![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/153596183/rectangle_large_type_2_571bc81f23f0aec82007e47819db57d7.jpeg?width=1200)
バイク乗りが奏でる”重低音の世界”
※ ZxToneチャンネル動画「SOUND -路上の雷鳴-」のコンセプト文です!
東の空が白々と明け始め
照らされた街が姿を現す
さあ行こうか
フルフェイスのストラップを締め
ライディンググローブを身に着け
KEYを右に45度ひねると
重低音がすべてを支配する
そこはもうエキゾースト-ノートの世界だ
![](https://assets.st-note.com/img/1725785807-dOwHl4oL6vRy9zAxFCg8Y5Zt.jpg?width=1200)
ガードレールは共鳴に震え、
バックミラーが小刻みに踊り出す
フルフェイス越しに聴こえるエンジン音が
水温計の上昇とともに
徐々に滑らかに繋がっていく
吹け上がりは上々だ
エンドレスな反響に包まれ、
頬を打つ音圧を噛みしめる
一般人が生涯で耳にする最大の重低音は
“雷鳴”、つまりカミナリの音らしい
大空をつんざくその轟きは
鼓膜どころか山をも揺さぶる。
たかがバイクの排気音など
所詮、蚊の鳴く様なものだ
比べるべくもないだろう
![](https://assets.st-note.com/img/1725785933-nJXe4jPgG5RqEl8vQmpMtuO9.jpg?width=1200)
しかし、単車乗り達は反論する
魂を揺さぶるエンジンの爆発音、
胸の奥深くに染み入るエキゾースト-ノート
あるときは優しく心地よく、
またあるときは激しく心を躍動させ
下半身から伝わるピストンの鼓動とその轟音は
生命の脈動を、
生きているという実感を
深く心に刻み込む
それは唯一無二だ。
![](https://assets.st-note.com/img/1725786081-3UeyxKwmdGrj1BI6hMbEZQH8.jpg?width=1200)
音楽も同じだって?
確かに序章もサビも、
演奏者次第なのは変わらない
だが、単車乗り達が耳にするサウンドは、
後方へと吹き飛ぶ固いアスファルトの
すぐ直上で
ヘルメット越しに聴き取る音の響きは、
この身の躍動とリスクと
風に抗う疾駆の中にのみ、
存在するもの。
決して他人と共有することのない
孤独で過酷なブルースだ
無論、二度とリピートは出来ない。
駐車スペースに単車を滑り込ませ
イグニッションを左へ戻し
ピストンの鼓動を停める
回転計の指針がストンと落ち込み
一瞬の静寂、時が止まる
リアルな無音、無風、そして静寂
あらためて、未だ収まりきらない
自身の胸の鼓動に気付く。
![](https://assets.st-note.com/img/1725786250-tn0WyUHp19vAldcSgsGZ8NrO.jpg?width=1200)
かつて、旧日本海軍に
「雷電」という名の戦闘機があった
電光石火のインターセプター(要撃機)
まさに“雷の如く”だ
敬意を表し、自身に重ねる。
聞こえるか、
平和に裏付けされた妥協の共鳴を
感じるか、
近づく嵐の不穏な遠吠えを。
パイロットのように大空高く
羽ばたくこともなく、
無機質な大地を
這いずり続ける単車乗り達よ
不屈の精神と排気音をこの身に纏(まと)い
我らいざ行かん
己自身が雷鳴となり、
操る鉄馬が嘶(いなな)くサウンドを
路上という最前線で、響かせろ
そして、旋風と地響きの中で
確かめるがいい
世間を飛び交う薄っぺらな雑音に
惑わされていないか?
音の焦点と、生き様は
ブレていないか?