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【中学受験】3年生〜6年生まででいつどんな勉強をすればいいか?前編

国語は何をしたらいいのか分からないと言われることの多い科目なのですが、合わせて多いのがいつ、どの時期に、どういう勉強が必要なのかという相場感に関する悩みであるように思います。
今回は3年生〜6年生の間で、どの時期に何を身につけるべきなのかという全体の流れについて紹介したいと思います。

3年生から6年生までに身につけるべきこと

もちろん細かく分けていけば、いろいろなことはあるのですが、今回はあくまで全体の流れをまとめることを目的にするので、年単位で区切って進めていきます。
まずはそれぞれの学年のコンセプトから。
3年生から6年生までの学年に関して、僕は次のようなコンセプトを持ってカリキュラムを組んでいます。

3年生 言語世界と生活世界の拡張と連結
4年生 学習の基本姿勢の習慣化
5年生 深い読解能力の育成
6年生 受験に合格する解答力の習得

実際にはこれに加えて4年間を通して①語彙力②論理的思考③メタ認知力という 3つの力の育成は根底に据えた目標として存在するのですが、こちらに関しては国語であれば言わずもがなという感じなので今回は割愛します。

3年生で身につけたい国語の力

さて、さっそくそれぞれ見ていきたいと思います。
まず3年生では僕は具体的な小テストの点数や、模試の結果をほとんど見ません。
課題に関しても、提出してもらうことは守らせますが、その内容の質についてはネガティブなフィードバックを極力しないようにしています(熱中して取り組めばいくらでもやり込めるし、さっと終わらせたいのならそれほど時間がかからない宿題にしています)
国語は言葉を扱うため、ほかのどの科目よりも生活環境の影響が大きく、それゆえに個々の能力差が大きくなってきます。
3年生ともなれば身近に活字が溢れている子と、そうでない子の差はかなりなもの。
極端な話、幼い頃から本が好きな子と殆ど本を読まない子では、国語の文章問題を見た時、前者は普通に読み進めるのに対し、後者はそもそも文字に目を向けないというくらいに基本姿勢が異なるのです。
こうした3年次に大切なことは、テストや細かな宿題への取り組み以上に、「言葉」というものが身近な存在になる事です。
そして、言葉を身近にするには、①活字に触れる機会が増える事、②日常での経験を増やす事(知らなきゃ興味は持てません)、そして③経験を言葉で把握できる事が大切です。
3年生のコンセプトを言語世界と生活世界の拡大と連結と書きましたが、それは上の①〜③を身につけるという意味で掲げています。
①〜③は勉強というよりも日々の生活の中で身につける色合いが強いものばかりです。
そのため、週に一度の授業はこうした①〜③への興味を持たせる、また行動に移させるためのハブになるような役割で設計しています。

4年生で身につけたい国語の力


4年生では基本姿勢を身につける事を目標にしています。
具体的には次の4つ。
①毎日音読をする習慣
②漢字テストで合格するために毎日勉強する習慣
③語句を辞書で調べる習慣
④漢字を使って丁寧に文字を書く習慣
どれも当たり前に思うかもしれませんが、実はこれらを4年生時点で完璧に身につけている子は殆どいません。
そして全てに「習慣」と書きましたが、これらの事項を義務や努力ではなく「習慣」にまで落とし込むのは実際にやってみるとかなり骨が折れる作業です。
しかし、逆に言えばこれさえできていれば5年生以降の勉強がとにかく楽になります。
そのため、4年生のコンセプトを学習の基本姿勢の習慣化にしているのです。

具体的には課題をかなり細かく設定して、それぞれが習慣の域まで落とし込める仕組みづくりをしています。
漢字に関しては、宿題の冊子に日付が書かれた漢字練習シートを挟んであり、生徒さんにはそのシートに書かれた日付の部分に漢字練習をしてもらうようにしています。
それにより、その後の1週間の漢字の練習量と練習する日にちの傾向を知る事が目的です。
そこを掴んだ上で、適切な練習量や練習日のアドバイスをすることで、8月くらいには毎回の漢字テストで7〜8割の点数に到達すれば十分くらいの想定で半年ほどかけて漢字の勉強習慣を身につけます。
よく、4年生が始まって衝撃的な点数を取ってきて保護者の方が驚いたりするのですが、こちらとしてはそれも想定済み。(夏に取り戻します)
「テストで合格」という意識づけひとつとっても非常に時間がかかるのです。
(因みに、日付の書かれた日にそのプリントに漢字を書くという作業の習慣化もひと月くらいを想定しています)

次に音読は宿題の冊子にチェック欄を用意して、できる事なら保護者さんに聞いてもらってチェックをしてもらうようにしてあります。
これは、子供たちに音読をさせるのに加えて、保護者の方に4年生の音読の精度を正確に知ってもらうのと、成長を直に感じ取ってもらう事が目的です。
国語はとにかく勉強が結果に反映されるまで時間がかかる科目なので、こうした変化で効果を実感してもらい、並走できるようにしています。

辞書を使う習慣に関しては、毎回次の授業で使う教材に出てくる語句の中から7つを選んで一日一語辞書を引いて、例文を作るというプリントを用意しています。
辞書を引く習慣と、それを自分のものとして使いこなす練習です(これは最終的な記述問題への抵抗を無くす意図もあひます)
時間にして一日五分もかからない課題で、毎回授業時に添削と声かけというコミュニケーションを通してモチベーションを維持、毎日行う事をじっくりしつこく追いかけます。
こちらの想定としては1年後にこれらができていれば万々歳という想定です。

最後に字を漢字できれいに書くという習慣です。
これは特に思考が早い子に多いのですが、自分の思考の速さに対して筆記という行為が遅すぎるため、思考力に合わせて書こうとして字が雑になるというお子さんが多くいます。
一般に思考が速い=頭がいいように思われがちですが、思考が速いのは「思考が軽い」というだけで、必ずしも思考力が高いとは限りません。
このタイプは自分の情報処理範囲を超えない内容を一瞬で処理する事が速いのです。
国語では自分の思考力が及ばないような難解な文章を、時間をかけて理解する事が求められる事が多くあります。
そんなとき、いわゆる「頭の回転の速さ」は、むしろ大きなマイナス要因になることがあるのです。
これを物理的に直していくのが丁寧な字を心がける習慣です。
アウトプットの速度を制限して仕舞えば、思考速度はそれに合わせざるを得ません。
丁寧な字を心がけることで、4年生の内からゆっくりと深い思考の可能性を養っていくわけです。
また、漢字を使うというのは吸収できる情報量を増やすトレーニングでもあります。
字からイメージを得やすい漢字をキチンと使う事で、意味をイメージしながら文字と向き合う習慣を1年間かけてじっくりみにつけます。
こうした習慣づけを1年間徹底的にしつこく丁寧に追いかけることで身につけていくのが4年生の学習の中心的な内容です。
これらが当たり前になっていると、国語に限らず5年生以降の学習で指数関数的な伸びが期待できるのです。

5,6年生で身につけたい国語の力

5,6年生もまとめて書こうと思っていたのですが、思いの外文字数が増えてしまったので、高学年編は後半として次の記事でまとめたいと思います。


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