入試直前期の伸び悩みに対する3つの根本的アプローチについて
11月も後半にさしかかり、(特に関西では)いよいよ中学入試に向けてラストスパートの時期となりました。
今年度の僕の担当生徒さんたちも、直前期のプレッシャーを感じつつ、日々がんばってくれているように感じています。
うまくいっている人もいる一方で、当然伸び悩みの時期を迎えている子もいるのが事実でしょう。
この時期は勉強の方針を見直すことができる最後のチャンス。(科目によっては関西の入試ではもう間に合わないかもしれません)
ここを過ぎたら、仮に最良とは思えないやり方であっても、それで突き進むしかありません。
今回はそんな最終局面で行うことができる成績の伸び悩みに対する打開策についてまとめていきたいと思います。
伸び悩みの3病巣~あなたの伸び悩みの原因はどこにある? ~
「前回の模試で○○の科目が悪かったので勉強量を増やします」とか、「過去問で○○の科目が停滞しているのでどこを振り返ったらいいですか」とか、この時期は伸び悩む科目に関する相談が増えてきます。
とにかく前向きに取り組もうとする姿勢そのものは悪くはないのですが、いったん立ち止まって「自分の伸び悩みの原因がどこにあるのか」を検討する必要があります。
伸び悩みの原因が学習量の特定単元の知識の欠落にある場合ならば、このアプローチは正解でしょう。
しかし現状を分析してみると、伸び悩みの原因がほかの部分に存在するという場合も少なくありません。
伸び悩みの根本原因には、次の3つがあります。
模試の結果や過去問の状態を見て勉強量を増やしたり、特定単元の復習に力を入れるのは①のアプローチ。
勉強方法の見直しをする場合には、②や③の部分に伸び悩みの原因が潜んでいる可能性を考慮しなければなりません。
「行動選択の誤り」と「意思決定の誤り」
努力目標の誤りに関しては、単純にa量が足りていないこととb特定単元が弱いということくらいで収まるため、改めて説明する必要はないと思いますが、②行動選択の誤りと、③意思決定の誤りに関しては少し説明をしておきたいと思います。
まず行動選択の誤りとは、そもそも立てた勉強の戦略自体に課題がある場合です。
たとえば、「国語の読解が苦手だから一日一問の問題演習を設定する」という戦略を選んだのはいいけれど、そもそもの課題が圧倒的な語彙不足にあるため成績が伸びないなど。
この場合、やるべきことは、「国語の読解問題の演習を増やす」ではなく、「演習量を減らして語句の勉強を増やす」になります。
そもそも今採用している勉強方法の延長に、自分の望む結果が期待できないために大幅な方針転換が必要であるというのが②の行動選択の誤りです。
次に③の意思決定の誤りについてです。
意思決定の誤りとは、そもそもその人の考え方や認識に伸び悩みの原因が潜んでいる場合です。
たとえば、「アドバイスをください。その中から必要だと思うものを選んで実践したいと思います。」みたいなパターンがここに該当します。
この場合、伸び悩みの原因は演習量ややり方にあるのではなく、「もらったアドバイスの中から取捨選択」しようとする本人の取捨選択の部分に課題が潜んでいます。(ちなみにこの伸び悩みの原因に該当するのは保護者の方である場合も少なくありません)
あるいは、立てたスケジュールを後回しにして直近の立て込んだ課題から手をつけてしまうとかもここに該当するでしょう。
根本的対策に向けて
それぞれの対策は①→②→③と進むにつれて難しくなるわけですが、その理由は③へ進むほど、自分の生活習慣に深く関わる部分だからです。
①の勉強量を増やすというのは物理的な負担は大きいですが、それまでの自分のやり方に対する誤りを認めるというプロセスは必要ないため、それをする精神的負担はありません。
それに対して②の行動選択の誤りに関しては、自分のそれまでの取り組みが誤りであったという「失敗を受け入れる」こと、および新たな仮説に基づく戦略の練り直しが必要なため、そちらに舵を切る精神的負担が大きくなるわけです。
実際にここでプライドが捨てきれず、頑なに勉強量を増やすことをし続ける生徒さんを毎年見てきました(その結果は言わずもがな…)
②でそれだけの抵抗感であるならば③はより難しくなってきます。
③の場合、本人が当然これでいいと思い、それまで意識すらしたことがなかった部分に対して修正を求められるからです。
これをするには、いったん他人のやり方をゼロからトレースする必要があります。
逆にいえばこれが受け入れられればここからでも大逆転が見込めますが、大きな成果が見込める反面、それを選ぶ負担は相当なものです。
直前期に入り、ここからはやらねばならぬことの中からどれを切り捨てていくのかという判断の繰り返しになります。
そのぎりぎりのタイミングが今です。
伸び悩みに焦りを感じているご家庭がございましたら、ぜひ上記の点を意識してみるようにしてください。