「LGBT差別増進法に抗議する緊急大集会」2023.6.12@国会前 大椿ゆうこ議員のスピーチ 全文書き起こし

2023年6月12日国会前で行われた「LGBTQ差別増進法に抗議する緊急大集会」はYouTubeで公開されており、大椿ゆうこ議員のスピーチは「大椿ゆうこを推す会さん(@ohtsubaki)」のツイートでも要約が載せられていた。


しかし、一部省略されていたところもあったため、スピーチ全体を書き起こすことにした。(40:45~49:50部分)

以下書き起こし。

ありがとうございます。ご紹介をいただきました、社民党の参議院議員、大椿ゆうこです。
先ほどから雨が激しくなってきました。そんな激しい雨が降る時に、この場所に集まらなければいけない、集まってこの抗議の声を上げなければいけない状況を、いま日本の政治が作り出していることを、本当にわたしは申し訳ないと思ってます。
皆さん不安な気持ちの中で、そして怒りを抱えながらこの場所にいま立ってくれているんだと思っています。
どうか皆さん、傘さしていない人もいるけれども濡れないようにしてください。
これから戦いがあるわけですから身体壊すわけにはいかない。
風邪ひかないように傘の中にいてくださいね。

私、参議院議員になって2カ月ほどです。
このLGBT理解増進法というものがいま衆議院の中でどんな議論をされているのかということを、今日ここに来る前、〇〇(聞き取れず)を読んで調べてきました。
そのなかで2021年、立憲民主党、そして共産党、社民党が出した原案がありました。
そこには「性自認」と書かれていた言葉が、次には「性同一性」となり、そして今回、維新・国民民主党によって「ジェンダー・アイデンティティ」という言葉に変えられていっています。その過程の中で、「性的指向およびジェンダー・アイデンティティの多様性に関する国民の理解が必ずしも十分でない現状を鑑み、」なんていう言葉を入れようとしていると知りました。

ねぇ、思うんです。「国民の理解が進んでない」ってなんでそんなに主語がデカいんですか?理解が進んでないのは、永田町の一部の政治家たちと官僚たちじゃないかと思いませんか?
国民が、この国で暮らす人たちのほうが、この永田町の中にいる人たちよりもよっっっぽど理解が進んでいる。私たちのまわりにLGBTQといわれる人たちが、当たり前に生きていて、私たちの隣人であり、友達であり、家族であり、恋人であり、ほんとに身近なところにそういう人たちが生きている。「ありのままの姿で生きられる社会がいいよね」「結婚ができる社会がいいよね」そう望む人たちが今増えています。
遅れているのはどこですか?ここ(議事堂を指さす)じゃないですか!
この国会の中にいる人たちじゃないですか。
その主語を大きくして、「国民の理解が進んでいない」だの、なんだかんだと、ふざけるな!と思っている人たちが今日ここに集まってくださっているんだと思います。
そして、まるで皆さんの姿が、LGBTQの皆さんの存在がこの社会に不安を与えるかのように排除を求める、そんな条文が付け加えられようとしています。(44:00)

私は思うんです。お前のその不安に向き合えや。そう思いませんか?
あなた自身が勝手になんか不安になってるんですよ。(44:16)
不確かな情報に左右をされ、そして当事者と話をすることもなく、勝手に不安を抱いている。
それはLGBTQの人たちの問題じゃないんですよ。
(そうだ!そうだ!という声援)
不安を抱いている、あなた自身の問題なんです。
なぜあなたが不安なのか、なぜあなたが怖いと感じるのか、そこに向き合ってください。

そしてもしあなたがLGBTQの当事者と会ったことがない、話したことがない、そう思うんだったら、当事者の声、いま色んなところで聞けます。色んなところで読めます。
そしてあなたのそばにも必ずいるんです。
そういう人たちと出会って直接話してほしいんです。
会ったことがないと思っているのならウソです。実際私たちはこの暮らしの中でLGBTQの人たちと必ずどこかで接しています。
あなたの不安は当事者と出会い、そして当事者と語ることで、当事者の声を聞くことで、必ずその不安や恐怖は取り除かれると思っています。
そのことをせずしてこの法案を通そうとしている今の国会議員、一部の国会議員たち、この勢力に私たちは負けてはいけないと思っています。

そして私と宮本さんが暮らしている大阪。大阪では今、私の知人でもある仲岡しゅん弁護士、トランスジェンダーの方です、この方に殺害予告、そして爆破予告のメールが届いています。
今日もTwitterをみたら、彼女の事務所にでしょうか、また爆破予告が届いたということがTwitterのなかでつぶやかれていました。
今、本当にトランスジェンダーへのバッシングが激しくなっています。この法律がどんどんどんどん書き換えられていった背景にも、このトランスジェンダーへのバッシングということが大きく作用しているんです。
しかし、私たちは事実に基づかない、勝手に想像をしたトランスジェンダーへの思い込み、こういった偏見に左右された法律も、やはり通してはいけないと思います。
(そうだ!そうだ!という周囲の声)

そして今ほんとうに命の危機、身の安全が守られないというような状況に置かれている方、仲岡しゅんさんだけではありません。
他にもそんな思いを持ったトランスジェンダーの人たちをさらに追い込むような法律を政治家がやっちゃいけない、作っちゃいけないんです!
政治家がやるべきことは、どんなセクシャリティの人であっても、どんな性自認の人たちであっても、先ほど言われていました「ありのままのあなたでいいんだ」と、そうあなたの存在を称賛できるような、そのための社会を作らないといけない、法律を作らなければいけないと思っています。

私はこれまで3人の同性愛者の友人を亡くしました。その3人が3人とも自ら命を絶ちました。今生きていれば50代60代を迎えている年齢かと思います。
私は彼女や彼らがここの社会で生きていきたい、そう思える社会を作りたい。3人の死を目の当たりにしてずっと思ってきました。政治家になろうがなるまいが、私はLGBTQの人たちがそのまんまでいい、この社会で生きていく希望を見出せる、そんな社会を作りたい、そう思っています。
政治家は彼らを、LGBTQの人たちを追い込むような法律を作っちゃいけないんです。今でもそのセクシャリティがゆえに、もうこの社会では生きていけないと不安に駆られ、自ら命を絶つ人たちがいます。
そんな人たちをさらに追い込むような法律、それがこの今作ろうとしている法律ではないでしょうか。

どうか皆さん、先ほど入管法が強行採決されてしまいました。けれども私は思うんです。
もしも皆さんが立ち上がってくれなかったら、あの入管法はあそこまで追い詰めることはできなかった、引き伸ばすことはできなかったという風に思っています。
みなさんの立ち上がる声が、必ずこの国会の中を突き動かすんです。国会の中と外の皆さんの声はつながっています。だから諦めずにこの法案に対しても反対の声をあげていただきたいんです。皆さんの声が必ずこの法案を食い止めます。絶対に通してはいけない。
私も参議院でしっかりとこの問題について、この法案について反対の立場で、廃案の立場で戦いたいと思っています。共に頑張りましょう。

(書き起こし終わり)

【2023年6月19日追記】

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6/12の国会前集会での大椿ゆうこのスピーチが切り取りで批判されています。 「お前のその不安に向き合えや」という部分です。 全体を通して聞いていただければわかると思いますが、これはLGBTの実情を理解しないまま、不当な修正案を提出した国会議員にむけられたものです。

国会の議論について論じる中で、「性的指向およびジェンダー・アイデンティティの多様性に関する国民の理解が必ずしも十分でない現状を鑑み」という一文が法案に入ることを批判し、国民の理解ではなく国会議員の理解こそが不足していることを指摘します。

そのうえで、LGBTQの存在が社会に不安を与えるかのように語る国会議員たちに「お前のその不安に向き合え」と言ってます。
そして、当事者と出会い語れば不安は解消されるはずであり、それをせずに法案を通そうとする国会議員に負けるわけにいかない、と続きます。

先週、改定案が成立してしまった入管法をめぐる議論でも、非正規滞在の外国人を「不法」と呼び、認定される難民が増えれば日本社会の治安に問題が生じるかのような主張が多く見られました。
不安を利用して差別を正当化することは、いろんな人権問題で繰り返し行われているパターンです。

大椿ゆうこは、「国民の理解や不安」という、マジョリティに受け入れられやすい言説を利用して差別を強化する動きに強く抗議しています。
わたしたちは、不安によって分断されてはいけません。
闘うべき相手を見誤らず、声をあげ続けていきましょう。

大椿ゆうこを推す会

当日の大椿ゆうこのスピーチはポリタスTVで。40:45〜(リンク省略)



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