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金木犀の存在に気づく
「あっ金木犀の香り!」
一緒に歩いていた友人の言葉によって、意識が鼻へと集中する。深く息を吸い込むと、たしかに嗅いだことのある、あまい香り。
そのとき自分が、「金木犀の香り」を覚えていなかったことに気づいた。匂いを吸い込んだ時、「あっ、これが金木犀の香りだったか」と思ったのだ。つまり友人の言葉を聞かなければ、この香りが金木犀のものだと認識できなかった。あまり気にも留めず、歩き去っていったんじゃないだろうか。
きょろきょろと辺りを見回しながら少し歩きを進めると、すぐに香りの元を発見した。
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はじめて金木犀を写真に収めた。
こうやって写真を見返してみると、小さなオレンジ色の花はまだ咲き始めたばかりのように見える。これからもっとたくさんの花をつけ、より香りは濃くなっていくんだろうか。
少し調べてみると、一度咲いた金木犀はもって1週間ほどらしい。結構儚い。写真の金木犀はまだ咲いたばかりなのか、もう1週間近く経っているのかは皆目見当がつかない。もしかしたらこれ以上は咲かない可能性がある。そう考えると、少し寂しい気持ちにもなる。
9月中旬から10月下旬が開花時期の金木犀は、秋の訪れを知らせる花とも言われるそう。この日は羽織っていたジャケットを脱ぎ、半そで姿で歩くほど暑い日だった。けど、それでも着実に秋はやって来ているんだなとあらためて思う。
それにしても、1年前くらいのわたしなら、こんな風に花に注目すること、関心を寄せることはあまりなかった。ちょっぴり「取材者の目」がついてきてるのかしら、なんてことも頭をよぎった。
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