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ADHDが身につけがちな生存戦略、道化

ADHDが身に着けがちな生存戦略、それは「道化」です。

うっかりミス、やらかしの多いADHDは、そのミスを減らす策が尽きると、それでも何とか人間関係の輪に入るために、道化という求愛行動を行います。

現に、私がそうなのです。

今回はこの「道化戦略」に関して、その是非を考えてみたいと思います。

ADHDが道化になる原因

ADHDが道化になる原因、それはADHDの特性からくるミス・やらかしです。

その中でも
・遅刻
・ケアレスミス
は典型例です。

これらのミスは誰にでもあることでしょう。
しかし、問題になるのはそのミスの量です。

年に一度や二度なら大した問題になりません。
でも、月に一度、週に一度だったらどうでしょうか?

周りからの信頼を失います。
その結果として孤立してしまうことも少なくありません。

我々は反省しないわけではありません。
むしろ、その失敗をいつまでも深く後悔します。

そして恐れます。
また同じ失敗をしてしまうことを。

でも、それでも失敗してしまう。
そのときに考えるのです。
「失敗してもなお、人と繋がるにはどうすればいいのか?」と。

そうして我々は道化の道に進むのです。

道化戦略とは?

道化戦略は太宰治の『人間失格』から名付けました。
『人間失格』にも、同じように人と繋がるために道化になる主人公、葉蔵がいたからです。

そこで考え出したのは、道化でした。
それは、自分の、人間に対する最後の求愛でした。自分は、人間を極度に恐れていながら、それでいて、人間を、どうしても思い切れなかったらしいのです。
(人間失格 太宰治著 新潮文庫 1998年)

私は、この葉蔵の求愛を他人事とは思えませんでした。
私の人間関係の構築方法も、まさにこの”道化”による求愛だったからです。

私のとる道化戦略とは、
「人から愛されることで、ミスによる損失を軽減する」
というものです。

どう頑張ってもミスしてしまう。
それで数えきれないほどの関係を壊し、信頼を失ってきた。
だからこそ、人に許されるような人になろう。

それが、道化戦略です。

道化戦略を実行するには、準備が必要です。
今までと同じように人間関係を構築しても、今までと同じように信頼を失って終わりですから。

だからこそ、我々は仮面をかぶります。
必死で”イイ人”を演じるのです。

それは本当はイイ人ではないことを意味するわけではありません。
ただ、素性としてのイイ人以上に、気を遣い神経を研ぎ澄まして、”イイ人”を演じるのです。

後はその”イイ人”をひたすら積み重ねます。
来るべき「ミスの日」に備えて。

大きなやらかしをしてしまい、今までの関係の輪が揺らぐその時に備えて、長い間必死で準備するのです。

そして「ミスの日」に、我々は懇願します。
はたから見たら、”イイ人”が苦笑いしながら謝っているようにみえるでしょう。

しかしその心の内では、跪いて必死で許しを乞うているのです。

それは良い結果を生むか?

残念ながら、この道化戦略は良い結果を生みません。
より正確に言うならば、良い結果を生む前に自分が潰れてしまうのです。

道化戦略による自分は、本当の自分ではありません。
必死で演じた偽りの”イイ人”です。

そんな自分をずっと続けられるわけはありません。
いつか必ず、潰れてしまう日が来るのです。

そうして結局は、人間関係が壊れてしまう。
そんな結末を迎えてしまうことも、少なくないのです。

おわりに

結果として、「そのままの自分」でいられる居場所を見つけるしかないのです。

全ての居場所が、そうであるということは難しいことです。
しかし1カ所でも、ありのままの自分が許される居場所があれば、我々は仮面を脱ぐことができます。

そっと仮面を脱ぐ場所が、我々には必要なのだと思うのです。


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