君のせい
私には、大好きなお兄ちゃんがいる。
彩)○○〜〜!!お散歩行こ〜〜!
……。
ガチャッ!🚪
○○母)あら彩ちゃん!元気?
彩)はい!
○○母)○○今準備してるからもうちょっと待ってね?
彩)は〜い!
私と○○はお隣さんでよく公園へお散歩に行く。
○○は高校生で、私より三歳年上。
小さい頃から私の面倒を見てくれたから私は○○のことをお兄ちゃんのように思っている。
○○母)そっか〜、彩ちゃんももう中学生なのね〜。
彩)はい、大人になりました!
○○母)ふふ、そうね〜。
○○)彩、お待たせ。行こ?
彩)うん、行ってきます!
でも、本当は…
私はお兄ちゃんに恋してる。
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彩)ほら見て、綺麗だよ!
○○)そうだな。
満点の星空の下、私とあなたは手を繋ぐ。
かじかんだ指にじんわりと温かさが広がって、少しだけ汗ばんでしまいそうになる。
○○)寒くない?
彩)うん、大丈夫!
本当はちょっと寒いけど、あなたが隣にいるなら我慢できる。
○○)こら、嘘ついたらダメでしょ?ほら、これ着な?
彩)…うん、ありがと。
あなたのコートに包まれて、あなたの香りが鼻をくすぐる。
些細なウソでも気づいてくれるあなたに、隠し事なんてできないのかも。
彩)あ、見て雪〜!
○○)お〜、ほんとだ。
彩)初雪だ〜!!
○○)楽しそうだね。
彩)うん!これ積もるかな〜?
○○)どうだろうね。
髪にかかった粉雪をそっと振りほどいて頭を撫でてくれるあなた。
そんなあなたへの好きが、心の中でどんどんと積もっていく。
何気ない今この瞬間が、まるでドラマのワンシーンのようにあざやかに彩られる。
彩)もし積もったら、明日は雪合戦しようよ!
○○)そんなことしたら彩風邪ひいちゃうでしょ?
彩)ううん、大丈夫!
だって、あなたが温もりをくれるから。
きっと、あなたが私を温めてくれるから。
私はあなたのぬくもりを独り占めしちゃうかも。
きっと、それは冬のせいだよね?
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彩)えいっ!
○○)あ、おいっ!
彩)えへへ、やっ!
○○)彩!やめてって!
彩)嫌だ〜!
雪玉を作って○○に投げつける。
○○は冷たそうに身を屈める。
○○)ちょっと待って!
彩)え?
○○)ふふっ、えいっ!
彩)あいたっ!ずるいよ〜!
○○)先にやったのは彩だよ!
彩)む〜!えいっ!
○○)えいっ!
お互い真っ白になって、顔が真っ赤になって、雪合戦をした。
彩)あ〜楽しかったっ!!
○○)寒い…早く帰ろ?
彩)うん。
きっと、明日も明後日も会えるのに。
帰り道は寂しくてその笑顔を引き止めたくなる。
彩)やっぱり好きだな〜、ここの公園。
○○)僕も。
好きな風景も
隣を歩くあなたの歩幅も
彩)〜♪
○○)〜♪
彩)あ、もしかしてそれあの歌?
○○)そうだよ。いつも2人で歌ってるあの歌。
ふいに口ずさむ歌も
何気ないことがおんなじになってきた。
こんな小さな奇跡も、あなたとだから嬉しくて。
あなたへの気持ちを表すのに、きっと好きだけでは足りない。
だから、あなたに教えてほしい。
好きよりもさらに上の愛情表現。
「愛してる」の意味を教えて。
彩)○○。
○○)ん?
彩)私ね、思ったんだ。今こうやって○○と彩が出会えたのって凄いことなんだなって。
○○)どうしたの急に笑
彩)だから、これからも私のそばにいてね?
○○)う、うん…。
彩)…ありがと。
○○)あ、彩?!なんで泣いてるの?
あなたのことが好きだから。
あなたが大切だから。
彩)えへへ、なんでもない!
○○)ほ、ほんとに?
あなたからもらったぬくもりだけじゃなくて
心の奥までも温かいのは、きっと恋のせいだよね?
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○○)見て、星が綺麗だよ。
彩)ほんとだ〜!
○○)彩、知ってる?今僕たちが見てる星って何年も前の星の光なんだって。
彩)そうなの?
○○)うん、だから僕たちは過去の星を見てるんだよ。
彩)過去の星…
○○)凄いよね、奇跡だよ。
私たちが出会えたのは奇跡なのか、運命なのか。
それはまだわからないけど、どんな未来にだって、あなたがいて欲しい。
サヨナラなんて永遠に来ないでほしい。
数百年、数千年前の星に、そう願いを込めて。
彩)ねえ、明日はどこ行く?
○○)明日?う〜ん、どうしよっか。
彩)私ね、○○とだったらどこでも行ける気がするんだ!
○○)どこでもは無理だよ笑
今積もっているこの雪は、明日になれば全部溶けて消えてしまう。
でも、私のこの気持ちはずっとずっと消えない。
あなたがくれたぬくもり、独り占めしたいから。
彩)○○っ!ギュ~ッ!
○○)うわっ、彩?!
彩)大好きっ!!
だから抱きしめちゃった。
でも、これはね…
「君のせい」
fin.
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