張暁晨の抽斗〜スーパーマーケット俳優の所以
何もなくてヒマすぎた中国の張暁晨ファンが、彼の全出演作の何割が悪役で、何割が死んだか調べた、というトピックが本国のファンダムスペースで上がったが
今日の私もヒマすぎて
今回の企画を思いついた。
張暁晨はスターでも有名でもないいち俳優だが
大変に紆余曲折し今の地点に来た経緯がある。
そんな紆余曲折をしたのにまだこの地点にいるわけだが
まるで人生ゲームのような面白さに満ちた17年(正確には19年)の芸能生活で積み上げた"もの"を、辿ってみたい。
1.モデル
彼は大学在学中にスカウトされモデルをしていた。
身長は182㎝、独特のマスクはどこへ行っても持て囃された。
2.プレイボーイ
オーディション番組で全国8位入賞を果たした直後にスカウトされ映画でプレイボーイを演じた
3.アイドル歌手
上海の最大手事務所から歌手としてデビュー。約4年間、様々な番組に出演した。歌手だけでなく、バラエティ番組のパネラーなども務めた。
4.新郎A
映画で主人公の友人Aを演じた
5.亡命ロシア貴族
演劇作品『赤と黒』。クロワズノワ伯爵役。初めて本格的な演技のレッスンを経験した
6.青春真っ只中の青年
舞台2作目にして主役。
7.ソムリエ
フランスに行くことを夢見る内気なソムリエ
8.テニス部部員
『テニスの王子様』チームの司令塔、観月はじめ役
9.カリスマ歌手
ミュージカル。恋に翻弄される売れっ子歌手。
10.側室腹の皇子
初めての時代劇。
11.礫を投げるのが特意な武将
『水滸伝』梁山泊第16位、張清
12.地下組織の諜報員
国民党軍のスパイ
13.隣国の王子〜可愛こちゃんVer.
めちゃ可愛い審知王子
14.オクテな小児科医
手を握られただけでカチンコチンになってしまう初心な医者
15.ガールハントをしまくるチャラ男
2作連続メガネ男子、しかし中身は真逆。
16.萌え系呆皇帝
コメディ時代劇。歴史に(悪い意味で)名を残す明の皇帝
17.激しすぎる漢のオニ将軍
死ぬ間際まで激しかった
18.環境保護に目覚める青年
のちのち海の環境保護を呼びかけるアンバサダーに
19.純愛に生きる清廉な書生
中国版ロミオとジュリエット、古典の傑作"西廂記"
20.萌呆系漢方医学生
21.第5皇子、永琪
22.スパルタカス
23.ドラキュラ
以上三役は同じ作品でのおふざけコスプレ劇より。しかしながらスパルタカスとドラキュラを演じた俳優は暁晨だけだろう…
24.異国の猛将軍
異国隣国シリーズの開祖
25.青春ロッカー
大学のけいおんサークルのヴォーカル
26.血の色みどりなスナイパー
ありきたりな拷問など通用しない
27.異国の諜報員
異国シリーズ第二弾。諜報、策謀、何でもやってのけるスーパーマン
28.変幻自在の魔道士
あるときはじじいにあるときは公子に
29.旧家の御曹司
名門ながらウラの世界に生きる
30.冷血日本鬼子
血も涙も持ち合わせていない日本軍将校
31.海軍情報部の花
祖国を暗号解読で守った影の英雄
32.烈しい将軍その二
武則天の甥
33.自閉症の青年
34.三国志の英雄
馬超
35.皇宮に潜むサイコ太監
失敗に次ぐ失敗の嵐な復讐譚。皇帝はなかなか死なせてもらえない
36.陰陽師
皇宮に起こる怪奇現象を解決するために招ばれた
37.世界征服を企む狐狸妖怪な皇太子
あるときはお忍び皇太子、またあるときは皇太子、はたまたあるときは狐狸妖怪
38.世界の半分の富を所有する大商人
しかし一番欲しいもの(パパの愛)は持たせてもらえない
39.マフィアの若頭
恋に不器用な優しい若頭
40.マザコンの病んでる精神科医
復讐のために人生を棒に振る
41.ピアニスト
"一応"世界をまたにかけ活躍している
42.国民党軍パイロット
純愛に生きるエリート将校
43.隣国の王子〜ワイルドVer.
豪放磊落王子
44.伝説の剣客
過去の素性を隠して生きる
45.敵(詳細不明)
46.過去を隠した闇の大富豪
昔の恋を"狩りに"舞い戻った
46.天上界不倶戴天の魔尊
めし食ったか?
47.印刷工
"農民"を"人民"にーーー歴史的な瞬間の活字を組んだ
48.クズ認定の元親友
"やられたよ、完璧に"ーーー
49.クズ認定されるであろう隣国の宰相
一年以内に隣国を滅ぼす気まんまん
50.伝説でもない剣客
役名、役柄ともに不明
51.失意の映画監督
運命を変えるヒロインは、果たして?
52.萌系剣客道士
ここにきてこの雰囲気が出せるとは…
53.中国人民解放軍特殊部隊隊長
クズな親友も永遠の親友も両方できる
54.失意の中年男←失意シリーズ
マイナス34度下のオトナの恋
55.カルト宗教のリーダー
お米を五斗用意して入信するべし
56.魑魅魍魎とたたかう男
57.嫁をにんげんだと思っていないDVモラハラ夫
暴力暴言監禁差別毒茶の完全フルコース
58.天上界の天君
天君といえば"金色"!このキラキラした地位にいるということは…⁉︎
59.西暦2066年の天王星にいる科学者
28億㎞の遠距離恋愛。
天王星にいた恋人の消息(暁晨のこと)が途絶えたーーー
60.慈しみ育ててくれた最愛の叔父
61.ヒロインを助ける?金持ち公子(詳細未定)
またもや紫色
62.江湖の大侠その一(詳細未定)
63.血の色みどり国民党軍人
64.悪徳王爺 可愛く清廉な素振りに騙されなきよう
65.江湖の大俠その二(詳細未定)
66.江湖の大俠その三(詳細未定)
67.静かで優しいお兄様(あくまでも前評判)
68.皇帝(14年ぶり。果たして暗愚や否や?)
69.セレブな独身男
ーーーお疲れ様でございました
いかがでしょう
全69角色、全く被らない素晴らしさ!
ざっと挙げるだけでも
ソムリエ、貴族、スパイ、スナイパー、皇帝、皇子、宰相、神仙、医者、学生、ピアニスト、設計士、宇宙飛行士、銀職人、軍人、道士、宦官、将軍…、と、さまざまな職種を演じたことがわかる
暁晨のファンダムでは、"百変張暁晨"というタグがあるほど。
更にこの中で"悪役"にあたるキャラクターを数えてみれば、16人に上る
その16人はもれなく殺されており、後になるほど多い傾向に。
とにかく"死了、死了"…
悪役だから仕方ないとはいえソーゼツに死んでばかりいる印象。
殺されかたも射殺、刺殺、撲殺、爆殺とこれでもかと派手。
いつもその身に刃を受ける瞬間に声が漏れ、悲しみに襲われる。やった、と快哉を叫ぶことなどない。それは彼が、キャラクターを徹底的に練り上げ、的確な解釈に基づき繊細に非常な説得力で演じているから
それこそが、俳優張暁晨を観る醍醐味だ
中国ドラマでは真っ赤な血糊を吐くことが定番。そのバリエーションに富んだ演技にも感心しきり。
非常に集中して撮影に臨むため、あまりに報われない役ばかり連続した2013年頃は大変消耗し、仕事を選ぶようになった彼。
悪役は人気とは無縁。人気という"もの"を追い求めることをやめたのもこのころだ
それでも悪役が多いのは、演じる面白さが大きいからだろう。
近年は"悪役専売特許"と思われているフシもある。
彼の中には19年間に積み上げた品が丁寧に梱包され抽斗にそれぞれ仕舞い込んであり、新たな作品の度に新たに作られる
役ごとに練りに練られた解釈で演じられるそれらは
とても同一人物だとは思えない見事さだ
しかし、たしかにどの役も張暁晨なのだった
また更に加わる役はいったいどんなものなのか
毎回わくわくする
確かにそれは
明らかに進化している
俳優張暁晨の底知れなさを
今回もーーー