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あつまれることの、いとおしさ。

ある人から、かつての学友と20年以上、年に1回集まっているという話を聞いたことがある。なんでも、いわゆるクラスや部活動の同窓会とはまた違った、特別組織化されたわけでもない有志の集まりだという。

その人は学生時代にバイトしていた、児童書の出版社の上司だった。どんな流れでそんな話になったのかは朧気だ。

ただ、「そんなコンスタントに、長く集まれるのってすごいなぁ。幹事とかどうしているんだろう?」と驚いたことを覚えている。自分が割と幹事役を担当することが多かったから、そんなに長いことできるものだろうかとおもったのだ。決まった人がやっているとしたら、すごい真面目な人だなぁ、と。

そう尋ねると、「幹事はいるにはいるけど」とその人は続けた。

「交代制なの。2人1組で、集まった後に"つぎはあなたたちね"って指名して、どんどん回していくのよ」

どうやってそんな仕組みになったかはもうわからないそうだ。うまいことハマったのね、とその人は言った。たしかにそのやり方だと一人に負担が集中しないな、と膝を打った。

けどそうやって仕組みが上手に循環していることもそうだろうけど、何より、そのメンバーで集まることをみんなが楽しみにしているから続いている縁なんだろう。

「今度近いうちに集まるの」と笑った顔が、ほんとうにうれしそうだった。

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ゆきさんにとって、いとおしいであろうご友人、仲間についてのエッセイです。

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のん
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