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私のために撮る。私のために書く。

最近、約2年使い続けた「iPhone XS」から、「iPhone 13」に買い換えた。シリーズ12以降のiPhoneを、私は喉から手が出るほど欲しいと思っていた。

それは後輩でもある友人と一緒にある展覧会へ足を運んだときのこと。壁一面に広がる、かなり大きな広告が展示されていた。私が持っていたiPhoneのカメラでは、全体を画角に収めることは非常に難しい。というか、できない。目いっぱい、部屋の後ろに下がっても、両端が見切れてしまう。

そんな時、隣にいた彼女がズボンのポケットからさっと取り出したのがiPhone 12(まだ13は発売されていなかった)。その通常カメラを起動して、画面中央よりちょっと下にある「0.5」という数字をタップする。彼女の斜め後ろに立ち、ようすを眺めていた私は、思わず「ええっ」と声を上げてしまった。

「全部収まってる!」

見切れていた展示物が、手のひらサイズのディスプレイにすっぽりと収まっていた。大きい展示物を生で見るとき、端から端まで自分で目を動かして見る。だから実は、部分部分でしか目視できていない。

初めてこの展示物の全体像を見れた。もっと近くで見たいと画面を思わずのぞき込む。私の反応を見た彼女は「広角カメラが使えるようになったんですよ」とニコニコしながら教えてくれた。

良い、良すぎる。「これが欲しい!」と強烈な物欲が自分を襲った。

その時、iPhoneの使用期間がすでに2年を超えていたものの、あまり機種変しようと思っていなかった私。限界まで使ってからでいいかなあ。変えても、バッテリーの持ちが良くなるくらいだし……そんな思考が全て覆った瞬間だった。

iPhone 12を使って撮影してるのを見ては、「いいないいな〜」と言いながら、年内には絶対買い換えるぞ、と心の中で固く誓ったのだった。4月上旬のことである。

写真は、よく撮る方だ。時と場所を選ぶけど、一眼レフやフィルムカメラも愛用している。人が集まる場所では、その場にいる人たちとできれば一緒に写真を撮りたい。家でも、外食でも、可能ならこれから自分の胃袋に消えていく食事を撮影しておきたい。観光地の写真撮影は当然のことだし、晴れて気持ちの良い青空もふとした時にカメラをむけてしまう。

どうしてなのか。

どーせすぐ、忘れちゃうからだ。あまり自分の記憶を信用していない。よほど強烈な出来事がないと、「忘れないぞ」と思ったあの人との会話も、美味しい! とびっくりしたあのスイーツのことも、お店の名前も、「いい日になりそうだなあ」なんて眺めた青空のことも、なにもしなければ薄れていく。

誰かのためにシェアするのは正直二の次で、自分のために、撮る。忘れたくない自分のために。

そんなわけで、記録のために写真をよく撮る自分にとって、iPhoneの広角レンズは革命だった。一枚に収まる情報量が上がるのだ。一眼レフでもできるけど、これならレンズを変える必要がない。なんと効率的な! しかもインカメラにも広角レンズが反映されている。自撮りが楽! これを革命と言わずして何と表現すれば良いのか。

決意を固めた4月から、約7ヶ月。だいぶ経ってしまったけど、欲しい気持ちが潰えることなく、ついに手に入れたiPhone 13。少しずつ人と会えるようになってきたし、遠出もできるようになってきた。我ながら良いタイミングで買い替えたんじゃないかなあ、と思う。

このnoteも他の誰でもない、自分のために書こうと思う。自分のために写真を撮るように。写真を撮りたくてウズウズしてしまうように、書かずにはいられないレベルまで自分を引き上げていきたいなあ。

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のん
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