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卿卿日常〜その哀哀日常のすべて Part 2

少主たちは、パパに認められて朝堂デビューすると、そのタイミングで独立しそれぞれの名前がつけられた屋敷を持つ。
二少主のお屋敷は"捷園"という
"捷"とは即ち"勝"
何ものをも打ち負かしてみせる、という尹嵩兄さまの気合いだ
因みに大少主は昭園、三少主宅は梅園、四少主宅は恒園、五少主宅は拙園、六少主宅は静園という。

尹嵩兄さまが欠かさない日課
それは書の練習だ
幼い頃書をパパに褒められてからというもの
"恒なる絶賛"を得られるよう怠ったことはない
この夜も並々ならぬ気合いで書いていた

今夜のお題は"川"

入魂の一筆
力が入りすぎて
根を詰めすぎ硬くなった手を郝葭が解す
"代わりに書いてみろ"
と言われ
郝葭も筆を取る

書くようすと書かれた字を見つめるその表情は自信なさげだ
その字体は異うが郝葭の書いた方を兄さまは採った
"リラックスして書けばよいのですよ"
同じことを繰り返し繰り返し
尹嵩兄さまは言わばそれくらいしか能がないのだ
同じものをより上手く表現するくらいしか

今までは弟たちが無能すぎて安泰だったが
六のせいで急に三と五がパパの信頼を上げてきた
元来人には得手不得手があり
己の活躍できる場所さえ見つければ存分にその能力を伸ばし活躍できる
尹岸兄さまと尹岐兄さまの活躍できる場を、尹崢が引き出してあげたからだ

大少主尹崐。優しい。この作品、尹嵩兄さまだけが拗らせてる。
三少主、尹岸兄さま。ママが金川の人で、商売に長けたおしゃれな風流人。自分が大好き
四少主、尹峻兄さま。尹嵩がいる時はピッタリくっついてる腰巾着だったが…⁉︎愛妻家😭💕
五少主、尹岐兄さま。優しくて素朴で、そんな兄さまを尹崢は買っている。
七少主、尹谷。物静かで優しい。
九少主、尹崡。兄さまたちによく懐き、明るい。
十少主、尹岳。尹嵩と同じく、川夫人の子。甘えん坊のぼんくら。
九、十、十一(尹崽)少主

危うし嫡長主

金川の金策のことに頭を悩ませているのですか?
郝葭はたんに夫の憂いを除きたくてそう言ったのだったが

それは差し出た物言いだったようだ
女は内内のことに専念していればよい
小賢しく夫の仕事のことにまで口出しなどしてはならない
女に頭も心も要らないのだ
女は元気な子を産み
子どもの世話をし
いつでも嫋やかで美しく目を楽しませていればよいのだ

尹嵩は正室芳如が嫌いだった
彼女は黛川から嫁いで来たが勝気で社交が好きだった
尹嵩兄さまの好みは淑やかで静かでしゃしゃり出たりしない女だった

しかし芳如は少しでも愛されようと
徐々に自分を変えていった
家から出なくなり
口も出さなくなり
尹嵩が好むような
"でしゃばらない"女になろうと
彼女は尹嵩兄さまを愛していたからだ

賢い郝葭は即座に従順な態度を示した
それでよい
それでよいーーー

機嫌が良くなった尹嵩兄さま
手を差し出す
暁晨の大きな手ーーー

ぐいと引っ張り膝の上に
ああなんて素敵なの!
うっとりしたでしょ?

今までの暁晨と違うのは
抱いてから腰だの太腿だのを撫でさするこの態度
オトナなムード
暁晨が常から持っている色気の大放出だ

兄さまは自信満々に語り出す
策ならもう考えてある
芳如の実家は黛川の半分の炭鉱を持っている
これをカタに金川に持ちかけるのだ
金川だって自国に資源はない
新川を頼らねば立ち行かないということを理解させ
金を石炭で補うのだ

どうだ
"でも夫人に何も図らずに勝手にそんな商談を進めてよいので?"

夫人は私のもの
夫人の実家の持ち物も私のものってことだ

さすがですわ
きっとお父上も貴方の考えを絶賛されることでしょうよーーー
おべっかを言った郝葭を愛おしげに愛でる
しかしーーー

尹嵩兄さまが"自分の持ち物"とした黛川の炭鉱は
兄さまのものではなくやはり黛川のもの
川(国)と川の問題をそこまで身勝手に扱えない
新川と金川の問題に黛川を巻き込みたくないと
パパはバッサリ却下

黛川の炭鉱と引き換えに金川を威すーーー
そんな汚い手を九川の主たる新川が使えるか、とまで言われ

尚も言い募る兄さまに
"夜通し悩んで頭を使ってその下策しか思いつかんとは
その使えない頭もさぞ疲れたろう
ゆっくり休め
みなももう一度帰ってもっとマシな策を考えて来い"

とーーー

ざわつく諸侯

自分の天下だった朝堂で
初めて案が却下されたーーー

尹嵩兄さまのショックの大きさをよく理解している尹峻兄さまが
呆然自失の尹嵩兄さまに声をかける

弟たちの前でかいた恥
最後のパパの厳しい目と
かけられた惨めなことばーーー

暴虐のはじまり

最悪の夕餉に最悪に遅れてきた郝葭
"お前に食わせるめしはない"

朝堂で盛大に恥をかいたぞ
お前の言ったこととは反対に
お前の言葉はうそだった
どうしてくれるーーー

知らんがな、私は少主の考えを賞賛しただけで…
芳如の前で余計なことを暴露した郝葭に尹嵩兄さまがブチギレ!
投げた箸は皿を欠いた
あまりのキレように震え上がる郝葭
え?
私?
暁晨ファンは慣れっこです
いつものイベントみたいなものでしてーーー

《相愛穿梭千年II》片思いの女の子に飲んでもらえなかった茶
《皇帝の恋》初対面の挨拶にと差し出された饅頭
大好きな兄さまのために集めた木の実
大好きな兄さまのために作ったおふくろの味のお菓子
《海上牧雲記》傷心を癒そうと差し出されたりんごのコンポート

などなど
張暁晨はいつもガラス製の心に疵を抱えたキャラクターばかりを演じる
彼らは心のこもった贈り物や他人の愛情を素直に受けられないのだ
それだけ疵は深刻で酷いのだった
しかし今までは器物破損だけで済んでいたのだがーーー

お前たちは私が出て行けと言えば路頭に迷うしかない
私に従え
私を崇め私を慕え
外に目を向けてはならぬ
心の中は私だけにしておくのだ

"そうは言っても先程の話は聞き捨てなりません
私を通さずに実家の財産をご勝手になさろうと?"
喧しい
忌々しくも
この話は立ち消えになったのだ
蒸し返すな

父上は倹約せよと仰せだ
郝葭は今夜はメシ抜きだ
誰のおかげで富貴な暮らしができるのか
私の有り難みを知るがいい
最低のやりくちだ
尹嵩兄さまはいちいちせこいの
ちっさいの
発想が。

何と尹崢は尹岸兄さまと一緒に
貴族たちから借金を取り立てまくり
その金を頭金にして
金川への借金を分割払いにする提案を成功させて帰ってきた。
新川からは盗賊をせん滅させる軍隊をレンタル
ついでに金川の評判の才媛公主まで嫁に貰って帰ってきたのだ
パパはホクホクである

暁晨を表からも裏からも鑑賞しまくる

何と
パパはもう六少主の画期的な意見を内緒で書斎で聞くのは我慢できなくなり
一足飛びに参内ーーー独立を許してしまった

弟が褒められて、心底嬉しそうな尹岸兄さまと尹岐兄さま

遠慮して辞退するどころかお礼を言った尹崢に目を剥く尹嵩兄さま

料簡が狭い兄さまは余計な意見を

その分助けてやるように、と当然のパパの返事
助けるどころか助けてもらいたくなるほどの冴えぶりなのだ、尹崢はーーーだって主役だもん

これから本格的に尹崢との腕較べが始まるーーー
大体想像つくのが悲しいけど。

六少主初参内の日。

主人公の尹崢。演じるは白敬亭

笏を水平に持って行う礼
やっぱり背中のラインが美しい

最初笏を上下逆に持っているのかと思った
細い方が上なの
この作品は架空の世界、架空の時代だがモデルは唐代
尹嵩兄さまは朝議のときは簡易的な冠を嵌め官帽を被っている

さあいざ始まってみると
尹嵩兄さまと尹峻兄さまがこれでもかと尹崢が発言するのを妨害
途方に暮れる尹崢を尹岸兄さまが嗜める

朝堂で好きにさせてなるものかーーー
だからね
やることがせこいの

分かったかな
態度を弁えてさえいれば
兄が何でも教えよう
ばかねえ
爪を出さないつもりならここまででも出さないでしょうに
爪どころか牙を剥いて襲いかかっているというのにーーー

"三弟、待った"
そそくさと帰ろうとした尹岸兄さまを呼び止める

細かいんだけど堪能したい
笏を尹峻兄さまに預けて
袖口を整え
たっぷり勿体をつけてからの
がっしりとホールドして忠告
"六弟と仲良くなったわけではあるまい?
裏切ったらどうなるか
覚えておけ"ーーー

張暁晨に見つめられて逆らうなんて
むり
大丈夫?
大丈夫大丈夫、裏切ったりしません!

けれども人とは
辛いもの
嫌なものより
楽しいもの
すてきなものの方へ行きたいもの
こんなやり方じゃいくら尹嵩兄さまが素敵でも
みんな離れてゆく
尹崢と一緒にいれば
やり甲斐があるだけでなく
楽しいしパパに褒めて貰えるものーーー

何度言えば分かるんだ

尹嵩兄さまを怒らせてしまい
寵愛だけが頼みで縁(よすが)な生活を送る郝葭は必死
一計を案じる

通りがかったところを狙って
"尹嵩兄さまが知らない"臙川の風習だと言って
花神に祈っていたということにして

それがこのスチルの場面だったのだ
この袍は官服
後で呼ばれた"紫芋"'焼き茄子"の元になった
私は心底落胆した
予告でコミカルですてきなシーンだと思ったこの場面は
尹嵩兄さまに恋する乙女たちが気を引くために行った可愛い行動ではなく
己の暮らしにのみしがみつくホラ吹き女の苦肉の策だったのだ

"嫡長主が朝堂で活躍できますように
出世しますように
パパに褒められますように"
などと心にも思っていないくせに
これで尹嵩兄さまの機嫌が直ったら
"ふふん私はやはりやり手だわ"
と夫の間抜けな単純さを鼻で嗤うのだ


尹嵩兄さまはあざといと思いながらも
自分のことを祈ってくれたことにはちょっと感激していて
チョロいっちゃあチョロいけど

勿論そなたを愛でてやってもいい
ただし
あの6弟の側室とは縁を切れ
話はそれからだーーー
そうよね、条件はつけなきゃ
私のために働くならよし
けれどウラで不満をぶち撒け私を侮り奴らと馴れ合うなら
そんな者を養う義理はない

本当に愛していたならこんな顔はしない

それでもまだ郝葭は懲りない

尹嵩兄さまはふいに郝葭の腰を抱く

尹嵩兄さまが郝葭を尹岐兄さまから奪ってまで自分のものにしたわけは
顔と容姿が優れていたからだ
この作品はあらゆる点から男を論う
"中身を評価せず見た目や顔、スタイルだけで女を値踏みし愉しみ
性のおもちゃとしてしか女を見ない"
という批判を暗に尹嵩兄さまに浴びせているのだ
女だって醜男には見向きもしないくせに

"貴方はどうなの。自分を管理できてる?"
と郝葭は毒づいたが
もちろん相手に強要するからには尹嵩兄さまは管理している

ぴちぴちのアイドルだった22歳のとき
上に同じ。『加油!好男儿』の宣伝照。


デビューから16年
暁晨はずっと変わらぬ体重を維持している
どころか
彼は意識して食べまくっていないと
たちまち目方がずんずん減ってゆき
貧相になるうえ、演じる体力にも関わってくるため
"必死で減らないよう"
維持しているという超羨ましい体質なのだ

最新照❤️
このワイルドみがたまらない魅力

金川に尹崢が赴き分割払制にしてもらったものの
金の調達方法が未だ見つかっていない新川
尹嵩兄さまはあくまでも丹川への支援のため金はない、という逃げ道を金川に主張するしかないという考えーーーというか

"まだどうしたらいいかわからなくって困っています"
という状態
パパは呆れて
こんなに人材がいても何もならんわ、とお怒り

3歳の子ども以下、と言われ傷つく兄さま
パパはあからさまに尹崢に発言させる

尹崢の提案は
"商業を盛んにして利益を上げる"
ことだったが
その場は騒然となる

何でも新川は農業と学問を尊び商工業を軽視してきたとか
金川みたいに儲けを求めて暮らすのはあさましい

晴耕雨読こそ高尚だとするお国柄らしい
"言語道断"
と吐き捨てんばかりの尹嵩兄さま
ところがーーー

やってみたかったらやってみろーーー
実はパパは以前から商業についても改革したいと考えていたというのだ
自分がやると大事になるため息子を口火にする魂胆
こういうの、以前から他の作品でも思ってたけど
ずるい。

ただ首を傾げるだけでなく
訝るだけでもなく
哀しみさえ漂うこの表情演技。絶品

明らかに前代未聞で言語道断なのに
叱責するどころか嬉々としてゴーサインを出したパパ
期待をかけられる弟
戸惑う尹嵩兄さまーーー

手始めに商店街の営業を深夜まで延ばすという緩和政策を出し
その調査をしている弟の所に釘を刺しにきた尹嵩兄さま

馬車を乗り付けたときのこの憎たらしい表情

公式スチルのこの眼光の鋭さ

尹嵩兄さまが登場するたび
主人公CPのほんわかのほほんとした空気が凍りつき
ギャッとヒメイを上げたくなる嫌悪感に襲われるのは偏に張暁晨だからに外ならない

先祖からのしきたりの中でしかものを考えられない兄さまをせせら嗤うべきなのだろうか
変えていいよ、というならば
もっと早くに尹嵩兄さまたちにも言ってくれればよかったのにーーー

兄さまは分かっている
今回も前回も前々回も尹崢1人の独断ではなくパパの全面サポートがついていることを
その一言に狂いそうなほどの焦りと嫉みを隠してーーー

きつねじゃないもん!
とか何とか
小煩い小娘
尹嵩兄さまにとって李薇など蔑む女という生き物以前のものだ
耳を貸す価値すらないその言動を
絶妙の無関心さと嫌悪感でやり過ごす

そう簡単じゃない
調子に乗っているとーーー
でも
パパからの叱責を本当に恐れているのは実は兄さま
だからいまいち大胆な提案などしないしできない
弟が羨ましい
嫡長主でない弟がーーー

どんな時代劇でもそうだが
皇子たちはみなそれぞれが掌握する部署を持っており人脈、土地、官吏なども何かと取り合う
尹嵩兄さまも例に漏れず自分の管轄する部署は自分のもの、という意識を持っている
そういうものであり
歴代の少主たちもそうで
何よりパパが暗に許しているからだ

開府パーティーの招待状を眺める尹嵩兄さま

なぜ庶子の開府を祝う宴に私が行かねばならぬ
私は嫡長主なのに?
尹嵩兄さま
尹峻兄さまだって庶子なのよーーー

徳のときと変わらぬ持ち方
懐かしい
徳は暁晨だったんだわ
そしてこの尹嵩も
変わらず暁晨は演じ続けてきた
数多の悪人を
変わらぬ情熱と努力と探究心で
あれから6年
遥かに進化し
遥かに進歩した表現力で


珠玉の悪人たち

牧雲徳、姜世凱、陸文隽、宸風、玄一、唐明遠、黄預、そして尹嵩ーーー
今や悪役専売俳優とまで銘打たれる張暁晨の
最高の"ワルい"演技を
その卓越した存在感と美しい佇まい
優雅な立ち居振る舞いと
視線を釘付けにしてしまう眼光
そして漂う悲哀
それらが綯交ぜになって起こった
悲しい騒動
それは畢竟尹嵩の運命だった
その運命に演じる張暁晨もろとも巻き込まれ
そしてーーー

Part3へつづく











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