茨城百景 筑波山
今回は割と有名観光地です。今の所一度でも行った事がある場所から巡ってるのですがここは子供の頃から観光で来たり筑波スカイラインで走るために8008回くらい来たりしたなじみのある場所です。
茨城百景については→『結局茨城百景とは何なのか』
筑波山はA級スポットで観光地としてどういう所かは最早説明不要と思われるので省略します ~終NHK~
A級スポットなのでなんならほぼ選定当時に専用の宣伝記録映画が残っています。『水郷』とか言ってひとまとめにされてる霞ヶ浦沿岸の景達とは格が違います格が。
そして一覧表なのですが例の如くHP版が間違いだらけ。
HP版は何故か北条泉の観音と小田城址の北条泉のが筑波山側に飛んでってます。これもしかして県報をスキャンした後にろくにチェックしなかったとかそんな所なんじゃ・・・
ともかく茨城百景の数ある一覧表の全てが誤字脱字だらけなので真面目に巡礼する場合は全てのバージョンを突き合わせて正しい景の名称と包含風景の名称を導きだしましょう(笑)
で1966年版では弁天七戻りという包含風景が追加。何度も筑波山に行った事があるジモピーなんですぐ気づきましたがこれ弁慶七戻りの事ですね。
つまり包含風景は
男体山、女体山、白滝、大御堂、筑波神社、紫尾薬師、弁慶七戻り
となります。
下調べ編
①男体山 ②女体山
筑波山は2つの峰を持つ双耳峰なのですが東の方にある一番高い方が女体山で西にあるのが男体山です。
筑波山といえば信仰の山。ここの包含風景もこういった昔からの信仰と関連するものが多いです。
筑波山はケーブルカーとロープウェイが整備されて男体山女体山共にこれらでアクセス可能。それでこの景の事を調べていて初めて知ったのですがケーブルカーはなんと1925年開業で茨城百景が選定された頃には既にあったという。(正確には戦時中の1944年に不要不急線として廃止され百景選定から4年後の1954年に営業再開)
昔は土浦駅から筑波山の麓の旧筑波駅まで鉄道(筑波線)で行けたので当時も公共交通機関だけでみゆき原までアクセス可能だった・・・と資料『茨城百景めぐり(1956年)』を見ると分かります。
ふむふむ当時は土浦駅→筑波駅→バス→宮脇駅→みゆき原というルートがあったみたい。
いや~しかしモータリゼーション前である選定当時の筑波山観光では山頂へのアクセスは普通に登山のみだと思ってたんですがこういうルートもあったんですねえ。
自分はモータリゼーション後に生まれたZ世代なのでつつじヶ丘駐車場まで車で行ってロープウェイかそもそも麓から登山というルートのみしか経験が無く何度も筑波山に行った事があるのにケーブルカーに一度も乗った事がありません(笑)
③白滝
白滝神社の事だそう(百景巡りの先人情報)
と言っても詳しく調べていくとこの白滝神社の近くには峰より落ちる白滝がありかつては観光名所だったそう。そして古来から筑波山は信仰の山で修験道の時代から様々な登山道があり要所要所に神社があった。白滝神社は白滝道という古道沿いにある神社の一つだったとの事。
戦後しばらくまでは麓から白滝→桜ヶ丘キャンプ場→つつじヶ丘→女体山の登山ルートが人気だったらしいのでここが包含風景に選ばれるのも納得。
しかしここもモータリゼーションの波の前に衰退した場所らしくかつては登山道沿いに茶屋などもあって賑わっていたが筑波スカイラインの開通をきっかけに忘れ去られた様。
他の景もやはり車の普及とインフラ開発で観光地を取り巻く環境が大幅に変わったり景色自体が大きく変わったりしてますが日本の景色は70年代前後で大きく変わったんだなーとつくづく実感します。
おいところでこれどうやってアクセスするの?するの・・・?鈴木センセの地図だと全くわかんねえよ。
国土地理院の地図見るか
あー
大丈夫かこれ(大丈夫かこれ)
ちなみに下調べしてる時点で3日前に滑落事故で死人が出てるんですが
④大御堂
中禅寺大御堂の事です。筑波神社のすぐ隣にあります。
元は平安時代初期に作られた由緒のある寺で一時は筑波山神社とともに筑波山信仰のもと繁栄したが、1872年に廃仏毀釈で廃寺となり1930年に再建復興され東京護国寺の別院として甦ったとのこと。
⑤筑波神社
えー筑波山は常陸国風土記の時代から山岳信仰の地でありこの神社はその中心と言える場所ですね。この神社は山腹にある拝殿と男体山、女体山双方に本殿があります。
知名度がそれなりにある所で調べたらいくらでも情報が出てくるのでこれ以上の詳しい能書きは割愛します。
大御堂の隣で筑波山観光の中心地なので周囲にはお土産屋さんや旅館が沢山あります。
⑥紫尾薬師
椎尾山薬王院の事だそう。茨城百景にありがちな誤字かと思いきやこの表記もまた正しいらしいです。というのもそもそも紫尾と椎尾は別表記である事。
(茨城百景めぐりの著者鈴木センセは水戸学派の郷土史家だぞ!)
そして筑波山の別名に『紫峰』というモノのがあるのですが(朝夕に山肌の色を変えることから)この寺院がある椎尾山(紫尾山)はかつて紫尾村(合併で1954年に消滅)という自治体の領域内にあり、この村の名前の由来は村が紫峰の尾根に接している事から来ている・・・との事なので恐らくこの山の名前の由来も同じでしょう。どちらの表記でも正解なので地図を見ると一部に紫尾表記がチラホラと残っています(紫尾郵便局とか)
ちなみに1200年の歴史があるお寺でなんでも県指定文化財天然記念物であるスダジイ(椎の木)の巨木群生地でこれが見どころらしい。
⑦弁慶七戻り
弁慶七戻りの事ですね(2回目)
つつじヶ丘と女体山の間にある怪石?奇石?です。筑波山にはガマ石を筆頭に名物岩みたいのが点在してるのですがこれもその一つです。
頭上の岩が今にも落ちそうで、あの弁慶ですら七回戻ったといわれているのが名前の由来。筑波山登山は何回かした事がありますがやはり登山コースで一番印象に残る場所です。
ここは1966年版の一覧表に唐突に追加されてますが意図は不明。遥か昔から存在する所なので恐らく記載し忘れか。
そして石碑なんですが場所が中々分からず大変でした。Googleマップに載ってないタイプで百景巡礼の先人も写真をパシャリするばかりで場所の言及が無いのでヒントが全然無い!
しかし前途の文脈からして観光は旧筑波駅からが基本だったようなのでこの周囲だろという事でストリートビューで捜索する事1時間・・・・
ありました
なんでこんな所に・・・・?
とりあえず昔の航空写真を見てみると
あ~
ここは旧道で昔は北側に遮るモノが無かったのか。旧筑波駅の近くで石碑の後ろに筑波山がデデンと映える場所を探した結果ここになった・・・みたいな所ですかね?
ちなみに茨城百景めぐりの筑波山の項はやたら気合が入っていて文章量が多いです。鈴木センセのお気に入りスポットだったんでしょうか?
茨城百景めぐりだけでなく茨城百景巡礼(1980年)の筑波山の項も見てみたんですが目新しい情報はありませんでした。強いて言えば鈴木センセの頃と違い新開発のパープルラインが~とか筑波スカイラインが~など車で観光する事前提の書き方をしていて時代の流れを感じました。
現地編
旧筑波駅です。跡地はバスターミナルと観光客向けの駐車場になっています。線路はチャリンコ&歩行者専用道路になっています。
駅前通りです。この記事の見出し画像と同じ構図でパシャリ。
石碑
旧筑波駅跡からトコトコ数分歩いて到着。
石碑の文字は『筑波山』です。後は分かるな
①男体山
当時感(ニチャァ)を感じるためにケーブルカーで上のみゆき原まで行きます。上のみゆき原にある駅は筑波山頂駅という名前になってますが男体山と女体山の山頂に行くにはさらにそこから数百メートル登山する必要があります。
実際乗ってみると勾配はかなりキツめで更に凄まじいガタガタ音を建てながら物凄い揺れます。
何にも掴まらず立ってるのがキツい!明るいBGMが車内に流れてますが乗り心地の迫力と乖離しすぎてて笑いそうになってました。
そして車両の内装も緊張感をかきたてます。
ケーブルカーはこんな感じで無事に山頂駅に到着です。
まずは男体山から登って行きます。筑波山は子供の頃に学校の遠足や親と何度か来てますが女体山の方にしか登った事がなく男体山は初めてです。標識にも山頂0.3kmと書いてあるのでハイキング気分で登り始めました。ちなみに服装もスニーカーに普段着です。しかし登り始めると今まで引率の大人達がスルーしていた理由が分かりました。
崖ですやん。最初の数十メートルだけ階段で途中からずっとこれになります。写真だと勾配が伝わりにくいですが所々手をつきながら登りました。登り降りをしている時は足元しか見ていませんでしたが写真を見返したら絶景ですね^^(他人事)
そして若さだけで登り切り男体山山頂に到着ハァハァ。
よーしちゃんと男体山本殿にたどり着きました。ちゃんと唾つけておきます(嘘)
ちなみにこれの目の前には昔の観測所があります。こんな所に資材持ってきて建てるなんてスゲー。
下りは自分より遥か年上の年寄登山客に進路を譲ってもらいながらフラフラ下山(涙)
②女体山
女体山は男体山に比べて勾配はないですが足元は悪く距離も長いです。しかし勾配が無いだけで結構楽ですし途中に名物岩の数々があるのでやっぱこっちの方が人気なんですかね~。筑波スカイライン→ロープウェイでアクセスするルートの終着点も女体山ですしね。
トコトコ登って山頂到着。
何度来ても感動の景色だ。ちなみに足元の岩はたくさんの人が踏んでるので摩擦でツルツルになっており危険が危険なので気をつけましょう。
③白滝
えーここにアクセスする旧道ですが白滝神社から上側は全く管理されてないようです。下側はまだ管理されているのかキレイ目だったので麓から行くのがいいでしょう。自分は上から行って洗車したばかりの車がラリー車みたいになりました。
うわ寒!滅茶苦茶気温が低いです。こ、これは本当に滝があるぞ・・・!
おぉ・・・写真映り悪ィ~。実物はもっと厳かで神秘的な感じなんですが伝わりにくい。
ところで途中からこんな道になります。
これただ同中の岩を撮影したように見えるでしょ?これ参道なんですね~。苔がむしておりかなりヤバそうです。この時はたまたま乾燥していたので良かったですが朝露や雨で濡れている時などは滅茶苦茶危ないでしょうね。滑落事故が起きたのも納得です。
ちなみに自分は一人で来ている上ドマイナーなスポットなので滑落したら数日は気づかれずにぶっ倒れる事になってそうです笑
そして社に到着。
すごい神秘的ですけど手前の奴はなんなんでしょう。石段なのか?苔の滑り台にしか見えないが?
④大御堂
実は時系列的には石碑の次に来ているので朝日に照らされてる状態の写真になってます。(夕方ジャナイヨ)
拝殿からの景色が素晴らしい(小学生並みの感想)
A級スポットらしく前途の記録映画の頃よりピカピカになっています。
⑤筑波神社
大御堂から歩いてすぐです。
こちらも小綺麗でA級スポットらしくちゃんと維持管理されてるなと言う感じですが先ほどのお堂より建造物は歴史を感じる風格です。と思ってたら
タッチパネル案内板!?が滅茶苦茶和風なので違和感ゼロw
⑥紫尾薬師
つくし湖の近くにあるんですがこの湖は前から何度か来た事があってこのお寺の看板も何度も見てるんですが実際来たのは今回が初めて。
この仁王門を撮ってる自分の後ろ側には昔の登山道というか古道跡のようなモノがありました。旧道やんねこれ跡を辿ってみるか(ニチャァ)とか考えながら門をくぐり古道であり参道でもあろう石段を上がってたら住職がシュバって来て気を付けて登ってくださいね!!(迫真)とか叫ばれましたがどうやら駐車場側から続く後世に作られた緩やかな順路で行くのが正解らしくバカガキがふざけたマネしてんじゃねーぞという意味だったようです(適当) 実際石段はボロボロで壊してしまうかもしれないし滑落したらお寺側も面倒だと思うのでそっち側で行くべきでした・・・
三重の塔がある!しゅごい・・・。これは穴場かもしれんぞ。
ちなみに古道はこの三重塔とは逆側の墓地方向に続いておりこんな感じ。
このまま時代劇の撮影に使えそうなレベル。
⑦弁慶七戻り
あーん写真撮り忘れちゃった!!!
終わりだよこの国。
えーこの弁慶七戻りはですね女体山山頂とつつじヶ丘駐車場を結ぶ登山道の途中にあるので女体山山頂のあとに行ったんですが疲れてたのか撮ったつもりで帰っちゃいました(チンパン)
まぁ下調べ編で宣材写真貼ったし調べたらいくらでも写真が出てくる景だからいいか(適当)
というわけで茨城百景筑波山コンプリートです。この景は茨城百景の中でも観光地としてまだ現役で生きているモノで普通に観光出来て楽しかったです。いやそれが普通の筈なんだけどもB級スポットマニアとしてはつつじヶ丘駐車場側にあるガマランドなども取り上げたかったですが百景と関係無いので止めときます。
茨城百景 筑波山 ~完~
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