誰が買うんでしょうね。
昨日の夕方に行きつけのスーパーに立ち寄ったら青果コーナーが何やら賑わっていた。
おや、何事だろうと思って近寄ってみるとマツタケが鎮座していた。
よくある輸入物ではなく地元の山で採れたものでラベルに県内産と印字されていた。
ほぉ珍しいと思っていくらなんだろうと思って興味本位で値段を見ると太めのサインペンサイズのものが七千円と強気な値段だった。
見るからに立派な奴は一万円を大きく超えてきてうへぇと思った。
とてもじゃないが晩御飯に買うにしては高級すぎると思ってせめて香りだけでもと思って匂いを嗅いだ。
ああ、最後にマツタケをちゃんと食べたのはいつだったけかと思ってなんとなく切ない気持ちになった。
名残惜しいので松茸をちらちら見ながら原木栽培のシイタケを買った。
その間にもマツタケの周りには人が立ち止まっていたがカゴにいれる強者は現れなかった。
キノコは足の速い食品なので売れ残ったらどうするのだろうと余計な気をまわしてしまった。
いつまでも未練がましいことをしていても仕方がないので自分の買い物をして帰宅した。
まずは手洗いとうがいをしてシャワーで一日の疲れをとる。
それから早速晩御飯の支度である。
質のいいシイタケが手に入ったのでキッチンペーパーで軽く汚れを取ってから軸を切り落として傘の部分に日本酒を注いでトースターで焼いていく。
お次はシイタケを軸ごとみじん切りにして和風だしの素と白だし、醤油、みりんで煮ていく。
沸騰したら火を弱めておく。
それから鶏のひき肉をよく練ってそこにささがきごぼう、みじん切りにしたニンジン、卵、塩、すりおろししょうがを加えてよく混ぜる。
できた肉だねを小さな小判型に成型してフライパンで焼いていく。
両面にこんがり焦げ目がつくまで焼いたら芯まで焼けているか確認する。
大丈夫なようだったらお皿に並べて上から片栗粉でとろみをつけたシイタケ餡をたっぷりかけたら鶏肉のシイタケ餡掛けの出来上がりである。
もう一品何か欲しかったので卵を使うことにする。
冷凍庫から明太子を取り出してレンジで解凍する。
卵をよくかき混ぜて塩とほんの少し牛乳を入れる。
玉子焼き器に油を敷いて卵を流しいれる。
そうしたら中央に明太子を載せてくるくると巻いていく。
こげないうちに取り出してまな板でスッスッと切ると赤と黄色の断面が美しい。
ようし、こんなものかなと思って居間にご飯を運ぶ。
今日のお酒は今話題の泡が自然に盛り上がってくるビールに決まり。
このビールはグラスに注がないで缶のまま飲むのが秘訣らしい。
では、と独特なプルタブをコショッと開けると泡がどんどんあふれてくる。
おおっとと思いながら口で迎えに行く。
泡のできる速度が速いので最初のうちは大目に飲むのがいいみたいだ。
味もなかなかのもので普段の私の使命銘柄とは違うがたまにはいいかなと思った。
じゃあおかずを食べようかなと思ってまずは焼きシイタケから食べる。
これはポン酢がよく合う。
傘の部分にポン酢を注いでパクッと噛むと肉厚のシイタケのうまみがジュワッと口の中に広がる。
シイタケには原木栽培と菌床栽培の二種類があるが味がいいのは断然原木栽培のほうである。
あまりお店の店頭は並ばないので私はもっぱら野菜の直売所で買うことが多い。
昨日はたまたま手に入ったのでラッキーだった。
うふふ、美味しいと思わず笑みが漏れる。
シイタケをハムッと噛んでビールをキューッと飲むのは快感である。
あっという間にビールを飲みほしたので二杯目のお酒は芋焼酎のお湯割りを作った。
チュッと飲むと芋の風味と甘みがうれしい。
ああ、温かいお酒もおいしい季節になってきたなぁと思いながら鶏肉のシイタケ餡に橋を伸ばす。
鶏肉とごぼうの組み合わせがよく合って好ましい。
シイタケ餡があるおかげでパサつきがちな鶏ひき肉を瑞々しく食べることができる。
何よりお酒との相性がすこぶる良い。
これはお酒が進んじゃうなぁと呟きながらお代わりを作る。
おっと忘れちゃいけない、卵焼きも食べなくちゃと思って箸を伸ばす。
明太子の辛みと塩気がまろやかな卵にいいアクセント加えておりパクパクと食べてしまいそうになる。
塩分はやや気になるがまあたまにしか作らないし何より美味しいからいいじゃないかという気持ちの方が勝ってしまう。
もぐもぐと食べてぐびぐびと飲んで大満足で食べ終えた。
原木シイタケを中心に拵えた献立は大成功だった。
マツタケには手が届かなくてもシイタケならばいける。
まぁ誰かがうちの裏山でマツタケが採れて採れて困っているという話があれば喜び勇んで足を運ぶことはやぶさかではないと申しておきます。
はぁん、お腹がはちきれるくらいマツタケ三昧がしたいなぁ。
さぁて今日は何を食べようかな。