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生存確認
「生存確認用のInstagramアカウント作ったから、よかったらフォローしてね」
1年間は海外で生活することになった妹が、出国直前くらいに家族のグループLINEに送ってきたメッセージ。それと一緒に二次元コードをスクリーンショットした画像が送られてきた。
「フォローの仕方がわからなかったら、のんに聞いて」といった内容も続く。これは父と母に宛てたものだろう。
妹とLINE以外のSNSで繋がるのはそれが初めてだった。二次元コードを読み込むと、すでに何人か相互にフォローし合っている。野次馬根性でついフォロワー一覧をのぞいてみると、親戚や名前だけ聞いたことがある彼女の同級生の名前がチラホラ。
個々に近況を報告するよりも、SNS投稿を通じて一斉に発信した方が確かに効率がいい。「生存確認用」という言葉に、「そういう使い方があっても全然おかしくないな」と思った。
まだ彼女が出国してから1カ月も経っていないけれど、今のところ1日に2回ほどストーリーズを更新する状況が続いている。
わたしたちは元々会話が少ない姉妹だ。メッセージのやりとりも、年に片手で数えられる程度。コミュニケーションは決して多くない。
とはいえ、やっぱり遠い異国の地で元気にやっているのだろうかと心配にならないわけじゃない。
妹のアイコンが、自分のアイコンから近い位置にアップされているのを確認すると、すぐにタップしてしまう。
写真や動画とともに必ずコメントが添えられていて、それを見るたびマメだなあと思う。同時に、内容を読んで舌を巻く。おもしろい。
わたしは妹の書く文章が好きだったりする。過去2通ほどしか受け取ったことはないけれど、彼女の手紙の文面に衝撃を受けた。つい声を出して笑ってしまうような、ユニークさ。テンポのよい文章。
ストーリーズに上げられた文章は決して長いものではないけれど、それでも思わぬ形で定期的に彼女の文章を読めるようになった。数秒で画面が切り替わってしまうので、いつもタップして画面を静止させてから読む。
今のところは元気そう。心配が2割、楽しみが8割くらいの感覚で、妹の投稿を待ちわびている自分が確かにいる。
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