介護タクシーを開業/起業するまえに問うておきたいこと
私が介護タクシー運行に携わった時期が平成18年、その頃の世間の認知度は「はぁ?なにそれ??」という無知に等しいものでした。
ここ沖縄県においても介護タクシー事業者の緩やかな右肩上がりの増加具合をデータが示してくれています。
引用元資料:沖縄県総合事務局 運輸部 業務概況より
・平成20年 沖縄本島 福祉タクシー事業者数56 車両数71
・平成26年 沖縄本島 福祉タクシー事業者数128 車両数152
・令和元年 沖縄本島 福祉タクシー事業者数160 車両数193
11年前と比べると3倍近い事業者数増、となっているわけです。
そのような介護タクシー開業ブーム??が現在も緩やかに全国的に漂っている中、私のような1法人にも「介護タクシーって実情はどうですか?生活費稼げますか?開業費用はいくらですか??」などの開業セッション希望者がポツポツといらっしゃいます。
開業セッション中であまり突っ込んだことはないのですが、あえてこのnoteテキストを使って問いかけてみたいことがあるのですね。
◆ただの送迎ドライバーではありませんが備えはできていますか
なぜこのような問いを投げかけるのかというと、
設備機器や店舗や立地スペース、スタッフを雇う…などの人材確保が必要な飲食業に比べ、投資コストは格段にひくいものの、車椅子福祉車両・車椅子機材・チラシ名刺作成費・営業経費・生活費を稼ぎだすまでに必要なランニングコストを含めればざっと500万はかかる金銭的覚悟、
そして、ここが一番大事ですが、乗客の安全と快適移動を約束するために絶対必要な
●交通の状況を的確に読み取る空間認識力
●夜間・悪天候でも安全運転を約束できる危機管理ドライブ力
●身体介助の労力を過不足なく提供できる基礎体力と精神力
これらの身体スキルを安定的に提供できる覚悟と根拠がなければ務まらないという理由からなんです。
アクセルとブレーキを踏み間違える高齢者特有の事故も決して他人ごとではないんですね。乗客の安全を当たり前に約束して報酬を得るこのビジネスは生半可な覚悟で臨んじゃダメなんですよ。
ただの送迎タクシーと舐めてもらっちゃ困りますし、障がい者高齢者へのケアは神経と体力をすり減らしながら体得していく必要があります。移送中の医療的ケアもおこなう民間救急タクシー事業ならさらに負担かかります。
開業時点での統計データがないため断定できませんが、私が12年見聞きした中では、介護タクシー起業者 年齢層は40代~60代が圧倒的多数を占めています。
つまり、基礎体力維持/向上に努めなければ衰えていくばかりの悲しきジェネレーションですし、私をふくめ、新しいことへの情報取得や意欲的に取り組む姿勢が薄れていく特徴の年代でもあります。
発達障害とは?精神障がい者が晒されている偏見とは?聴覚障がい者は何に悩んで日常生活を送っているのか、視覚障がい者の外出をサポートしていく中でどうすれば安心して身を任せてもらえるのか。
これらの事を、経営を走らせながら新しい知識を取り入れ、実践し、顧客に応じてカスタマイズケアしていかなければなりません。
また、それなりのITスキル・それなりの税/会計知識がなければいつまでたっても他人頼みの経営姿勢ですし、協会のサポートに頼りっきりの体質に染まってしまうことでしょう。
健常者とは違う接客・配慮が求められること、健常者以上の丁寧な運転スキルが求められることを心構えておかねばなりません。
介護タクシー経営スタート後の現実はこうだ
さて、意を決して開業してみたものの、
営業なんてやったことないから勘所が分からず手当たり次第に行動して、
屋号と名前と電話番号と「安全・安心・まごころ運行します!」という決まり文句を載せた名刺チラシをばらまいて、
集客できない壁にぶち当たって身体とクルマが一つしかないのでせっかくの新規予約を取りこぼして思うようにビジネスが回らない現実に打ちひしがれて、同業者はどんどん増えていく中で思った以上に効率よく乗車回数が稼げない事実に直面したり、「これは軌道に乗ったな…!!」とウキウキしていた矢先にぱったり予約依頼が途絶えたり、仕事が来ないイライラと不安が募りリピーターへも接客態度が悪くなって余計に集客できなくなるという悪循環…
上記の太字メッセージは、介護タクシー協会も申請業務を代行する行政書士さんも開業サポートを生業としている同業者もあまり語りたがらない(知らない?)真実であり、私からの介護タクシー開業者に対するこのお仕事の現実です。
協会に属したなら集客の苦労をスタート時から味わうことはないと思いますが、〝属している安心感〟が経営を能動的に学ぶ姿勢をそぎますし、このビジネスが誰のどんな問題を解決する業態なのかを知ろうとしないまま受け身の時間を送り続けることになるでしょう。かつて組合に属していた私がそうだったからです(苦笑)
このメッセージを読んでみて尻込みするようでは起業は止めたほうがいいですが、
私自身がそのような遠回りの不器用な経営を続けたからこそ、「正しくない方向へ努力を費やした時間」を知れましたし、そのような遠回り経営をこれから起業する人たちがわざわざ体験する必要はないと思っています。
社会人ならだれでも知っていることですが、ビジネスは始めるより走り続けることのほうが難解です。
個人事業の3年以内生存率は50%ともいわれるデータもあるくらいです。脅すわけではありませんがこのような現実は開業前に知っておくべきだと思っています。
意を決して介護タクシービジネスを走らせてみたものの、
営業所を置く地域の特性(田舎or都心部)・商圏人口/支持人口の割合・間接競合の存在・見通しの甘い経営姿勢などが複雑に絡みあって、経費支払いだけで生活費がやっとという厳しい現状が浮き彫りになっているんですね。
私の経営向上メールセッションを受けた開業1年目の方は、『仕事をまわしてやるから』という先輩介護タクシー事業者の一言を鵜呑みにして、新車の支払いと過剰な広告費の支払いに追われていました。
このような介護タクシー業界の真実の一端を知ったうえでも、それでも、挑戦してみたいと思えるのならぜひ飛び込んできてほしいんですね。
外出先バリアに苦労されている方へ、ピンポイントで移動と介助を提供し、〝外出がもたらす喜びと幸せ〟の瞬間をお客様と共有できるこの仕事はやりがいしかありません。
「買い手よし・売り手よし・世間よし」を体現する等身大の社会貢献ビジネスなのですから。一般タクシー乗務員では味わえない〝移動の支え〟となれる至高の喜びを介護タクシービジネスではかならず体感できます。
◆介護タクシーめぐりが開業から経営3年以内までに必要なノウハウをまとめました
平成から令和へと〝時代〟が変わった歴史的な節目と、介護タクシー運行歴12年のたな卸しをしてみたくなったという動機も絡みあい、ここらで一つ介護タクシー開業/起業バイブルを書き下ろしてみようと思います。
これまでに、このnoteでは介護タクシー開業者向けの記事をいくつか書いてきました。
介護タクシーの収益構造、車両選びのポイントや安定的収入確保につながる営業先へのアプローチ、営業に欠かせない販促(名刺・チラシ)ツール作成手順、車両は購入orリース?などなど。
これらの記事は古いものだと2年前に執筆したものもあり、情報の鮮度や書き下ろしている時点での私の考えが幾分未熟なものもあります。リライトすればいい話なのですが、平成18年の運行開始から令和まで、障がい者高齢者とのふれあいで培ってきた12年の経験ノウハウを、新しいカタチでたな卸ししてみたくなったのですね。
また、開業から経営3年以内に浮かび上がる疑問や悩みの解決につながる14記事をまとめて有料マガジンとしました。あちこちにちらばる情報を探す手間を省くと同時に、テキストでいつでもどこでも見返せる学習効率を狙ったものでもあります。
具体的には、以下のポイントごとに記事を書いています。
開業セッションをこれまでに受けてきた10数組からの疑問質問の共通点と、令和の時代に介護タクシーを開業する人たちへ伝えたい私からの提言…というカタチをまとめてパッケージングしたほうがお互いにとってウィンウィンだと思いました。
お互いとはだれを指しているのか。それはこれから介護タクシーを開業予定の情報収集者と開業申請中の方、そして活きたノウハウを提供できる私を指しています。
何故ウィンウィンなのかと言えば、介護タクシー開業者(情報収集者)は気になる点がテキストでいつでもどこでも確認できますし、私は開業セッションの対面でいつも聞かれていることを会わずに情報提供できるからです。
今回の14記事は開業~経営3年以内にぶつかる悩みや疑問を解消する手立て・私なりの導きのすゝめとして情報をまとめています。これさえ読めばセッションなんて受ける必要ないです。それくらい情報を出し切りました。
外出先のスマホや自宅のパソコンから適時見返していただいて、遠回りしない経営の参考になさってください。ご自身の進捗状況に合わせて単発記事購入でもどうぞ。
1記事目は開業資金を低金利で確保する創業融資制度についてです。
↓ ↓ ↓
ここから先は
依存せずに自立する介護タクシー開業/経営導きのnote
現役乗務員15年のキャリアを活かして介護タクシーを起業したい方が知りたい情報16記事をマガジンでまとめました。開業申請から稼げる福祉車両選…
頂けました貴重なお金(信用)は、信頼へと繋がる情報コンテンツやオフラインの状況でお返し出来たらなと思います。 移動にお困りの高齢者・障がい者がより良い生活が送れるよう微力ながら私の言葉で発信していきます。