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風起隴西〜五仙道の大祭酒と共に Part2

あなたを信じて

仕組んだ宴の後
詫びを入れる黄預(まだ全然信じていない)
この作品では誰もが腹に2つ以上の腹づもりがあり
口から出る言葉は露とも思っていないことばかりがツルツルと出てくるのだ

突然五仙道の内訳を話し出し
信者を代表して感謝を述べる
かまかけは失敗したが
陳恭を糜冲だと信じ込んでしまったのだ
戦は素人
糜司馬の指示に従うと

感激している黄預は義兄弟になりたいとまで言い出す
嬉しいことです
暁晨と陳坤殿下はもはや義兄弟のようなもの

ちょっ
ちょっと待ったちょっと待ったッ!!
なんで陳恭の方が弟を名乗るの
おかしい
陳坤殿下のが6つも歳上(現在47歳)なのにっ
ズルいや
こないだの《和平之舟》でも暁晨が先輩役だったのよ⁉︎(暁晨24歳、殿下20歳そこそこの設定)

中国人民解放軍特殊部隊の隊長と入隊したばかりの新人。この先輩は後輩(殿下)を庇いこの夜に殉死する

で、こっちの聖女はもう私が唾をつけてあってね、未来のヨメ。"義姉さん"と呼んでいいよ
ーーーまだ娶っていない黄預と既に娶って契っている陳恭
唾をつけただけの黄預が気の毒すぎる

ここで悦から陳恭に贈り物が
それは一振りの剣
私はその先のストーリーを知らないまでも
ハッとした
この剣だーーー

この剣が
後ろで柔和な微笑を浮かべている黄預の命を奪うのだ
私は身震いした
その手にした剣が
その胸に深々と刺さる瞬間がきっと来るーーー

陳恭が五仙道に持ちかけたのは"青萍計画"なるもの。
戦には優れた武器を、を推進する蜀には諸葛亮のもと当時の最新兵器が多数作られ
(武器でなくとも、狭い場所を楽々運べる一輪車を発明したのも諸葛亮先生だとNHKのドキュメントで知った)
魏がわはこれの現物か設計図かを入手したくて仕方がないのだった
そこで五仙道を利用して奪ってきてもらう、という作戦
何で五仙道がそんな面倒くさいことをしなきゃならないの、自分たちでやればいいのに…

そうやって糜冲(陳恭)を信頼しているようでいて
秦長老との宴反省会では
喪った二人の長老を悼み少し落ち込んでいた
軍隊における部下や捨て駒とはちがう
皆大切で貴重な信徒なのだ

そうは言ってもそうまでして糜冲が本物かと言うと
何か引っかかる黄預だった

このカタギじゃない目つき
キラキラ皇子様はもうむりね…

洞の入り口まで来ておいて
なぜまた中に戻ったのか?
果たして、それは悦が"外へ出るのはキケン"
と二人だけで示した暗号を用いて警告したからだった
黄預
貴方のカンは正しいのよーーー

青萍計画

竹鵲を組み立ててみせた陳恭。
郭軍守の指示で自ら復元したものを"組み立てかたを教わっただけ"とする

狙う新型連弩の設計図が保管されている定軍山は崖に囲まれた要衝
責めかたが難しい
けれども失敗はできない

どうやって攻め込み撤退するか
撤退時にこの竹鵲なるものが本当に有効かどうか
作戦前にどうしてもテストしたい慎重派の大祭酒
秦長老が似た場所でやったらどうか、と提案しそうすることに
黄預が慎重さや周到さを見せるたびに心が痛むわーーー

竹鵲は二つ
本来陳恭と糜冲二人で脱出するはずだったからだ
しかし糜冲は陳恭が既に殺した
代わりに五仙道から誰か、という手筈なのだが
①設計図を魏がわに渡したくない(陳恭は魏に潜伏する命を帯びた蜀のスパイ)
②自分を窮地に陥れた燭龍というコードネームの蜀がわの裏切り者を捕まえるためには単独で行動したい
陳恭は是が非でも竹鵲をひとつきりにしなければならないのだ

殊更懸念を示して作戦を引き出そうとする陳恭
それを翟悦も聞いている
蜀がわに教えるためだ

何と地図から設計図の保管庫の鍵まで
その燭龍なる裏切りスパイから受け取っているというではないか
あまりのことに
"驚きました"
もし自分が潜入していなければえらいことになっていた

秦長老が竹鵲の安全性に不安を表すが
即座に自分が、と名乗りをあげる
その腹積りは黄預には分からない
気遣いに感激する
"有能で誠実"
そのように感じているのだ

その背後で夫婦が目配せし合っていることに気づかずにーーー

作戦会議
天然の要害を攻めるには?
予め入手した地図
守衛の有無、見廻りの時間、倉庫の鍵
何でもあるこの恐ろしさ
全て燭龍なる二重スパイが持ってきたものだ

倉庫の場所は分かっている
脱出方法
ここが陳恭が最も懸念することだ
黄預が数人連れてゆこうとするのを何とか阻む

教徒たちの犠牲はある程度はやむを得ない
それほどこの計画に懸けているのだ

五仙道が請負うのは設計図のみ
それから先は燭龍が魏へ持ち帰る
つまり設計図を燭龍に渡すそのときがそいつを捕まえるチャンス
陳恭は何としても自分にかけられた嫌疑を、元凶である燭龍の存在を明るみにし晴らさねばならないのだ
そのためには黄預らがどーなろうと知ったことではない

肝心の部分はまだ連絡待ちーーー

竹鵲の飛行テストのため断崖絶壁の前に集まった黄預たち

一緒に行動することになったのはやはり秦長老
ただいざ絶壁を前にすると恐怖しかない

安全だと強調することで余計に不安が

自ら秦長老に竹鵲を選択させるが

正直どちらも嫌な秦長老
不安でどきどきしているようすが非常に出ている
どちらにしようか…、秦長老が選ぼうとしたそのとき、

陳恭が左側の竹鵲の操縦紐が緩んでいる、と大変な剣幕で指摘する。
それを見て不安を覚えた秦長老
右側を選択した。
巧妙な心理誘導作戦。

その様子を、どこか不機嫌なようすで見ていた黄預。
ここの暁晨の演技の意図を考えた。
秦長老が大切な任務なのに怖気づいているのを情けないと思っている様子を表したのだろうか。
無意味な芝居はしない人なので気になった。
この様子を見て不安を募らせる翟悦を、孫怡がうまく演じている。

操縦の最終確認をしたのち
度胸の最終確認もする
ここでやっぱりやめます、と秦長老が言えば陳恭にとって面倒が増える

黄預からも陳恭に感謝の最終確認
それだけこの作戦に教団の行く末を懸けているというのに
最初から陳恭は潰す気でやっているのだから
気の毒すぎる

何の躊躇もなく崖から飛び去ってゆく陳恭に秦長老も勇気を振り絞って突撃
真っ逆さまに落ちてゆく竹鵲
材料といい作りといい
絶対イヤである

陳恭は見事な操縦で谷を越えてゆく
んなアホな、と思うが…

見た目どおりとーぜんの結果となった秦長老
"なぜか"調節紐が言うことをきかず
真っ逆さまに落ちてゆき岩肌に激突
その瞬間カメラは翟悦を捉えているが
奥の黄預は目を瞑っている
映っていずとも手抜きのない芝居

視聴者と陳恭には"予想通り"な結果も
黄預にとっては
"運が悪かった"ーーー
ここで黄預は"晦気"と言っているのだが
この言葉には"縁起でもない"という意味合いもある
本国放送時、無残な死を遂げた秦長老に対して非常に冷淡な印象を残したようで
ここの黄預はまず"冷酷、冷淡、残忍、利己的"
などと、己の野望のためには所詮誰をも駒としか考えない非情な人物、と言われた

しかし先程目を瞑った失敗の折のようす
そして
そのカットの折に撮られたスチルには
非常な落胆と悲しみが滲んでいる
李長老、陳長老、そして秦長老の死は
これから黄預を襲う悲しみの序章にすぎない

血まみれの上めちゃめちゃに壊れた竹鵲

秦長老の遺骸を回収し
竹鵲も無残な残骸に
しゃあしゃあと操縦を誤ったからだと陳恭

未練を捨てられずに修復、復元をはかる黄預
引きの画面に暁晨の長身を知ることができる

自身が設計図を引き、試行錯誤で形にしたものだ
作れない訳がない
作る気がないだけだ
落胆激しい黄預
ならーーー

"私が自ら"
"ぜっったいにだめです!"
やめてください
余計にやりにくい

何としても設計図を盗まれないようにし
取りに現れた燭龍をとっ捕まえなければ

何もかもを弟のお前に任せるしかない
辛苦了
"お任せください!"
心が痛むわーーー

そこへ新たな燭龍からの報せ
「蜀軍は10日以内にここを襲う」
「青萍作戦は3日後」
「そのためこのアジトはスッカラカンに」
ーーー情報がだだ漏れの恐ろしさと虚しさ

何とかミッションを遂行するーーー

黄預が着替えている後ろで
機密のやりとりをしている夫婦
胸が痛むわーーー

間に入る黄預
方や共に過ごすほどに愛しさが増し
近々娶る予定の女
方や共に過ごすほどに信頼する義兄弟
それなのに
その二人の心は自分にはないのだ
これっぽっちもーーー
探りを入れる敵なのだ

暁晨はここのシーンを切り取り
"僕は君たちを別れ別れにさせる気などなかった…君たちの中に入りたいと思ったんだ、けれど…"
と綴った
何と悲しい絵だろうか

精一杯のもてなし
陳恭を本当に任務に忠実で能力もある優れた人物だと信じているこの眼差し

これだけの大変な命がけの任務をこなそうというのだ
労わねば罰が当たる

我らは身内
和やかに夕餉を食そうーーー

アジト脱出

洞窟での共同生活はその夜が最後となった
未明に黄預は関長老に叩き起こされる
蜀の諜報機関司聞曹にいる翟悦の従兄が、彼女と陳恭に報せるために狼煙を上げたのだ。

奇襲作戦がおじゃんとなり
李邈は殺されるし
翟悦の従兄はめちゃんこ怒られた
しかしそのおかげで黄預たちは(ここでは)逃げられたのだ
謝謝従兄

従兄のおかげで大祭酒の寝衣すがたを拝めることに!
中国では寝る間もズボンを穿くため着流しとは行かず色気がないが
おお、長い脚が透けて見える!←何なんだ
ゴーカイに上着を羽織り
こんな大慌ての時でもその指さきは美しい角度を保っている

静かな祈りが捧げられていたドームは決死の殿隊と雪崩れ込んできた蜀軍でたちまち戦場に

しかし黄預たち幹部は密道を使い逃れる

後方に更に見張りを残し
予め準備していた別のアジトへ

備えはしてあった
けれども情報よりも早かった

魏が五仙道を見捨てるはずがないーーー
最初から便利な捨て駒だと思われていなければいいけど
"大哥は曹魏が西蜀に放り込んだ擬似餌
どうぞ無事成仏してください"

びっくりしたっ
指笛か
くしゃみでも我慢してるのかと思ったわ
陳坤殿下も指笛とくいよ

《陰陽師侍神令》。めちゃカッコイイの

カリスマリーダーの風格が漲る黄預
陳恭が見惚れちゃうほどの

仲間を率いてやってきたのは
同じ山のまた別の潜伏先

今度は集落のような雰囲気
いざという時のためすぐ暮らせるようにしてあったことが窺える

発覚

改めて黒の上着を羽織っている黄預
暑かったろうなー

無言で何か考え込んでいる黄預
だんだん少しずつ何かが狂っていっている気がするようなしないような

目を瞑ってるからってこの殿下の憎たらしい顔!
"蜀軍に包囲されてるのに余裕の貫禄"
とか言っちゃって
誰のせいだか←夫婦のせい

慎重に綿密に秘密裏に計画的に長年やってきたのに
こんなふうにじわじわと
そしてひと息に全てが崩壊し無くなってゆく様を見ているのは何と辛いことか
大体のことは全てだだ漏れ
そして大いなる野望に目をつけられただの捨て駒にされて終わりなんてーーー
全ては目の前に座っているこいつと
そしてーーー

しーん

戸口に来た配下に気づき
陳恭にはついて来るなと牽制し

"待ちに待った"報せが来たようだ

関長老と違いまだ若い信徒は
燭龍の名をうっかり出してしまった
シッ……
キャー何⁉︎
このすてきなアクションは⁉︎
今一陣の風が吹いたわ!!
やっぱりカリスマ教主はこうでないと!💕💕💕

自室へゆき、人を下がらせ密書を解読する
ここからが
この作品中最高と言っていい私が推す名シーン
"張暁晨らしさ"ーーー張暁晨が演ずるなら
張暁晨しか演じられないものを見られる幸せに酔うべきだ

密書を片手に法則に従って解読してゆく
密書は数字で書かれており
それに見合う文字を調べて解いてゆく
メモを取る紙を持ってきて
書いている間も警戒する素振り
こういった細かい芝居はやれるようで
このエレガントさを醸しながらというのがなかなかない

様子を窺っている翟悦

彼女からはよく見えない
愛しい暁晨の横顔だ
顔にかかる髪もいい
しかしそんなアホなことを言っていられるような表情ではなくなってきた

解読を終えた黄預
どこか呆然とした様子で手元を見ずに竹簡を丸めてゆき
机に叩きつける
怒りだ

内容に合点がいくにつれ衝撃と
その事実に憤怒の形相に
これ過去最高に怒ってる芝居じゃないかしら
「張暁晨らしさ」
それは更にここから!

怒りを無理矢理押し込め竹簡を行李に戻し

密書の木片を机に徐に放置し

静かに部屋を出てゆく
机に殊更に放置した密書といい
部屋を出てから少しだけ戸を開けておく袖口だけの絵面が恐怖でしかない
こういう芝居をさせたら世界一だと私は思っている
誰でも言われてできるものではない
最高に痺れる!!
ここはもう一度言うが全編で最も私が好きなシーンだ
もう翟悦は黄預に捕まったも同然である

だいたい張暁晨の近くにいて見つからないわけがない
ここの恐怖は他の俳優の30%増し

この笑顔の恐ろしさ

静かに
静かにゆっくりと袖口の木片を取り出すこの動きも

このメモの示し方も

刹那容赦なく殴り
殴ったあと
やはり本当だったのだと知った衝撃に
裏切られた悲しみと切なさを織り交ぜた表情ーーー

拷問の果て

二年に渡って騙していた女
二年に渡って愛してきた女
どうしてくれよう

この期に及んでもまだ認めようとしない女
愛しい
愛しいが憎らしい
こんなにも愛しいのに憎らしいことをしたからだ

しかしこんなにも憎らしいこそ
どれだけ愛していたかを思い知る
悩ましさで発狂しそうだ
今日までの災いは全てこの女のせいに違いないのだ

愛するお前をどう殺すか
とくと考えよう

100通りあるどんな方法でいたぶるのかと思っていたら

何と王道の鞭打ち!!
だあー、大哥!!どうどうどう、
夫が直様止める!

弟よ、義姉さんがやってくれたよ…
犯行現場を見られたってのにしらを切りやがる!
どう!どう

妻は夫に任務を托さん、と死に急ぐ!
ついに吐きやがった!!

このときの顔!
痺れるったらないわ

無理矢理その憎らしい口に捩じ込んだのは
丹薬
麻薬のような症状を呈し感覚が冴え渡り
痛みも快感も倍増という

拷問部屋から明るい外に出ると
どっと徒労感が…

せりふを端折ると更に変態みが増す
甚振りたいのか愛でたいのか
本人も分からないにちがいない

ただ夫には耐え難いだろう
たんに"男"としての独占欲、庇護欲もあるだろう
妻は汚させない、傷つけさせない、これ以上ーーー

陳恭も涙を汗のように装い拭っているが
黄預のひとみにも涙が滲んでいる
真に冷酷ならば泣いたりしない
弑虐心を顕にしここぞとばかりに狼藉に及ぶだろう
張暁晨はそうはさせない
彼の演じる役が外道や下衆なわけがない

愛した女に裏切られ(しかも情が冷めたとかではなく最初から情などなかった)
懊悩のなか
明日は死地へと向かう信徒たちと焚火を囲み
餞の宴会
お前たちの犠牲はむだにはしない
きっと教団を繁栄させてみせるーーー

明るく豪胆に振る舞い士気を上げる
これぞリーダーの鑑

しかしみんなのもっかの話題は聖女
全くどこもかしこも間諜だらけ
油断も隙もない
賊を聖女と崇め丁重に扱っていた
まぬけなことにーーー

忌々しげに焚火に焼いた魚を投げ込む
この芝居も好き
徐に立ち上がり自らに言い聞かせるように
凶事を慶事にする

まさか慶事などとは絶対に思えない
焦燥を押し殺している陳恭に黄預は声をかける

青萍計画の打ち合わせだが
酔い疲れ
それでも可愛い優秀な弟分が今や最後の心の拠り所だとでも言うように悪戯っぽい表情で呼ぶ
こういう細やかなリアリティ溢れる造り込みが非常に痺れる

聖女のことは身内の汚点であるのに
なぜいつも陳恭を伴い相談するのか
一人だけでは耐えきれないからか
陳恭は助け出す算段をしている
何時ごろに黄預は尋問を再開するか

けれども翟悦のことよりも
最早最後の神輿となった青萍計画を
悲しみの中でも進めねばならない
このごたごたの中でも事前に全て準備してある
黄預の有能ぶり
最後の手筈、最後の確認、合言葉、落ち合う時間、設計図を燭龍に手渡す方法ーーー

そうやって頭を切り替えて煩わしいことを
暫しでも忘れていたい

陳恭の方も
これで五仙道から聞き出すことは全て聞き出した
後は逃げるが勝ち
多大な損害と惨めな失敗を被るであろう義兄を揶揄する
陳長老、李長老、秦長老、関長老、謝長老、そして聖女、多くの信徒たちーーー
大切な家族を犠牲にしても何としても手に入れたいものーーー

今夜でお別れ、運が悪ければお前ともーーー

"飲み過ぎは禁物ですよ"
家族のような気遣いの言葉を嬉しそうに受け止める黄預
さあ
あの女の相手をするのはまだ後だ

しかしーーー

翟悦はこれ以上醜態を晒したくない、と間諜としての矜持を示し
逃そうとした陳恭を拒む
逃げたら何もかも水の泡
任務を遂行してこそ
お国のため
漢の復興のためーーー
自分たちは間諜
間諜ならばー

翟悦は既に息絶えていた
薬で醜態を晒す前に陳恭が持っていた猛毒を塗った匕首で舌を切り

何も吐かず
何もさせず
黄預を置き去りにしたまま
黄預に何も言わせぬまま

黄預は嗤いながら嗚咽する
最早冷たくなったその頬に触れ
髪を整え
そのからだを撫でる
それは愛しいものにする仕草ーーー

計画失敗〜敗走

翌朝
陳恭は恨み骨髄といった風情で悦の剣を眺めていた
何としても蜀に帰り
悦を犠牲にしてまで計画した任務を果たし蜀へ帰還してみせる
そしていつか
仇を討つ
黄預をこの手で殺してみせるーーー

想いの強さは黄預も同じ
今日ここに念願叶い勝利を収めるか
それともーーー
後がなくなった五仙道
後がないなら進むしかない

いざ定軍山へーーー

しかし我が大祭酒のカンは正常だった
あまりにも幸運なタイミングで死んだ翟悦
立て続けに長老たちは死んだ
"念には念を入れ"
疑ってかかれ、と
いざとなればーーー

容赦するな
あの女と同じ蜀の間諜ならば許せるはずがない

秦長老に続き関長老も
この反応を見るかぎり
悪党なのではない
純粋さゆえに五仙道信徒となり
善人がゆえに自分たちの教団が支配する世を夢見ているだけだ
黄預も然り
"へい、わかりやしたお任せ下さいやし"
などと言わない

後ろ姿だけでも痺れる

しかし結局入れた念も虚しくーーー

定軍山にある軍技司。正面からの一本道しか入り口はなく
見ただけで無理とわかる要害。

陳恭と並んで佇むシーン、あれはここだったのかーー

このシーンを見る日を、どれだけ待ったことだろう。
新しい仕事、新しい役ーーー
いつも播出まで全く情報がない中、待ち焦がれなければならない中国ドラマ。
何かを親しげに相談しているような二人を見て、最初は友人として知り合い、後に敵対するのだろうか、それとも最後まで無二の親友であろうか、三国志ものだから二人ともそれぞれ間諜で、お互いを探り合うのだろうか…いろいろ想像を巡らしたものだった。
暁晨はいつも主役ではない。
脇役の情報など出るわけもなく、放送中、放送後もただストーリーの中のいちキャラクターとしてあらすじや感想、紹介記事で埋もれ、忘れられてゆく。

今回分かったことは、二人の間に友誼などなく、お互いが不倶戴天の敵だ、ということだ。
そのとおり、愛とか友誼とかは、もう一人の主人公とヒロインとで育み、語られるものだ。
脇役はお呼びじゃない。

もう一人の主役。見て分かるとおり、善い人。
残念ながら、全く暁晨とは絡まなかった

機械を動かすボタンやネジ、コードのように、それがなければ機械は動かないが誰がネジやコードなどに関心を払うだろうか。
部品はそれぞれの役目をただ果たすのみなのだ。

ハア?←三国志は門外漢のため何のことやらサッパリ。《軍師連盟》もこの《風起隴西》を理解するために視聴したが…

最終確認。
陳恭を見つめる眼差し。
成功を願い、成功することを信じて疑わない。
そのためにすべきことは全てした。
最後の最後で、陳恭にそれを託すのだ。
それを"信頼"というーーー

翌朝。
手筈通り東側の谷下で待っていた黄預。
待てど暮らせど、賢弟は現れない。
崖下には関長老の骸が。

これで陳恭ーーー糜冲の裏切りははっきりした。
まだ樟の件はあるものの
関長老は糜冲によって殺されたに違いない。
つまりーーー

"念には念を"ーーー
奴は"そう"だったのだ
己の拭いきれない不安
予想どおりーーー

その通りのようでございます

上の騒ぎで山じゅうが間もなく蜀軍に埋め尽くされるであろう
このうえはーーー
"逃げる"
敗走するのみ

信じたゆえの敗北
自分はまたしてもーーー
なぜ信じた
なぜ信頼し
なぜ愛しいと思った
それでもまだ信じたい
糜冲はもしや古澗渓にーーー
そちらに行こうと思ってももう道は塞がれた
"天水へ"
もう一度郭淮に指示を仰ぐ
もしかしたら天水で再会できるやもーーー

信じたのに
裏切られた
愛したのに
裏切っていた
もう信じるのはーーー

Part3につづく








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