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ドクターイエローと僕
先日、「新幹線のお医者さん」「幸せの黄色い新幹線」ことドクターイエローのT4編成(要は2本あるうちの1本)がラストランを迎えた。
僕は、情報を知ったのが遅かったのと、その後会いに行けるのが日が落ちた夕方だったこともありラストランには行かなかったが、全国津々浦々にたくさんの人がその姿を見届けに行ったようである。
幼少期から鉄道が大好きだった、そして祖母の家から東海道新幹線が見えるという、新幹線と近い環境で育ってきた僕にとって、ドクターイエローという電車は特別な存在だった。
実際の接点は3回だけだったと記憶しているが、意識することは多かったと思う。
そこで今回は、僕とドクターイエローの思い出を語っていこうと思う。
1回目:突然の出会い
僕が初めてドクターイエローと出会ったのは、僕がまだ小学生になっていたかいなかったかくらいの頃である。
祖母が静岡県に住んでおり、季節休みとなると僕は家族で度々祖母宅を訪れていた。
祖母の家は新幹線の沿線にあり、なんと玄関先や庭から新幹線が見えたのである。
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そんな環境で育ったこともあり、必然なのか、僕は鉄道好き、新幹線好きの男の子に育っていった。
祖母宅に行く際は新幹線に乗るのを楽しみにし、新横浜の駅で新聞の付録で貰ったフィルムカメラで写真を撮った。
祖母の家に行った時は、子供の背だと庭の塀で新幹線が見えなかったので、脚立に登って新幹線を見ていた。
(新幹線の通過する音だけ聞こえて肝心のボディーが見えないって結構気になるものよ…)
ある日の昼のことだった。
僕は一人で祖母の家の庭で、脚立に登ってぼーっとしていた。
家族はみんな、お昼ごはんの支度やテレビを見るので家の中にいた。
そのとき、いつものように通る新幹線を見送ろうとしていた僕に衝撃が走る。
黄色い…!!
窓少ない…!!
なんか短い…!!
新幹線が大好きな少年が、その正体を知らないはずがなかった。
生まれてこの方、本やテレビでしか見たことがなく、幻だと想っていたそれが、突如として目の前に現れ、瞬く間に過ぎ去っていく。
少年の心は、興奮の絶頂に達していた。
「ドクターイエローだ!!ドクターイエローが来た!!」
大興奮で家に戻り大騒ぎすると、家族は、
「え?見間違いじゃないの?」
…いや、そんなピンポイントな見間違いするわけあるかい!!
その日から僕は、通過する新幹線の姿を意地でも見ようとジャンプして色を確かめるようになった。
2回目:会いに行くよ
再開は、随分と時期が過ぎ、僕が中学1年生になったときである。
まるで色違いポケモンの出現を期待するのと似た感覚で、ドクターイエローとの再開を期待していた僕だが、全くその機会は訪れなかった。
だが、中学の鉄道好きの友達との会話が、その運命を変えることになる。
「今度ドクターイエロー撮りにいかない?」
「!?」
(ドクターイエローって、狙って撮りにいけるものなの…?)
このとき初めて知ったのだが、ドクターイエローには非公式の時刻表があるようである。
当時はまだインターネットが普及して久しい時期だったが、ググったら確かに時刻表と、運行予測日というのが出てきた。
ちょうどその日は、祖母の家に行く日だった。
友達と新横浜で待ち合わせし、僕は初めてドクターイエローに「会いに行った」。
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3回目:君に会えると知ったから
3回目の出会いは、2回目から半年もしないうちに訪れる。
僕は、家族と一緒に熱海に旅行に来ていた。
来ていたというか、来てすぐのタイミングの話であった。
熱海のホームに降り立った僕達は、気になるものを見つけた。
電光掲示板の2つ先に、「回送」という文字を見つけたのだ。
「何?回送って」
「ドクターイエローかな?」
まさかな…と半信半疑になりながら、僕達は駅員さんに訪ねてみた。
「あ、ドクターイエローですよ」
!!
そんなの待つに決まってるやん!!
1時間弱待っただろうか。
その時は訪れた。
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なんと神々しい…
何度会っても、君は僕の少年心をくすぐる。
そして、停車してくれたとはいえども、その時間はあっという間に過ぎ去る。
僕は、彼との再開を祈りながら、別れを告げた。
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彼とは、それっきりである。
久しぶりに、顔みたくなった
よくよく考えると、かれこれ15年近く会っていなかった。
ただ、幼少期にドクターイエローに脳を焼かれた僕は、新幹線の見える場所、音が聞こえる場所に行くと今でも彼を意識してしまう。
これが、恋…!?(違う)
ドクターイエローは、まだ1両は2027年頃まで走り続けるらしい。
今度、久々に会いにいきたいなと思った。