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福祉タクシーと民間救急タクシーって何が違う?どっちが儲かるの?
民間救急タクシーを語る前にお伝えしなければならない重要な事を述べておきます。
福祉タクシー→タクシー運行許可を与える管轄先・国土交通省が呼称していいる正式名称
介護タクシー→正式名称でないものの、ビジネスとして世に誕生した当初、料金(実質、運賃扱いだった)を通院等乗降介助の介護報酬で請求出来ていた名残から。
介護タクシーを始めて利用するお客様や、これから起業しようとリサーチ段階の人も「何がどう違うの?」と疑問を持たれる方もいることでしょう。
結論から申し上げれば、サービス内容に違いもなく・料金体系も同じ(運賃+介助料+機材レンタル料)・事業許可要件も全く同じ。
本来は福祉タクシーという名称が行政的な視点でも望ましいのだけれど、このビジネスが誕生した業界当初(11年前)、介護保険(乗降介助報酬)が適用されていた過去があり、
その名残をうけて〝介護タクシー〇〇〇〟をチョイスする開業者が増え、次第に世間にもそれが認知されるようになった‥‥。
そう捉えて頂いて差し支えないでしょう。
「1割負担の介護保険で使えるの?だって介護タクシーなんでしょ?」
「カイゴっていう名称の響きが何だか施設を連想させるからねぇ‥‥」
そんな利用者からの声もあったようで、近年起業する事業者はあえての英語表記だったり、介護タクシーよりも福祉タクシー名称をチョイスしたり、ケアも行える看護師ドライバーだからナーシングケアタクシーという名称を創ったりと、
私が営業に関わった当初に比べれば屋号決定を慎重に行う人も見受けられるようになりました。
さて。
福祉タクシーを起業しようとネットサーフィンを行っていると「民間救急」「民間救急タクシー」「民急」「患者等搬送事業」というワードを度々目にした方もいるでしょう。
事業許可要件は一緒なの?
どういう手順を踏めばいいの?
介護タクシー・福祉タクシーより儲かるの?違いは何?
そんな疑問にお応えしてみようと思います。
先ずは福祉タクシー事業許可を受けてから、がスタート
広義の範囲で、福祉タクシーも介護タクシーも民間救急タクシーも患者等搬送事業も一緒です。
乗客の要望先へ適切な車両を使用し運んで対価(運賃・介助料・機材使用料)を頂く、、、
対価を頂くにはタクシー許可を受けなければならない、、、、
国土交通省から許可証を交付されていなければ白タク行為になる、、
ここの概念を先ずは整理しましょう。
んで、介護タクシー許可を取得したら次はどうするか?
地域の消防庁・署に出向き、「患者等搬送事業 認定講習」を必ず受講し、搬送事業適任章を発行してもらいましょう。これを受講せずして民間救急タクシー事業はスタート出来ません。
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※「患者等搬送乗務員講習」など地域によって名称に違いはありますが、消防庁・署が行う講習を受講する事が大事という捉え方でOKです。
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何せ、搬送中に医療的ケア(痰吸引・バイタルチェック・人工呼吸器 酸素ボンベ活用状況チェックetc)を行う必要性のある患者を安全に移送しなければならないのですから。
私が日々行う介護タクシー事業もお客様の安全を最優先する事に変わりはないのですが、
より深く更に重い移送責任が伴う、、、という事を認識しておきましょう。
一つ付け加えると、地域の消防署で必ず受講できるわけではありません。その地域の人口密度・転院搬送件数とこれからの需要など様々な実情が勘案されて民間救急タクシーの受け入れが求められています。
必ず、地域の消防署に確認を取りましょう。
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※看護師・救急救命士の経験ある人だと受講が免除される場合もあるようです。こちらも確認必須!
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肝心の売上ってどれくらい?
最後の最後で述べようかと思ったのですが、そんなけち臭い事せずにズバッと言うわよ(笑)
1回の搬送で10万以上の売上を叩き出す 県と県をまたぐ長距離搬送や、
県内の総合病院~病院へ転院搬送して1回で3万円など、介護タクシー運行単価の倍以上を稼げるようです。
その方たちの情報発信とホームページの料金表を照らし合わせれば大体算出できますよね。
んで、私も民間救急タクシーに参入しようかと思っていたのですが、
※そもそも地域の消防署で「患者等搬送乗務員講習」の制度がなかった
※島国沖縄県では本土のような県と県をまたぐ長距離搬送の依頼がそもそも発生しない。
このような諸事情が絡んで民間救急タクシー事業に参入できませんでした。
話がズレましたが、運賃体系も介護タクシーとは少し異なり、
寝台車運賃(主にストレッチャー搬送)と
ケア運賃(車椅子・ストレッチャー兼用)に分かれています。
一発の単価が大きいものは寝台車運賃。運賃発生メカニズムも「営業所車庫を出発して搬送終了して車庫に帰るまで」の時間でカウントするもので、
例えば、東京都を出発して大阪までだとおよそ6時間・片道500キロの距離を移動するわけです。
この場合だと、寝台車運賃・片道で25万、車庫に戻るまでですから往復だと50万。更に看護師同乗や機材使用料を含めれば55万以上は見込めるんじゃないかと。
スゴイですね、介護タクシー搬送でそのような売上額はまずありえません。ほとんどの介護タクシー事業者が月額50万も稼げないのですから(苦笑
毎日、民間救急依頼(転院・搬送)は発生するものなの?
これに関しては、地域による としか言えませんね。
人口130万人の沖縄県と
人口927万人の東京都と
人口71万人の島根県では人口のパイが全く異なりますし、母数が大きければ必然と依頼発生の可能性も比例しますし。
・消防署との連携を築く(地道な営業活動・コールセンター仕組み構築)
・介護施設・病院への周知活動を継続していく
これらの活動を絶えず行い、認識してもらう為に汗を流さねばなりません。まぁ、これって最低条件なんですが。
ただ、それらの活動を行っても安定的(毎日)に仕事が獲得出来るとは思えないんですね。
何故なら、
①民間救急タクシーの存在が思った以上に知られていない・知ったとしても、無料・迅速・専門性の3拍子がそろった救急車を利用する国民が実費負担の民急タクシーを使う気にはなりにくい。
②先発同業者と依頼側(ケアマネ・相談員)に築かれた関係性・信頼性
③緊迫した現場で民急タクシー選択判断の是非を見極められる人は少なく、より安心と迅速性の救急車チョイスという強固な歴史的バックボーン
これらの要因が複雑に絡み合って、飲食のような毎日発生するニーズではないワケなんです。
一発の単価は大きいですが、それらは日常ではない、、
この現実を頭に叩き込んでおく必要があろうかと思います。
クルマは何でもイイの?設備基準ってある?
あります(笑)
医療的ケア搬送を伴うだけに介護タクシーよりも厳格な設備基準を満たさねばなりません。
あ、先ほど患者等搬送認定の受講が義務であると申しましたが、移送車両の設備基準も満たさないと消防庁・署からGOサインがおりませんので注意です。
車両設備基準:
移動中の揺れを和らげる足回りが備わっていて移送中に患者をサポートしやすいゆとりあるスペースが確保されていて快適なエアコン設備が備わっていて車椅子・ストレッチャーの昇降しやすいスロープ リフト設備があってそれら(車椅子etc)を固定するベルト・ワイヤー装置が備わっている事。
ざっくり言うとこんな感じ↑ ↑ ↑
更に言うと⤵⤵⤵
消毒関連 →(はさみ・ピンセット・三角巾・包帯・ガーゼ・絆創膏・汚物入れ・タオルなど)
移送機材 → (ベルカ 布担架・スクープストレッチャー・ストレッチャーなど)
医療関連機材 → (AED・たん吸引器・パルスオキシメーター・アンビューバッグ・AC100V電源・ベッドサイドモニター・酸素ボンベなど)
これらの機材を車両内に装備しなければなりません。
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※認定を受ける消防庁・署で、基準を満たす資器材の確認を必ず行う事。
備えるべきもの 備えて欲しいもの 出来れば備えて欲しいもの の、認定基準が各地域でバラバラです。
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んで、移送車両に関しては、排気量2000cc以上のワンボックスカーを選定すれば問題ないでしょう。
例:TOYOTA→ ノア・ヴォクシー ハイエース レジアスエース
日産→ セレナ キャラバン
人材基準:
ドライバー一人でスタートできる民急タクシー(ケア運賃)と
ドライバー一人・看護師or救命士1人の2名体制でスタート出来る民急タクシー(寝台運賃)があります。
救急車程の緊急性は無いけれど、より安全に専門性をもって搬送しなければならないニーズに民間救急タクシーは応えなければならないのですから、このビジネスを起業するにあたって、もう一人のスタッフを雇う必要があります。
ドライバーが運転しながらバイタルチェック、、なんて絶対出来ませんしやってはなりませんからね(苦笑
幾らの事業予算が必要なの?
新車で設備機材一式と仮定してざっと700万。
新車にこだわらず、設備機材に関しても地域ニーズを探ったうえで必要最小限に揃えるなら400万~500万といったかんじでしょう。
参考までにこちらの記事もご覧ください。
先ほど述べたのはあくまでも車両・設備のみでして、軌道に乗るまでの人件費(看護師スタッフ追加)やチラシWebサイト名刺などの広告費・事務所光熱費も含めると700万から1000万は必要ですね。事業予算は多く見積もるのが鉄則ですから。
移送責任が深くて重い民間救急タクシーなら、設備機材一式はケチらず最新のものを取りそろえて置くべきですよね、依頼者側(ケアマネ・連携室相談員)の立場に立てばわかる事です。
そんなおカネないけどどうしたらいい?
動けばどうにかなるさ、、精神は個人的にススめません。
その目標(民間救急タクシー起業)に向かって情報リサーチと研鑽(現・事業者で働かせてもらうなど)を積み、自己資金をコツコツと積み上げるという計画性が継続的なビジネスに繋がります。
とはいえ、
友人知人や家族にも頼れるツテがない、、
介護タクシー事業から横展開を図って民間救急タクシー事業にも参入したいけど持ち合わせがない、、けどスピード感をもって動きたい、、、
というニーズもあるでしょう。
そうなると頼れるのは日本政策金融公庫でしょう。個人事業・中小企業の新規創業・設備投資・運転資金などの融資ニーズに低金利(0.9%~3%以下)で応えてくれます。
商工会・商工会議所の経営指導員と共に融資計画を作って臨めば心強いでしょう。間違ってもサラ金に手を出さないように(笑)
民間救急タクシービジネスを志す者は覚悟を厚塗りせよ
「無料で運んでくれるから」
「車持ってないし」
「優先的に診察してくれるだろうから」
救急車不正利用の理由は実に身勝手なもので、どれだけ啓発活動を行っても、無料搬送の刷り込みが抜けないので不正利用は後を絶ちません。
本来、救急車を必要とする人にサービスが届かなくて命を落としてしまった。。。。
あと1分たどり着くのが早ければ、ここまでの障がいを患わなかったかもしれないのに。。。。
これらの社会的課題を和らげ、解決に導くための移動手段として・社会資源として必要な民間救急タクシー。
売上単価が大きいから・社会貢献的ニーズがあるから、、、そのような安易で浅はかな姿勢では、このビジネスに足を踏み入れてはなりません。
移送に対する、より深くより重大なプレッシャー伴う医療的搬送に身体と精神を捧げて完遂させる という覚悟を持った人(経営者)でないとお客様に支持されず信頼されず廃業の道へと突き進むことになるのではと考えます。
しかし、
「乗客の命を預かる」覚悟をもって臨めば、ご家族・連携室相談員からの信頼をあつめ、感謝の言葉をいただき、これほどやりがいのある仕事もないんじゃないかと思います。
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