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マラソン

在宅ワーク中のリモート会議が終わった後、体が熱くなった。ぶわっと汗を掻く。「こりゃ大変だ……」と思いつつ、いざという時のために、と冷凍庫の奥にストックしてあるハーゲンダッツについ手を伸ばした。

先方からのタスクがどんどん増え、目まぐるしい。要所要所で反射的に「振り落とされそうだな」と頭の中で自分の声がこだまする。声に出してみたこともある。

けど、熱くなった体をクールダウンさせるためにアイスを食べながら、ちょっとその表現は違うかもと思った。

思い出したのは、小学校時代のマラソン大会。グラウンドを半周して外へ飛び出し、校舎周りを何周か走るコースだった。数字はもう忘れてしまったけれど、学年が上がるにつれ周る回数は増えていく。

正直人気があった行事とはとても言えなかったけれど、本気で挑んでいる生徒が一定数いて、クラスメイトが自分の順位に対して悔し涙を流した姿を見たのは一度や二度じゃない。

当時の私も、真剣に取り組んでいた方だった。なんでだろう。女子の中で10位以内を常に目指していた。

当時通っていた小学校は、けっこう勾配のある坂の途中にある。だからマラソンコースも、必然的に長い上り坂と下り坂が含まれていた。走るのやめたい、早く終わってくれよ、なんだこのコース、まだ終わらないのか、とぜえぜえ走り続けていた。毎年同じように。

そうか、いま私、マラソンの途中なんだな。いま、あの時に似ているんだな。

苦しい。走るのをやめたい。歩きたい。なんだったら止まってしまいたい。けど走っている。吸い込む酸素に苦しさを覚えながらも、なんとか。いやだけど、走り終わった後の達成感を知っている。ゴールがイメージできる。

ついていけていない、振り落とされそう、なんてイメージが頭にあったけど、苦しくても進んでいる、と思えたら気が楽になった。落ち着けたのは、アイスのおかげもあるだろうけれど。

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のん
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