オペラ歌手の愛した味。
今日は朝から風が強くて気温も低くてまあまあ寒かった。
なんだかんだ言ってもまだ三月だもんなと思った朝だった。
テレビをつけると今日からマスクの着用が個人の判断になるという事をしきりに言っていた。
思えばコロナが世界を変えてからもう三年以上経った。
その間に外に出る時はどこでもマスクを着用しなければならないという風潮が当たり前になった。
コロナ流行の初期の頃は絶望的なマスク不足でお店はもちろんインターネットの世界でも市場の値段の何倍もする転売マスクがあるくらいでとてもじゃないが手が出なかった。
仕方がないので代用品としてキッチンペーパーと輪ゴムで拵えた臨時マスクで急場をしのいだ。
手芸が趣味の妻に作ってもらって表、裏と両面がガビガビになるまで大切に使ったものである。
そのうちにウレタンマスクならば入手できるような情勢になったがこのマスクは通気性が良すぎてコロナにはまるで役に立たないと言われるようになったので私も使うのをやめた。
そこからしばらくして例の国支給のマスクが配られたがその頃にはどうにかこうにか不織布のマスクが手に入るようになっていたので使わなかった。
税金の一部で作られたマスクを捨てるのは何となく癪に障るので今でも取ってある。
長い間のマスク生活で若い世代の人は規制が緩和されても外さないという人が多いらしい。
口元が見えないというのが当たり前になったらもう人前で外すのは抵抗があると思う。
私はどちらか言うとマスクは煩わしいので余りつけたくないなと思っていたが今年の初めにコロナに罹って苦しんだ経験からおっかなくておいそれと外す気が失せている。
今日のお昼はスーパーでお弁当を買ったのだが何気なく店内を歩いてるとまだほとんどの人がマスクをしていた。
ノーマスクの人もいるにはいたが少数派だった。
割合としては二十人に一人といった感じ。
まだみんな様子見でこれからじわじわと外す人が増えていくのだろうか。
いずれにしても満員電車などでマスクをしていないおじさんがくしゃみを連発していたらお近づきになりたくないと思う。
そんなことをぼんやりと考えながら昨日は何を食べたっけと振り返ってみる。
朝は晴天だったのだが夕方から天気が崩れて急に寒くなってきた。
なので元気になるメニューにすることにした。
行きつけのスーパーに出かけて鶏の胸肉と鶏皮を買った。
後はお酒の補充と日用品を少々。
帰宅して念入りにうがいと手洗いをして料理の開始。
鶏皮を塩で揉んで水洗いをする。
それを沸騰した鍋で一分茹でる。
茹でたら流水でよく締める。
キッチンペーパーで水気をしっかり切ったら細切りにする。
そこにネギと七味唐辛子を振ってポン酢をかけたら鶏皮ポン酢の完成。
これは冷蔵庫に入れてよく冷やしておく。
次に鶏むね肉に塩と砂糖を振って二十分放置。
その間に野菜を用意。
玉ねぎを摺り下ろしておく。
キャベツは千切り。
塩と砂糖をまぶしておいた鶏肉をサッと水で洗って二等分にする。
フライパンに油を敷いてニンニクを入れて香りを引き出す。
チリチリと鳴り出したら鶏肉を皮目から焼いていく。
焦げないようにじっくりと弱火で。
片面がしっかり焼けたらひっくり返して日本酒をドブリと加えてフタをして蒸し焼きに。
その間にキャベツの芯を具にしたみそ汁を作る。
鶏肉が焼けたらお皿に盛って横に千切りキャベツを乗せる。
まだ熱いフライパンに摺り下ろした玉ねぎを入れてジャッジャッと炒める。
そこに塩コショウ、赤ワイン、バターを加えてちょっと煮詰めたら即席のシャリアピンソースの出来上がり。
このソースは実は日本生まれで名前の由来は高名なオペラ歌手からきているそうだ。
これをチキンステーキにたっぷりかけてご飯の完成。
さぁ出来た出来たと居間に運んでいただきます。
昨日のお酒はチューハイでスタート。
妻はビール。
乾杯をしてキュキュキュのキューと飲むとすっきりしていて美味い。
芋焼酎と炭酸水を混ぜただけのプレーンなものだが余分な甘さが無いのがいい。
つまみは鶏皮ポン酢、箸でつまんで口に運ぶとクニュッとした歯ごたえで七味がいいアクセントになっておりチューハイによく合う。
茹でて水でさらしたので脂っ気はないが旨味は十分にある。
簡単にできて乙なつまみなのでまた作ろうと思った。
キャベツのみそ汁で口直しをしてチキンステーキにかぶりつく。
砂糖の効果でふっくらと柔らかで胸肉にありがちなパサパサ感はない。
シャリアピンソースの甘くていかにも洋食と言った味がぴったりで食欲が増す。
新玉ねぎは辛みが薄いのでソースにしても味がまろやかでいいなぁと思いながらバクバク。
チキンステーキは妻の好物なので昨日も上機嫌で食べていた。
大体週の半分は私の食べたいもの、残りは妻が好きそうなものを作ることしている。
私はどちらかと言えば和食党、妻は熱心な洋食党である。
二人の好みをいい塩梅で混ぜて日々のご飯づくりをしている。
なので献立にバリエーションを付けられるので頭を悩ませることは少ない。
妻は何でも美味しいねと言って食べてくれるので、ああこの人と結婚してよかったなぁといつも思う。
あっという間に食べ終わりご馳走様。
食後のデザートにきな粉餅と梅昆布茶を飲んでまったりした。
うん、なかなかいい休日だったなと思いながら床に就いた。
さぁて今日は何を食べようかな。
そろそろお腹の虫が鳴りだしたぞ。
グゥ。