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ヘルパー講習でも教えない?車椅子ユーザーのトイレ介助で気を付けるべきポイント
介護タクシードライバーは介護施設勤務のヘルパーさんほどの介助量をこなす事はまれですが、タクシー運行に伴う身体介助を提供する必要性があり、そこが、一般タクシーとの大きな違いでもあります。
それらの身体介助スキルが一定レベル以上担保されていなければ、お客様への安心と信頼を得る事も出来ず、介助料金を頂く資格もないわけです。
その介助スキル・介護保険制度・福祉の在り方を学ぶ講習も、ヘルパー2級から介護職員初任者研修へと名称が変わり、それに伴い、講習料金・カリキュラム内容もかなり変更が加えられたようです。
私がヘルパー2級を取得した時代、排泄介助はベッド上に寝かされたモニター(受講者)へおむつ交換を行う介助手順を習いました。
練習とはいえ、サイズが大きく感じられるおむつを履き、十数人の受講者が周りを囲んで排泄介助をする様を見つめられる現実は大変に羞恥心を掻き立てらるものがありましたが、それは、特別養護老人ホーム・有料老人ホーム・障がい者支援施設へ入所されている障がい者・高齢者らが毎日感じている事実であり、日常なのです。
いきなりですが、話は変わって、
貴方は今、介護タクシードライバーとして車椅子ユーザーと地域の祭りイベントへ参加しています。
その車椅子ユーザーの障がい状況と言えば、手すりやブロック塀など何か掴む対象物があればそれを利用してゆっくりと歩行は可能というレベル。しかし、右半身はマヒが強く、片方の足を引きずらせながらの歩行は10メートルの距離を歩くのにも一苦労。
そんなお客様が尿意をもよおしたので車椅子ユーザー専用トイレへお連れした。
先ほど述べた通り、車椅子ユーザーのお客様は自力での立位・歩行は何とか可能というレベル。トイレ内での介助は基本的に必要ないのですが、何時声を掛けられてもすぐに対応できるように近くでスタンバイは必要。
ここから先、
貴方が取らなければならない行動とは何だと思いますか?
お客様のプライバシーに配慮するためにドアを閉める?
はい、その通りです。
しかし、その先の行動、というか配慮が大事なんです。
そして、その配慮に関しては車椅子ユーザー・片麻痺のお客様としっかり共有しておかねばならない大事なポイント。介護タクシードライバーだけが知っておけばいいというものではないのです。
ドアのカギを閉めてはならない・車椅子ユーザーにも閉めさせてはならない
え?って思いませんでしたか。
私たち健常者はトイレを済ませている最中に第三者に入られる事のないようにドアにカギを掛けますよね。その行動って躾として小さい頃に親から教えられるわけです。
「トイレに入ったらドアにカギをかけましょうね」って。
そのプライバシー配慮での施錠を車椅子ユーザー・片麻痺のお客様に行ってはならないし行わせてはならないのです。
何故かといえば、車椅子ユーザーのお客様が手すりを掴んで便器へと移乗を行う最中に、足を滑らせたりもつれたりする事で転倒する危険性が無いとは言えないからです。
手すりを掴んでいるつもりが手を滑らせてしまう という予期せぬハプニングも可能性として十分に起こりえると考えるべきなんですね。
もし、ここでお客様に「内側から鍵かけてくださいね」と念を押してトイレ内から鍵を掛けさせると、お客様が転倒した際に助けに行く事が非常に困難になります。
車椅子ユーザーや、杖をついての歩行を何とか行う片麻痺の方は、転倒した後のリカバリーが健常者に比べてハードルがかなり高いです。
よーく考えてみてください。
身体の半分がマヒで動かない・腰から下の下半身を自らの意思で動かす事が出来ない・ペットボトルのキャップを自力で開ける事の出来ない握力の障がい者がトイレ内のフロアに倒れたと想像したら……
助けに行こうと思っても内鍵がかかって即座にたどり着けないわけです。
実は、このような状況に私自身と車椅子ユーザーのお客様が陥ってしまったという切ない体験がありました。
厳密には、いつもは内鍵を促すルーティーンをたまたま忘れ、お客様も忘れ、突如トイレ内から「ちょっと助けてくれー!」という叫び声に反応してドアを開けると車椅子ユーザーのお客様が便器前方で倒れていたのです。
足をもつれさせたとの事で、そこからお客様の身体を車いすへ移乗させるにも結構な体力を消耗しましたが(苦笑)
この時、お客様が、
「そういや、何時もは内鍵を閉めるのにうっかり忘れていたな」
「何時ものように内鍵を閉めていたと考えたらゾッとするね…!」
そう言われて私も身震いした事を鮮明に覚えています。
という事で、車椅子ユーザー・片麻痺のお客様を専用トイレへご案内する際、お互いの意識の中で「トイレの内鍵はかけないでおく」をしっかりと共有しておく事。介護タクシードライバーは不測の事態に備え、即座に動けるようにドアの前で門番しておけばいいのです。
勿論、お客様の気持ちを押し切ってまで内鍵を掛けない事にこだわる必要はなく。初めて接するお客様に対しては「そのような不測の事態に備えておきたいのですが……」と、丁寧に説明する必要があります。
異性のお客様に対しても「このような状況が起こりえないとも限りませんが、その際は如何致しましょう?」とコミュニケーションを図っておいた方がいいですよね。
トイレ介助への配慮には色々なパターンがある事を是非知っておいてください。
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![花城 健](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/4132665/profile_9bc344d6d30f2cb89ad89063bd7f0350.jpg?width=600&crop=1:1,smart)