粋な少女と栗ご飯
昨日のお昼はお寿司を食べに出かけた。
もちろん回るお寿司である。
祝日なのでお客さんが絶対に多いと思ったのでスマートフォンにお店のアプリを落として来店予約をして訪れた。
時間も早めの十一時ニ十分くらいに行ったがすでに待合室は混みあっていた。
入口にある待ち時間を表示しているパネルでは最大120分待ちと表示されており予約なしだとスゴスゴ退店する羽目になる所だった。
しかし昨日はちゃんと予約していったので入店の端末を操作してすぐに席に着くことができた。
店内はすでに九割の入りで赤ちゃんの叫び声や幼児の兄弟げんかなどが展開されておりちょっとしたカオスだった。
まあ、お休みの日の回転寿司はこんなもんだよなと大してストレスにも感じずにお茶を淹れてタッチパネル端末を手に取った。
妻と出かけていたのだが、まず最初に頼むのがポテトフライである。
揚げ立てが来ることもあれば揚げてから少し時間のたったしんなりしたものが来ることもあるので厨房の忙しさを測るバロメーターになる。
昨日のポテトは揚げ立てでサクサクしており大変よろしかった。
そこからは銘々が好きなものを頼む。
私は必ず茶わん蒸しを注文する。
それも期間限定のちょっと変わったものに眼が無い。
妻はサーモン大好き人間なのでサーモンアボカドは大抵二皿は取る。
私はオーソドックスにイカ辺りから攻める。
厨房が快調な時は頼んだお寿司を待つ事が無くすぐに届くので調子に乗って頼んでいるとテーブルの上がお祭り騒ぎになる。
なのであまり急がずにゆっくりと注文をする。
そうやって二人でお寿司をパクついていると斜め前の席にまだ高校生くらいの若い女の子が座った。
耳にはヘッドフォンをしており外からの情報を遮断しているようだった。
お昼時にテーブル席に一人で座るなんて度胸があるなとぼんやり思ったがあまりじろじろ見ると変なおじさん認定確実なので、気にしないことにして妻とこのお寿司美味しいよとか二貫あるから一貫ずつ分けようかと話しながらモグモグと食べていた。
お喋りもしつつふと、その女の子のいた席を見るともういなかった。
時間にして十分もかかっていないだろう。
積み重ねられたお皿も五皿くらいでその電光石火のお寿司の楽しみ方に「粋だなぁ」と感動してしまった。
たった一人でふらりとお店に来て自分の食べたいものだけ食べてサッと席を立つなんてなかなか出来る事ではない。
思わずマボロシでも見たんじゃないかと思って妻にその女の子の事を熱っぽく話すと人様の事をジロジロ見ないのとたしなめられてしまった。
まあ、お寿司の楽しみ方は人それぞれだよなぁと私も思い直してデザートにアイス乗せコーヒーゼリーを堪能して会計をしてお店を出た。
ちょっとしたお休みの日のお出かけだったが一陣の風のような娘さんの食事スタイルに、カ、カッコいい感銘を受けた時間だった。
そんな鮮烈な印象を余韻にきのうの晩御飯の話を。
昨日は先日母に預けた栗が栗ご飯になって帰ってきたのでそれに合いそうな献立を簡単に。
冷凍庫にサバがあったのでこれを解凍してフライパンにくっつかないアルミシートを敷いて焼いた。
焼く間に大根をおろしておく。
それから卵を溶いて、刻んだブロッコリーを混ぜ込んで白だしで味をつけて卵焼きにした。
汁物が欲しかったので大根の皮とブロッコリーの芯を具にしたみそ汁を拵えた。
ぬか漬けはちょっと変わり種でみょうが。
サバが焼けたら晩御飯の始まり。
いただきますをして食べ始める。
昨日も休肝日。
まずは何はともあれ温かいうちに栗ご飯を食べる。
とてもいい栗で甘みが強くてポクポクしておりご飯ともよく合う。
今年の初物で寿命が延びたなぁと思いつつモグリモグ。
次に焼きたてのサバに大根おろしをたっぷり乗せてパクリ。
ノルウェー産の塩サバで脂がよく乗っておりなかなか良かったが小骨が多くて魚を食べるのが下手くそな私は苦戦した。
箸使いの達人の妻は骨と身を上手に選り分けて丁寧に食べていた。
サバとの勝負からいったん離れて卵焼きを食べるとブロッコリーの食感が面白くてアリだなという一品だった。
合い間に味噌汁を飲んでミョウガのぬか漬けをかじる。
丸二日漬けたので芯までよく漬かっており、ぬかの風味とみょうがの爽やかな香りとほんの少しの苦みがいい塩梅で久々に納得のいくぬか漬けだった。
栗ご飯があまりに美味しかったので少しだけお代わりをしてじっくり味わった。
それでも腹八分目でごちそうさま。
後片付けをして母に栗ご飯のお礼のLINEを送ったら、またいつでも作ってあげるわよと返信があった。
自分で作るとなると結構手間なので料理上手の母に感謝してお風呂に入って早めに就寝。
それにしてもお休みの日の回転寿司って混んでいますね。
たまには回らないお寿司屋さんに行きたいところだが近所にいいお店が無いのが田舎の悲しさである。
隣町に超有名な高級店があるのだが夫婦で行くと回転寿司の十倍以上の予算が必要になる。
あ~あ誰か誘ってくれないかなぁ、喜んで太鼓持ちをやらさせていただくでゲス。
痩せなきゃいけないのに食欲の秋に惑わされて困っちゃいます。