Dear… 第八話「剥がれた衣の真実」
飛鳥さんと付き合い始めてから半年が経った。
あの初デート以降もしばしばお忍びデートを重ねている。
しかし、最近はあまり会えていない。
その理由は…
美波)忙しいね〜、飛鳥さん。
○○)そうですね。
そう言って梅澤さんが広げている新聞紙を見る。
「齋藤飛鳥最新作、ついに上映!!」
飛鳥さんが主演を務める映画がついに完成して、これから上映する。
そのための試写会やらなにやらが迫っているから、最近あまり会えていないのだ。
美波)もちろん見にいくでしょ?
○○)いや、僕は行かないです。
美波)え〜、なんで〜?!
○○)原作を読んでみたんですけどそこまで面白くないし、それに相手の人が狙ってるとかなんとか言ってたじゃないですか。だからなんか…
言葉に詰まると、梅澤さんが思いついたように言った。
美波)あ!分かった嫉妬でしょ?笑
○○)ち、違いますよ!
確かに役だとはいえ、飛鳥さんが他の男と仲良くしてるのは見ていられない。
でも、それは仕事だとお互い割り切っているし、僕も納得している…
多分。
美波)まあ気持ちはわかるよ。じゃあ、そんな○○くんにこれを見せてあげよう!
梅澤さんは僕に動画を見せてきた。
○○)なんですかこれ?
美波)雑誌のインタビューみたいなやつ。まあ見てなって笑
何が何だかよくわからないまま、その動画に目を落とした。
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「今回の作品はどうですか?」
飛鳥)そうですね、恋愛小説はあまり読んだことなかったですけど。今回出演するにあたり読ませていただいて、人物一人ひとりの心情が丁寧に描かれていて、感動したんです。
なので、出させていただけることを光栄に思いながら張り切って演じたので、良い作品になってると思います。
「齋藤さんご自身は、恋愛についてどうお考えですか?」
飛鳥)え〜?笑、そうですね…なにに対してもそうなんですど、私、一度好きになると結構止まらないタイプで、もし付き合い始めたら相手を困らせちゃいそうで心配ですね笑
「結婚願望とかはありますか?」
飛鳥)ん〜、私多分付き合ったらすぐ結婚したくなるタイプなんですよ。付き合う=結婚みたいな感じ?笑。
だから、付き合うならちゃんとこの人となら結婚してもいい、って思える人とじゃないとダメなんです。あれ、質問なんでしたっけ?笑
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美波)だそうですよ、彼氏さん?笑
○○)か、揶揄わないでください!///
飛鳥さんがそんなことを思ってくれてたなんて…
美波)結婚、○○くんはどうなの?
○○)まぁ、僕も飛鳥さんとなら、いいかなって…
美波)きゃ〜〜〜!!、最高だよ○○くん!!
○○)もう、うるさぁ〜〜〜い!!
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飛鳥)よっ。
○○)どうも。
今日は久しぶりに飛鳥さんとデート。
飛鳥)寂しかった?笑
○○)寂しかったです。
飛鳥)即答だね笑、ごめんね、色々と忙しくて。
○○)映画ですよね?
飛鳥)うん、見てくれる?
○○)飛鳥さんが他の男と仲良くしてるので嫌です。
飛鳥)私だって嫌だったよ、あんな奴とキスとかしなきゃいけないの。
○○)まだ狙ってくるんですか?
飛鳥)うん。もうほんっとにしつこくてさ〜、私には○○がいるってのに。
○○)まさかその人に言ってないですよね?!
飛鳥)言うわけないでしょ?笑、でも自慢したいくらいだよ、お前なんかよりもいい彼氏います〜って。
○○)勘弁してくださいよ…
飛鳥)ふふっ、やっぱり○○と話すと落ち着く。
飛鳥さんは僕の胸に顔をおとす。
○○)見られちゃいますって。
飛鳥)じゃあ見られないところ行く?
○○)見られない場所って?
飛鳥)それは…
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飛鳥)私の家〜!
○○)でっか…
多分僕が一生涯働いても買えないような高層マンションの高層階。
改めて僕と飛鳥さんの格の違いを思い知った。
飛鳥)ささ、入って入って〜。
○○)お邪魔します…。
うわ、いい匂い…飛鳥さんの匂いだ。
女性の家に入るのは初めてだから、緊張してしまう。
それにしても…
飛鳥)何にもない、って思ったでしょ?
○○)え、なんで分かったんですか?
飛鳥)顔に書いてた笑、自分でも思うもん。あんまり物がいっぱいあるの好きじゃなくてさ。
○○)飛鳥さんらしいですね笑
飛鳥)褒め言葉として受け取っておく。笑
飛鳥さんに促され、僕はベッドに腰掛けた。
すると、飛鳥さんは上着を脱ぎ出した。
○○)ちょっ、ちょっ?!
飛鳥)なに?これからシャワー浴びようと思っただけなんだけど?
○○)そ、そっちか…
飛鳥)もしかして期待しちゃった?笑
○○)べ、別にそんなことないですから!
飛鳥)ふふ、ほんと隠すのが下手…
そう言うと飛鳥さんは僕の隣に座った。
なんとなく、この後なにが起こるか分かった気がする。
飛鳥)ねぇ、私たち付き合ってるんだよね?
○○)はい。
飛鳥さんはシャツを脱ぎ捨てた。
飛鳥)私のこと、好き?
○○)もちろんです。
…スカートすらも脱ぎ捨て、飛鳥さんは下着姿になった。
飛鳥)じゃあさ、
「なんで襲わないの?」
飛鳥さんは僕の手を握りしめ、僕の目を見てそう言った。
○○)…いいんですか?
飛鳥)こういうのに許可なんていらないのよ…
飛鳥さんは僕の腕を引いて横になり、僕が覆い被さるような体勢になった。
飛鳥)ほら、きて?
僕はなにも言わず、飛鳥さんを抱いた。
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「○…○…○○」
「逃げちゃだめ、ちゃんと向き合って…」
「○○…あ…まもれ…の…あな…だけ、よ…」
○○)はっ!、、、また夢…
ちゃんと向き合う?母さんと父さんのことか?
それに、最後のはなんで言おうとしてたんだ…?
○○)そっか、昨日は飛鳥さんと…
隣に目をやると、飛鳥さんの姿はなく代わりに手紙が置いてあった。
「私は仕事行ってくるから、○○は好きにしていいよ。もし帰るなら、合鍵置いておくから鍵閉めていってね!」
○○)…とりあえず帰ろう。鍵は…持っておくか。
洗濯されて、丁寧に畳まれた服を着て家を出た。
服からは飛鳥さんの香りがして、昨日のことを思い出してしまった。
○○)ただいま〜。
真夏)○○っ!!
○○)おかあさん、どうしたの?
真夏)ちょっと来て!
○○)え?うん…
こんなに焦るおかあさんは初めて見た。なにがあったんだ…
○○ちち)○○!、これって…
おとうさんは一枚の新聞を見せてきた。
真夏)これ、○○だよ、ね?
○○)あぁ…あ…
「女優齋藤飛鳥、一般男性と交際か。」
To be continued……
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