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卿卿日常〜その哀哀日常のすべて Part4

ワルいヒドいキモいを極める尹嵩兄さまはここから更に進化する
めしを食わさず反抗すれば罰を与え屋敷から出さず凡ゆる強要をし殴り首を絞めたでしょ?これ以上何があるのか、と思うが
脚本家は格好の材料を見つけて来たのだーーー来なくていいのに。

尹崢の側室を発起人とし女どもは"九州美食レストラン"なるものを開店
丹川や金川なら普通だが新川で女が商売など言語道断
余計なことを言って因縁をつけた同腹の弟が5弟の嫁(丹川人)にボコられ泣きながらの訴え

それだけではなく6弟はそこで外川の使者らと接待じみたことまで
ちゃくちゃくと人脈を作り顔を売っている
悪どいことばかりしている尹嵩兄さまは尹崢まで悪どいことをしている妄想がまざまざと思い浮かび

血管が切れそうに
私の一番好きなシーンだわ〜
この盃の啜りかた!!
泥酔しながらイライライライラしてる感じが最高
こういうところも今回進化した!って感じだわ

10弟の酷い顔は女がやった
店も女、女、女、女ーーー!!
女に自分が脅かされるとは

《風起隴西》でも女にしてやられ狂気に満ちた芝居をしてみせた暁晨
今回更にひと皮剥けた狂乱ぶり
杯に酒を注ぐこの色気!

いったいどこまで尹崢はその才気を伸ばして来るつもりなのか
やること成すこと規格外の手腕を発揮し
最早戸政司にまでーーー

上等だ、今に見ていろーーー
と言いたいのはやまやまだが言えないこの悔しさ
今にどうしろというのか
どうしようもない
どうしようーーー

郝葭、郝葭か…そうだ、貴様はあの連中と連んで私をコケにばかりしていたな
その立場を利用して何か探って来い
何でもいい

外出したがってたろ?
奴らに会って何かいいゆすりネタがあれば私に教えろ

AI翻訳さいこう笑

しかし郝葭はそんなことはしたくない、と拒否
だって私の心には若様だけですもの
そんな私には誰も商売の話など致しませんーーー

いつもながらの腹立つその物言い
はっはっは
何だそりゃ?
心には私だけ?
だから無理だって?

"お前自分が何言ってるか分かって言ってるのか"
(言葉で自分の機嫌を操作しようとしている郝葭に対する嫌味。もちろん郝葭は操ろうとしているのだ、それが最高に腹が立つ!)
額を指で小突き顔から笑顔を消すや差し出された白湯を叩き落とす!
ここのキレ!

私を愛してるとか何とか微塵も思ってもいない癖にしゃあしゃあと
私を上手く転がしているつもりか?
舐めくさったその口は嘘しか吐かぬ

嘘じゃないとまだ嘘を言うなら証明してみせろ!!

小賢しいその物言い
舐めきった態度
もう我慢ならんーーー!!
揺さぶったのち床に放り飛ばす!
そりゃそうなるわ
本当に腹が立つ

まだ憤りが収まらず転がったままだった湯呑みを蹴り飛ばす!
ハラショー!!✨✨✨✨✨
何てすてきなの!!
このアクションはきっとアドリブに違いないわ!
"何かが降りた、ってかんじでアイディアが次から次へと湧いた"
って言ってたシーンのひとつかも⁉︎

またここもすてきなの…
何も持たず
何もできない
ただ奪われて失ってゆくしかない哀しみに揺れて
"誰も私に逆らわせやしない"
今まで持っていたものすべて
意のままにしてみせる
嫡長主たればこそーーー
最高に上品で優雅で
80階建ての高層ビルほどもある矜持
張暁晨が演じるんですもの
こうでなきゃ!

この話の放映のあと
ウェブ上で"尹嵩兄さまの精神状態"
なんていうタグが賑わってたけど
余計なお世話よ

悪夢の妊娠

嫡長主がモラハラ夫だというのは感じていたがDVまでも郝葭に与えていたと知ったヒロインらが
なら逃そう!逃げるのよあんなヒドい男から!
と郝葭を唆し
ずっと耐えて正室と二人で結婚生活を続けると決意していたはずの郝葭は秒で逃げる気満々に
ところがーーー

最悪のタイミングで郝葭が妊娠
もし男の子なら"嫡長孫"をパパにプレゼントできる!
と俄に尹嵩兄さまのテンションはMAXに!

実は川主(パパ)の孫はこれまでに女ばかり
大少主の娘はもう20歳にもなるが
尹嵩兄さまにも二人娘がいる
いずれも側室腹だがーーーってその側室はどこに?←これが大問題案件だった
尹嵩兄さまに似てるならさぞかし美しいでしょうよ

もう郝葭への愛しさが溢れすぎて止まらない尹嵩兄さま
思わず額に口吻けしようとして

正室の芳如を気遣ってか
本当に生理的に無理だからか
咄嗟に躱した郝葭
取られた手も離してしまった

拒否られて止まったままの絶妙な芝居!
いちいちうっとりするわ

まあいい
体を大事にするのだぞ
毎日会いに来るーーー
嬉しいことばをたくさんかけて
一先ず部屋を後にするーーー

腹の子が男でありますように
でも女ならーーー?

本当に尹嵩兄さまはそれから頻繁に郝葭の部屋にやって来るように
以下尹嵩兄さまの最高に気分が悪くなる"妊婦ハラスメント"をご覧ください

①腹の子が男と決めつける
もう尹嵩兄さまの意識は遥か彼方にいる理想の息子、初めての嫡長孫に顔を緩ませ喜ぶパパの様子を思い描いてばかり
もし女だったらどういう事態になるか恐ろしすぎて想像すらしたくない

②実の母親から子を取り上げて正室の養子にする
取るに足らない側室腹という問題はこれで解決
"正真正銘の嫡流の嫡長孫"
そうとも
嫡流である私にしかそれは成し得ないのだ
というわけで安心して産め
安心できるか!

③今の正室は最初から好みじゃなく嫌いだったから別の女と換えたいと思っている
これもまた代替案件
離縁したいならとっくの昔にすればよかったろうに
欲しかったのは芳如の体でなく実家の鉱山
最低

④過剰な干渉
母体よりも腹の子が大切
言い換えれば母親はどうでもいい
こういう輩には実際に10月10日の妊婦体験、分娩体験をさせねばならない
いかに不快でいかに大変か

どうです
たいへん気分が悪くなったでしょう

しかし困ったことに
ここの暁晨はめちゃくちゃすてき
囁くハスキーなありそうでない声
大きな手で肩を抱いたり指差したり顎を取ったり
ねっとりした視線
厭らしく歪む口角
この"濃ゆさ"も張暁晨の醍醐味

去り際までーーー!

パパの耳にも尹崢のレストランの話が伝わり
やはりパパも眉を顰めた
それくらい前代未聞なのだ
新川で女が前に出てアレコレするというのはーーー
尹嵩兄さまが料簡が狭いわけではないのである
パパは警戒して尹崢を見張る役目を尹嵩兄さまに命じたんで兄さまは小躍りした

見張るだけで良いのにわざわざ母方の伯父様まで動員して店の運営にまで介入したので
却ってパパから"やりすぎ!"と咎められるしまつ

尹崢には隙がなく
叩いてもホコリすら立たない
尹嵩兄さま…😩😩😩

そうして迎えた正月
弟たちの屋敷では
正月でなくバレンタインかと思うほどハートマークが飛び交っているというのに
目出度い正月の装飾すらも寒々しい凍つく空気に震え上がりそうな二少主邸ーーー

明らかに悪質な対比演出
郝葭が食べさせられているのは酸っぱい料理フルコース

暁晨が紹介してくれたテーブルの様子。左上に台本が見える

郝葭はだいぶ腹が目立って来た頃
嫡長主と正夫人は付き合っているだけだ

尹嵩兄さまたちはもうすでに宮殿でパパたちと豪華な料理を食べて来たあと
郝葭を殊更に兄さまは外出させようとしないのだ
"安静"を曲解しているに違いない
安定期を過ぎればむしろ動くように心がけねばならないのに
床に寝かせてばかりなのだ

翌日はイタコを喚んで腹の子の男女判定
萱草(ほんとうに萱男草という。日本でもその辺に普通に生えている)を燻した煙にみんな咳き込みまくり
笑うところなのかと思いきや
尹嵩兄さまの顔は真剣そのもの
悲壮感さえ漂っている

この煙を腹に当て
糸が切れて鈴が落ちれば男、ということらしいが

一向に切れる気配なし
ということで

残念ッ腹の子は女!
尹嵩兄さまの落胆はひとかたならず、捨て台詞は
"無用のものだ"
だった
最早自分を見向きもせず憤って去ってゆく嫡長主を
郝葭は愕然として見つめるばかり。

女の子だと知って周囲に生まれもしないうちから絶対男の子だと触れ回っていた尹嵩兄さまは落胆激しく
ーーーというのは、最早男の内マゴを見せるしかパパの歓心を買うネタがないからである
たんに男でなければ、という男尊女卑的発想だけでなく
女のマゴはもうたくさんおり、男でなければならないという必死の思いなのだ
弟たちは昨年たくさん結婚した
もういつ誰の懐妊ニュースが来るかもわからない
男の孫を上げるならまず自分が、しかも"嫡""長"という二文字を何としても冠した息子をーーー
そう、やはり必死なのだった

満面の笑顔で郝葭の部屋を訪れた尹嵩兄さまーーー
他の少主のように、他のエピソードのように楽しくコミカルですてきなエピソードがあったなら
すてきで誰もに好かれるような役柄であったなら
きっとこの笑顔がたくさん見れたろうにーーー
泣きそうになった私である
尹嵩は暁晨ではない
当たり前だが

優しく抱き寄せ弾んだ気持ちで愛しげに妻の手を取る
暁晨の演じかたによってこれほど変わる
それが更に悲しい
よい役であったなら
この魅力にどれだけの人をうっとりさせられたろう
この時にはもう
この紫芋が画面に出てきただけで阿鼻叫喚の非難の嵐
公式も"尹嵩兄さまと演じている張暁晨を混同せぬよう"呼びかけねばならない有り様だったのだ

この件については後ほど。

何のことやと思ったがこのひと言でゲンナリする
まだ諦めていなかった…

それほどまでに男を産まねばならんらしい恐怖と不安

"まだ希望がある"
そういう気持ちから尹嵩兄さまは郝葭の身体を労わり慰めようとする
何としても
何としてもーーー

イタコを真から信じている尹嵩兄さま
部屋中にお札を貼り付けて吊るしまくり
香を噎せるほど薫きしめ
"種がある"ーーー男子出生の悲願を込めまくり果物をやたらに食べさせる

郝葭は酸っぱいものが苦手なのだが
母親の嗜好など配慮するに能わず

まだ口に含んでいるのに矢継ぎ早に口に突っ込むこの最凶演出
誰もが尹嵩兄さまに殺意がわき押し殺すのに苦労する

"また来る"
毎度のこの言葉に
"来んでいい!!"
と総立ちでツッコミが入る
このとき密かに侍医に彼女を診させたヒロインが
郝葭の身体と精神状態はもう限界と判断し
逃亡計画を立てる

夜更けて
主のいない部屋に尹嵩兄さまが現れ
侍女の緑茗が慌てふためき装飾品を取り落とす

張暁晨だ
こういう時彼は微動だにしない
床に飛び散った装飾品を伏し目がちに見下ろすだけ
これが非常な緊迫感を喚ぶ
漸く徐に歩み寄りひと言
"側夫人はどこだ"
ここで『居ない』という事態を尹嵩兄さまが想定する
眼光の色が変わる

その時だった
"居なかったはずの"郝葭が現れ
尹嵩兄さまは振り返るーーー
ここまでの精緻な芝居
惚れ惚れする
振り向いてから正面を向くまでのこの間合い
衣擦れの音が耳を擽る

郝葭は逃亡を思い止まった
側室の悲哀ーーー女は所詮一人で生きていくなど無理なこと
生まれてくる子への責任も外聞もーーー実母ですら自分の身を真に心配するのではなく
己の立場への不安しかないのだと知り
絶望したのだった

郝葭が逃亡を諦め自分の腕の中に戻ったことを尹嵩兄さまが知っていることは
ここの尹嵩兄さまの芝居で判る
それが張暁晨だ
私はこれだけの量のテキストと手間をかけ
全体の感想やあらすじを書いているわけではない
"その作品での全ての暁晨のシーンを紹介し彼独自の魅力を知ってもらう"
これが意図だ
だからどんな短いシーンも割愛しない
例え10秒だろうと暁晨は深い考察と洞察で無意味なシーンにはしない
この秒単位の鑑賞こそ
張暁晨を堪能する意味があるからだ

"ーーーうまい"
この一言に
"よくぞ戻った。私に背くことがどれだけふざけたことか分かっているようだ"
これが含まれている

男さえ産めばどんなわがままも聞いてやろう
本心など意味のないもの
女という生き物と同じにーーー

子を産むのは女であるのにどういうことだ
世界共通のこの女卑思想はもしかしたら
人間の生物的なものに拠るのかもしれない。

最後の最後まで魅せる
この余韻の色気!
緊迫感と存在感とねちこい芝居
張暁晨しか出せないこの特別さが功を奏し
"一人だけの極悪人""モラハラクソ夫"
への呪詛の声は毎晩のように膨れ上がり(1日2話のペースで配信される)
破裂しそうになっていた
"このクソ少主を何とかしろ"
"出てくるだけで反吐が出る。いつまでこいつはのさばっているのか"
その声にだんだんプラットフォーム側も調子に乗って
''さあさあ今夜の嫡長主はどれほど私たちを怒らせるでしょう⁉︎"などと煽り出すほど
"夜道に気をつけるんだな"
状態に私たちファンは暁晨の身の安全すら心配するほど恐怖を感じていた

………嘘でしょ!!?

そんな時
再び暁晨がファンダムチャットに降臨した。
私たちは最早尹嵩兄さまに何の希望(今作で暁晨が話題になり人気が上昇すること、これこそかファンたちが最も願うこと、希望だ)も見出せず
作品から逃避するあまり
"《隋唐英雄》の宇文成都こそ最高""あら《神医安道全の朵恩もすてきよ"
などと過去作のすてき暁晨を引っ張り出してまつりを行うしまつだった

"たった今僕の私信(ダイレクトメールのこと)を解放したよ"

その後のファンの反応→え、まじで?
またまたあ、嘘でしょ
またペテンにかけてるんでしょ

普段からいかに私たちがペテンに遭っているか分かろうというもの
彼は私たちが自分たちのメンタリティを護るために毎晩"尹嵩兄さまはなぜクソに成り果てたのか''
という討論を展開しているのを見て閃いたらしい
そこで私たちに彼は言ったのだ
"ここでしているような尹嵩への個人的な考察を、僕にも送って"と。
私たちは"は?"と言った。
しかし早速所感を送ったファンたちもいた。
それはこの作品から顔を出したばかりの俄ファンがほとんどだった。
古参は殊更がっつかない、非常にクール
それが暁晨ファンである。
では日本で最も熱く彼のファンをしてると自覚する私は?

私はーーー躊躇していた。
しばらく様子を見ようか、そう迷っていた矢先!
暁晨は信じられない行動に出たのである。

何と、率先して送った俄ファンらの文面を載せつつ
"尹嵩を演じていた時はただ演技に集中していたため分からなかったけど、今改めて彼を見たらあまりのクソぶりにドン引きだ。全く庇えない、でもこの機会に皆もぜひ忌憚なくあいつへの叱咤や罵倒、いいことも悪いことも、直接僕に聞かせてくれないか。僕から彼に伝えとくから。ドシドシ送って!"

ーーーーー
私たちは仰天した。
この、誰もがもう限界というまでに尹嵩兄さまへの不満と憎しみを膨張させているこんな時に
彼の身の安全すら心配しているこんな時に
よりにもよってDMを解放する!?
しかも
当初はその対象はファンである私たちだけに向けられた声がけかと思ったら、何とそれを番組公式アカウントでもやったのである。
公式アカウントもリツイートしたことから、この暁晨の言動はあっという間にトレンドに上がった。

ファンたちも大騒ぎである
暁晨はスターではない。
何かを演じるたびに
"あのインパクトあった悪人は誰だったんだ"
という記事の常連の張暁晨が
トレンドに⁉︎
『歴史的瞬間』に立ち会えたことに感謝ーーー
じゃない!
大丈夫!?

そんな私ーーー日本で最も熱く彼を応援していると思っている私は
この初期画面を穴が開くほど眺めては項垂れ悶えていた

このDMは微博に存在する

あるのは知っているが
どこの誰が俳優に直接送ることができようか
馴れ馴れしいにも程があるってものだ
しかし今回は俳優自身が
カモン!!
と言っているのだ
こんな奇怪な機会など、この先もあるわけないだろう
そこでようやっと私は覚悟を決めた
きっかけは"日本でのこの作品を見ている状況を彼に伝えることができるのは私だけだろう"
という"自尊"だ
そんなことは全くないのは分かっているが
そう自分に言い聞かせて勇気を振り絞った

私:妊婦の精神状態は胎児に、悪影響を与えるのに…
暁晨:(尹嵩に)言っとく、言っとく

実は暁晨とやりとりするのは初めてではない
普段から投稿したコメントに彼が返信してくれることがあるのだ
この放映中も頻繁にその恩恵には与っていた
しかしDMは話が別である
何と言っても
"誰も見ていない場所で彼と直接二人だけで"
会話するわけで
私hanorosesが日本人で自分に狂っていることを暁晨は知っており
このバラのアイコンは日本のあのおばさんだと分かっている
私はまず文面は翻訳機頼みなことを書き
尹嵩兄さまの私の考察を書いた
それらは容易く彼の元へ飛んでゆき
それと同時に彼が設置した自動音声が私を迎えたーーー

暁晨の低くて良い声に鳥肌が立つ。
しかしまさかDMでまで返信は来ないだろう。
来たとしたら、本当に彼と"交流が"開始することになるーーー
ところが…!

暁晨は返信を送ってくれたのだ、しかも…それはコピペではなく紛れもなく私に向けて書かれたものだった。
"早く貴女の体が回復しますように"という文言は
この9月に私が手術を受けたからだ
以来彼はいつもまずこの言葉をつけてくれる。
何と嬉しいことだろうか

現在も彼とは気軽にやりとりが続いている

新年に伊勢神宮を参拝したときの写真も喜んでくれた。尊い人である

彼のすっ頓狂な企画にどれほどの人が冷やかしも含めて参加したか、それは定かではない。
ファンたちは未だに私信を書いて彼から返信があるか、と聞く者がいるが
それを見る限り全てのファンに返信が来ているわけではなさそうだ。私は本当に彼に感謝するばかりである。

自身に振りかかる罵詈雑言を鮮やかに躱した暁晨。
しかしながら、視聴者はあの最低野郎を何とかとっちめるか殺してやりたい、という怨疽の中
ついに23話の予告が出た。

"キャー!!尹崢すてき!!😍😍😍"
"ついについに、紫芋が痛い目を見るぞ!"
"郝葭はこれで助かる!"
その晩はまつりとなったーーー

尹嵩兄さまが妊娠中殊更に郝葭を家から出そうとせず
迷信を信じて様々なものを無理矢理食べさせていたせいで
胎児は大きくなりすぎ郝葭は大変な難産となった

尹嵩兄さまはその日も尹崢対策に行き詰まり
焦り恐れていた
尹崢のパパへの覚えはますますめでたく
全くつけ入る隙がない

つまりは尹崢は本物の逸材だということだ
下手に細工をしてもこちらが危ない
成す術がない
成す術がない!
そんなとき阿宝が駆け込んで郝葭の難産を報せにくる

"側夫人が大変に苦しんでおり侍医が必要で痛み止めの針の処方も"

"ふざけてんのかこの切迫したときに
そんなしょうもないことを報せに来るとは
お産は大変で痛むものだろ
普通のことに侍医なんか要るか
針なんか打って子どもに影響が出たらどうする
耐えさせろ!"

しかし尹嵩兄さまは呼び止める!
"やはり針を"
と言うのかと思いきや
"男が生まれた時だけ知らせろ"
ときた
オニ!
何て脚本だまったく!

郝葭は芳如の協力で針も受けることができ
無事に女の子を産んだが
尹嵩兄さまが全く母体を労わってくれなかったこと
妊娠中にされた凡ゆる仕打ちに恨み骨髄
赤ん坊の貌さえも兄さまに似てると言って忌み嫌っている

暁晨の顔に似てるなんてイヤ、だなんて…
ファンには辛すぎる
もうこの頃には私たちは泣き疲れ果てていた
兄さまは子が女と知り会いにも来ない

郝葭はそのまま産後鬱になってしまい幻覚症状が出るように
尹嵩兄さまは名前を聞くだけで忌々しく
外聞も悪いため別棟に監禁することに

赤ん坊の鳴き声がした時の尹嵩兄さまの反応が怖かったのなんの
まるで幽霊か怪物を語るような様子で
全く自分の娘という意識がないように
先に生まれた二人の庶子と同様に
宮殿で乳母に育てさせる

不幸な子ーーー
生まれた時から母親は産みたくない、顔も見たくないと言い
父親はごみ扱い

実の子だろうがゴミだ
女なんだから

女など必要ない
必要なのは男の孫だ
壊れた郝葭に代わる女を見繕い秘密裏に連れて来い
言ってることやってることが最早人として最低
クソすぎて吐きそうだ
すてきな仕草に蹌踉めきそうになってもーーー
聞くに堪えない

見かねた芳如が自分の"嫡長女"として育ててもいい、と言った時だったーーー

まるで子ができないと知っているかのような兄さまの言葉ーーー

しまった、とばかりに表情を消す
こういう芝居もうまい

訝りながら下がった芳如を窺う
勘付かれたかーーー
そのような

心乱れて大切な書に身が入らない
こうして崩れてゆくのだ
一つずつーーー
細心の注意を払い
念には念を入れて行っていたはずのものらが全てーーー

亀の甲羅に入れた三枚の銅銭を
尹嵩兄さまが独り一心に振っている
何かを占っているのか
何度も何度もーーー

この銅銭は昨年1月
横店の撮影所に入ったばかりのころ暁晨が見せてくれたものだと気づいた

そこには李煜の詩『烏夜啼』が添えられていた。

ーーー林花謝了春紅
太怱怱
無奈朝來寒雨晩來風
胭脂涙
留人醉
幾時重
自是人生長恨水長東

林花は謝り了くす春の紅ひ
太にも匆匆たり
奈ともする無し朝來の寒雨晩來の風
臙脂の涙
人を留めて醉はしむるは
幾の時か重ならん
自ら是れ人生は 
長への恨みにて水は長へに東すーーー

尹嵩兄さまの末路はもう決まってしまったのだろうか?

何とか郝葭を尹嵩兄さまから解放しなければーーー
女子ーズのみならず尹崢、尹岐兄さまなども動いて
尹崢の実母を通して郝葭の様子を確認に来た
余計なことをーーー

郝葭を監禁などしていない、静養させているだけだと尹嵩兄さまは誤魔化す
その証拠に連れて来させた郝葭は
尹嵩兄さまの意図どおりに何事もないかのように装う

郝葭の態度に満足する尹嵩兄さま
今回の作品は何度も茶を飲むシーンがあるが
様々な心象、状況によるこの風情の違いを愉しめる
本当に優雅だ
眼福につきる

尹嵩兄さまは自分が酷いことをしたらいつでも逃げ出して来い、と唆す李薇らを咎める
"郷に従え"
それは道理なのだ
外川の理念や流儀を持ち込むな

"よくぞ誤魔化した
私の意図をよく把握した
さすがによく頭が回る。従順さがお前の愛しいところだ"
満足げに監禁部屋に連れてゆきながら
こんな場所でゆっくり養生しろ、たまに見に来るなどとどこまでもふざけている尹嵩兄さま
もう何もかもどうでもよく
こんな男の寵愛など要らない
そう郝葭は初めて言葉にする

"どういう意味だ"
尚も威張りくさって薄ら笑いを掃くその顔にぶち撒ける
"分からないの?
馬鹿だから仕方ないのね。
そんな頭でこれからやって行けると?
とんだ見込み違いだったわ

"智勇双全"?とんでもないわ
貴方はただの能無しよ
びくびくパパの顔色を窺い
嫁の実家の財力に頼りできもしない子どもに縋る

貴方に何があると?
何も無いものを誤魔化し偽り生きてきただけでしょ
化けの皮が尹崢によって剥がされて裸になって震えている
もう貴方なんか怖くも何ともないわ

よくぞ言ったもんだな
お前が言えた立場か?

私には何も無い
だがお前にも何も無い
私は父上の寵愛に縋って生きる
お前も私の寵愛に縋って生きる
お前など
いつでも捨ててやる
裸で路頭に迷うがいい

所詮ただの側女なお前
お前は何も持たない
ただ生きているだけの情けない生き物だ
哀れみを求めず生きられるものならやってみろ

これだけは忘れるな

お前は生まれながらに犬のように尻尾を振り媚びるしかない生き物で
自らそれを選んだのだ
なら尻尾を振っていろ
余計なことは吠えずに
精々私だけが可愛がってやる
覚悟しておけーーー

果たして
郝葭は入水自殺を

何なんだ
死ぬほど外出したいなら
外出してから死ね!どこででも!

意識不明の重体な郝葭を徐侍医なら救えるかも

徐侍医はパパの専属の侍医で
こんな夜中に勝手に呼び出していいようなものではない
あらぬ疑いを持たれるリスクなど絶対に負えない

ということで大迷惑!
お断りだ!
おととい来い!!

おーい!!

おーい!!

さあ5家と6家が大騒ぎして徐侍医を拉致し
尹嵩兄さまの家に突入し郝葭を助けんと
門前で揉めまくっているところへ
尹嵩兄さまが私兵を引き連れて現れるクライマックス
それがあのシーンだったーーー

嫡長主のテーマを背負ってお出ましになられた尹嵩兄さま
最高に悪役していて興奮する!
まるでヤクザの組長(以前マフィアの若頭をしていた)
貫禄と迫力と気魄がすごい
この緊迫感と恐怖心を出せるのも
やはり張暁晨だけだ

居直ったこの物言いも最高だ
確かにその通り

"嫡長主さまのものじゃないもん!"
何だと?

貴様があれこれ言う筋合いはない
あいつが自分から私の妻になりたいと
最初から小賢しく芝居を打って自ら来たのだ

貴様らが好き勝手やってる様を見て急に考えが変わり
今になって"思ってたのと違った"などとふざけたことを言って
生きてんのが嫌になって勝手に死のうとしただけだ
本当に腹が立つし迷惑極まる
死にたいんだから死なせてやれ
私はもう知らん!
私を巻き込むな!!

何と庶子の側室の分際で

貴様だ
全て貴様のせいで今日の滅茶苦茶になった全てはーーー!!
今度こそ殺しにかかる兄さま!

"尹崢!!
ここの叫びが最高!!

みんな尹崢を見て目がハートになってるだろう目玉のシーン

視聴者らが待ちに待った瞬間
主人公の最高の見せ場であり
主人公を最高にカッコよく見せる生贄
それが悪役の役目であり
こうして足蹴にされ侮辱され全てを奪われて惨めな姿を晒す
それも悪役の務めであり宿命
主人公の引き立て役だ
もちろん暁晨は演じたくてやっており
最高に興奮しベストを尽くした誇りに胸を張り
出来に満足している
ただファンである私たちはーーー

歯軋りするほど憎らしい弟
父親の名を出し威すしかできない自分
しかも最も父親の名を恐れているのも自分
無能にして無力な嫡長主ーーー
同じくらい悲しい気持ちでとっちめられる歓声と
ざまを見ろの声に心を痛めるしかない私たち
まつりの晩は終わった
最高の名場面として
嫡長主が吹っ飛ぶシーンは何度も取り上げられ
そこに張暁晨ではなく白敬亭の名が躍る
いつものことだ
慣れることができないいつものーーー

Part 5につづく







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