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ねこじた
「なんで猫舌っていうんだ?」
熱いお茶が入ったばかりで、かなり熱いであろう湯呑みをしっかりと片手で掴んだままの状態で祖父が尋ねた。
この前、祖父の計らいで大変久しぶりに焼肉へ行った。飲み物について、水かお茶を選べる。この日は雨模様ということもあって肌寒く、みんなお茶を選んだ。
お茶は店員さんがすぐに運んできてくれた。「熱いのでお気を付けください」とコトコト湯呑が置かれていく。湯気が立ち上っている。
絶対熱い。器も、中身も。ちょっとだけ指先で触れてみて、「こりゃもう少し冷まさないと、持って飲めないかも!」と怯む。
ぼーっと湯呑を眺めていると、向かいに座っていた祖父が何の間も置かずに湯呑をガッと掴み、口元へ運び、ごくごくと飲んでいる。思わず、「あ、熱くないの?!」と聞くと、「熱いよ」と返しながらそれでも飲み続けている。
唖然としながら「すごいねえ、わたし猫舌だからまだ怖くて飲めないよ」と言うと、返ってきたのが冒頭のセリフである。
「猫が熱いのを飲めないんじゃないの?」と隣で会話を聞いていた母。「本当か? それはちゃんと証明されていることなのか?」と祖父。反射的にスマートフォンで「猫舌 由来」と検索してしまう私。
出てきた結果がこれだ。
猫舌は江戸時代に生まれた言葉といわれています。江戸時代、猫はペットとしてや、ネズミを捕まえるために室内で飼われることが多くありました。共に生活する中で、猫に熱い食べ物を与えても食べられないことが知られ、猫舌という言葉が生まれたんだそう。
江戸時代の言葉なの?!
祖父にもそう伝えると、「ほー」と関心したような様子だった。某番組の「ぼーっと生きてんじゃねーよ!」が聞こえてきそうだなと思う。
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