲んで愉快な気持ちになりながら湯豆腐をつついた。
少し変わった薬味の納豆も豆腐と出どころは同じ大豆なので違和感はなく組み合わせることが出来る。
食べ始めは肌寒かったがお腹いっぱいになるころには体中がポカポカしてきた。
何より豆腐というあっさり目のメインなので緩やかな満腹感を楽しむことが出来た。
今日のお酒は四合瓶一本が空になった。
やや飲みすぎかも知れないので明日は少し控えたい。
いや、寒い日は温かいものをつつくに限りますね。
さぁて、明日は何を食べようかな。