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カルチャーを作るということ

今回は組織の中に新しい文化を根付かせたい時に取り組んだことを紹介します。

私はいわゆるエンジニアと呼ばれる仕事をしていて、それも事業会社ではなくお客様業務(SES)として携わっています。
簡単に言ってしまえば「派遣」です。組織に属しながら、別の組織に放り込まれて仕事をするわけです。

よくSESで嘆かれるのは「帰属意識」というワード。
所属している組織とは別の場所で仕事をするので、同じ組織の仲間を知らない/所属している意味を感じない、ということを無くすための取り組みです。

帰属意識をキーワードにしない

私が取り組む前に意識したのは「帰属意識を高める」ことそのものを目標にしないことです。
帰属意識を高めて得するのは組織です。個人ではありません。

「SESだから」「お客様業務だから」ということに意識を向けるのではなく、もっと個人がワクワクする目標を掲げます。
それこそ事業会社のノリで「エンジニアカルチャーを作る」みたいな目標にするわけです。

エンジニアカルチャーというキーワードは、メリットが双方にあるように感じられます。
エンジニア1人1人があんなことやこんなことをやることで組織が成長する、という仕組みにするわけです。

2つの軸を立てる

エンジニアカルチャーを作る、と言っても、具体的にどんなことをすれば良いか分からないと行動に映せません。

私の周りや上長とも相談しながら、まずは2軸に設定することにしました。

  • 同期的コミュニケーション

  • ナレッジシェア

同期的コミュニケーション

SlackやTeamsといったチャットツールは非同期的なコミュニケーションツールです。
相手からチャットが飛んできても、それに既読を付けたり、返信したりするのは、すぐでも良いし1時間後でも良いわけです。

相手と一緒の時間を共有してコミュニケーションをしないやり方、これが非同期的コミュニケーションです。

一方で同期的コミュニケーションは、オフィスでのフェイスtoフェイスの会話を想像してください。
対面で会話している時に、会話を無視して1時間後に返答するって出来ないですよね。

同期的コミュニケーションは、相手と一緒の時間を共有してコミュニケーションするやり方です。

同期的コミュニケーションは、目の前に相手がいるということです。
では、リモートワークやSES形態ではどうすればよいでしょうか。

幸いにも私たちの組織は常駐ではなく、ほぼ全員がリモートワークをしていたため、業務用のPCと社内用のPCで端末を分けることができました。
(社内用PCで業務をしているメンバーもいます。)

そのためバーチャルオフィスを立てました。

この時に重要なのが「全員を招待するが入るか入らないかは自分次第」と、使用を義務付けないことです。

まずはこういう新しいことに興味がある人たちに試してもらって、それを日報や週報で口コミとして広めてもらいます。
例えば「バーチャルオフィスで仕事のこと相談できてよかった」や「仕事中にゲームしている感覚になった(笑)」とか、カジュアルにメリットや感想を投げてもらいます。

そのうち改善点が上がってきます。
そしたらすぐにリプライを飛ばして、バーチャルオフィスに入って、聞きに行きます。
すぐ取り組める内容なら、そのフィードバックをすぐに反映します。

するとその人の感想は「バーチャルオフィスで相談したらすぐ対応してもらえた」になります。

SlackやTeamsで今までは相談しても待たされていたのに、バーチャルオフィスにしたらすぐ解決した、となれば同期的コミュニケーションへの印象はよくなります。

こうして同期的コミュニケーションの良さを、強制せずに広めていくのです。

広めることができれば、さまざまな恩恵を得ることができます。

些細なことでも口に出してくれるようになったり、個人の結びつきが強くなったり…。
入社したてでも実際に話してフォローアップできるので、相手の状況・自分の状況も伝わりやすくなります。

ただ大人数での会話は成立しないため、2人~3人での会話が多くなってしまうのが難点です。
本当の同期的コミュニケーションは出社することでしか得られないのかもしれません。
(まだアイデアを思いついていないだけな気もします。)

ナレッジシェア

端的に言うと「個人の知を集合知に」ということです。

その人がプロジェクトで得た知識は、アウトプットする機会がなければその人だけのものになってしまいます。
もちろん個人の成長ということであれば、それでも良いのですが、ほかの人も知りたがっている情報だった場合に、また調べなおす手間がかかります。

一度知った情報はオープンにして、ほかの人も検索でき習得できるようにする。
これがナレッジシェアです。

noteやQiita、Zennなどは良い例です。
ここにはその人が書かなければ知りえなかった情報がたくさん転がっています。
これを組織に導入するわけです。

と言っても、記事を書くには時間がかかります。
これも「月に1本書いてね」と強制せず、ふとした時に書いてもらえるようにします。

まずは書くことの抵抗感をなくす&操作感を知ってもらうために、全員に自己紹介記事を書いてもらいました。
同期的コミュニケーションをする際に、自己紹介の記事を見ておくとアイスブレイクがしやすくなるというメリットもあります。

次に技術チックな記事を自分から投稿していきます。

ここで大切なのが自分が良いなと思った社内チャットのやり取りがあったら、その人に話しかけて「記事にしてみませんか?」と声をかけてみることです。

まずは同期的コミュニケーションで、ある程度の信頼を得られている人から声をかけていき、記事の母数を増やしていきます。

記事が増えていくと、そこで検索する人も増えていきます。

検索して良い記事を見つけられた人は「いいね」をしますし、時間があればコメントもしてくれます。

バーチャルオフィスと同じように、メリットを人づてで伝搬させていくことで広めていったわけです。

カルチャーの土台を作る

さてここまでは大きく設定した2軸の取り組みを紹介してきました。

この2軸は「エンジニアカルチャーを作る」ための土台作りとして設定したものです。

取り組みを開始してから半年以上が経ちましたが、同期的コミュニケーションのバーチャルオフィスの入場率もかなり上がり、またナレッジシェアで月に書かれる記事の本数も安定してきました。

少しの根回しは必要でしたが口コミというやり方でツールの使い方を広め、ツールを使うことがカルチャーを育てることに直結するような仕組みを作りました。

これでカルチャーの土台は整いました。
ツールを活用することでカルチャーをある程度は根付かせることができることが分かりました。

次のステップを考える

土台ができれば上に積み上げていくだけです。

今はツールあってのカルチャーです。

次に目指すのは「空気感」です。
いわゆる雰囲気です。

自然と同じ方向を向ける人たちを増やして、ツールがなくても自然とカルチャーが育成される雰囲気を醸成していきます。

まだ手法は思いついていません。
エンジニアカルチャーをアピールする機会を増やして採用強化に繋げたり、ツールではなくカルチャーを実践する機会を増やして個々人で取り組んでもらったり、いろいろな方法があると思っています。

試行錯誤しながら良いアイデアが思いついて、ある程度の効果がでたらまたnoteにまとめようと思います。

それでは今日も良い1日を。

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zyd
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