思暗 ひかり

どこかの美大に通っている、 生きるのに精一杯のひと。

思暗 ひかり

どこかの美大に通っている、 生きるのに精一杯のひと。

最近の記事

残り香すら。

ただただ大好きだった。 今でも大好きなひと。 わたしの祖父よりも一回り下くらいのひとだった。 たくさんのことを教えてくれた。 まだ幼かったわたしに学ぶことの楽しさを教えてくれた。たくさんのニュースをわかりやすくお話してくれた。 本が大好きなわたしに、自分が好きな本、興味がある本を読めばいいと言ってくれた。興味がある本を読んでいったら、知識が深まるかもしれないし、興味の幅が広がるかもしれない。なんの役にも立たないかもしれないけど、役に立つことだけがすべてじゃないって教えてくれ

    • 踊り

      踊りとは残酷だ。 踊りは一人で完結することができない。 見る人が、観客がいてこその踊りなのだ。 踊っている姿を自分で直接見ることができない。 鏡やカメラを通さなければ自分の姿が見れない。 自分の考え言葉にならない思いをのせて踊る。 ひとつの表現方法。 全部見る人に委ねてしまう。 何を感じたか、何かが伝わったのか。 自分の体を生贄にして、ただ踊る。 自分の踊りで何一つ変わらないことを知っている。 わたしの考えが見る人に伝わらないことを知っている。どれだけ細かく振り付けを体に刻

      • 馬鹿げた時間。

        たった1回の4分のために10ヶ月費やす。 我ながらおかしい話だと思う。 4分の作品を作るためにかかる労力は途方もない。 深めることのできるテーマ、舞台構成、その作品にぴったりと合う音楽、衣装、ひとつひとつに意味を持たせる振り付けを全員が考え、練習し、壊し、また考える。考え続ける。 振り付けや構成が決まったあとも体の動かし方、指先、足の上げる角度、動かす速度、呼吸。0.1秒でもズレが無いようひたすら考え揃える。無駄なものが削ぎ落とされ、精神身体ともに削れ、極限状態で踊る。踊り

        • わたしとたなかさんとの出会い

          わたしがたなかさんを知ったのは3年くらい前。 いつもどおりYoutubeで動画を漁っていたら、急におすすめに「ぼくのりりっくのぼうよみ ラストライブ”葬式”2019/1/29」が出てきた。 わたしとぼくりりの出会い。こんなのどう考えても気になるに決まってる。そう思いながら結局見なかった。見る勇気が出なかった。 この動画を見たらわたしの音楽観、価値観がすべて変わってしまう気がした。まだガキ(今も)だったわたしにそんな音楽観も価値観もあるとは思えないが。 とにかくこの動画のこの

        残り香すら。