3・11後の建築と社会デザイン
書評_033
B2 桑原健
書籍情報
発行日 2011年11月
著 者 三浦 展 編著 藤村 龍至 編著
発行所 平凡社
本書は2011/3/11の東日本大震災の四ヶ月後に開催された「3・11後の社会デザイン−東北の再生と東京の再編」のシンポジウムを本にして、世にさまざまな問題を問うことを目的としてる。シンポジウムは藤村龍至氏、山本理顕氏の事務所や研究室の協力により開催され、日本をどうするのか、復興になにが必要なのか、建築、都市計画に限らず、社会学、経済学などとさまざまな分野の専門家から多角的な議論がまとめられた一冊となっている。
著者、三浦展氏は、1958年生まれの評論家/マーケティングリサーチャーである。1982年一橋大学社会学部を卒業したのち、パルコに入社し、1999年には三菱総合研究所を退社し、独立。マーケティング会社、株式会社カルチャースタディーズ研究所を設立し、同社の代表取締役に就任。
著者、藤村龍至氏は、1976年生まれの建築家/東京藝術大学美術学部建築科准教授、RFA主宰である。2008年東京工業大学大学院博士課程を単位取得退学したのち、2005年に藤村龍至建築設計事務所を立ち上げた。代表著書には『ちのかたち—建築的思考のプロトタイプとその応用』(2018),『批判的工学主義の建築』(2014),『プロトタイピング—模型とつぶやき』(2014))などがある。代表作には、「あいちプロジェクト」(国際芸術祭あいちトリエンナーレ, 2013)「リトル・フクシマ」(堂島ビエンナーレ, 2011)などがある。
議論は山本理顕氏による、東日本大震災によって浮き彫りになった日本独自の被災の問題提起から始まり、「一住宅=一家族」という原理の問いかけを起点としている。都市の根本的な部分のインフラストラクチャーは国に責任で作られており、その先に接続された、住宅などは今人の責任を置いている。今回の震災は個人の責任で住宅を作った国民たちが、最大の被害者となってしまった。「一住宅=一家族」を誘導してきた国家の責任は重大である。このシステムが変わらない限り震災は変わらないと考えられている。
その一方で、震災の際に立ち上げられた復興の支えとなった活動などもあげられた。その一つに「仮住まいの輪」があげられた。今回の震災で大きく問題として上がったのは仮設住宅の建設でした。被害から三週間してから仮設住宅建設が本格化して、設備の長期化、供給不足があげられる。その上、日本中で空き家、空き部屋が大量発生しいる問題も上がっている。その上記ふたつの問題を一石二鳥に解決した「仮住まいの輪」があげられた。「仮住まいの輪」では、オンライン上で空き家や、空き部屋の持ち主が募り、被災者が空き家や、空き部屋とマッチできるシステムであった。
最後には、日本の近代の震災の原因もあげられた。昭和初期、明治時代には津波もあったが、そのころの人々は高台に住んでいた。しかし、今になり、人々は平野部に住むにようになった。近代になり、人々が平野を好きになった訳ではない。人々が震災で被害に会いやすくなる平野に住む事の理由は三つあげられる。
1. 長期的人口増加
日本の人口この1世紀で三倍にもあり、住宅提供に平野部の開発が必須だった。
しかし、高齢化の進む日本では住宅が必要な人口は減っている
2. 雇用
農林業の職業で生活するのが難しくなり、高所得を求め、工場、商業施設のある平野部へ移り込んだ。
3. 進学
ほとんどの大学は平野部にあり、より良い教育を求め、地方の中心部の平野部に出ていき、過疎化も進んで行った。
本を読んで
この書評の筆者は慶應義塾大学SFCのAlgorithmic Design Labに所属する学部2年の者である。海外での生活が長く、震災に触れる機会も少なく、そして建築デザインに対する知識、意識、そしてどのように考えていけば良いのかわからず、どちらも含まれているため、今回『3・11後の建築と社会デザイン』を書評する本とした。
今回、この本を書評の対象にした一番の理由として、筆者自身社会問題に対する関心が高く、今後私たちのような若いものたちを飲み込んでいくであろうさまざまな問題が一気に押し寄せてくる日本にいる日本人として、解決することができることに対して希望を抱いている。私は今実際どのように解決していけば良いのかわからないが、今はたくさんの問題が実在することを自覚する事がまずは大事と考える。
この本を読んで、3.11の東日本大震災は世界共通の課題では無く、日本特有の問題により今回の震災で大きな被害が起きたと考える。日本人の生活習慣なども影響したと考える。持続的な生活からものを買う生活にかわったからでもあると思う。自足的な生活をより今の時代も持てていた場合、震災が起きても震災後の被害はより低かったと考える。
我々も昔のように自足的な生活を送っていれば、コロナ禍、震災などと一個人での生活が大事になる際に問題なく生活を送ることができると考える。しかし、自足的な生活を送るには時間や、お金に余裕が必要だ。
議論
そこで議論したいのは我々学生は首都直下地震が起きた場合現場生活に大きく支障が起きると考える。首都直下地震に備え、
・自足的な生活を作りたい
・公共のインフラに頼り生活したい
という立場に分かれて議論したい
平凡社."3・11後の建築と社会デザイン - 平凡社"
https://www.heibonsha.co.jp/book/b163560.html(2022-05-23)
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