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張暁晨の軌跡〜出演作全記録Part5(2016)

2016(33歳)
事務所を変え、新たなステージに上がり、演技というものを探究する旅を続けることにした暁晨。
自分はどんな俳優になれるのか。
あの日初舞台の上で夢見た"魂を乗せて何でも演じられる自分"になるために、更に歩み続ける。

年が明け、《大仙衙門》がクランク・アップしてすぐ、昨年夏に撮影した《皇帝の恋》の播出が早くも決まり、広報活動が始まった。

1月20日
1月22日。どちらも当時の陳坤の事務所にて。

1月20日浙江衛視発布会

深圳衛視発布会
浙江衛視と同日。暁晨は衣装を変え、出演した。

なぜか現場で請われて『好男儿』時代の持ち歌"你的眼神"を歌わされた

2月19日
『騰訊娯楽』(テンセント)取材
この頃には従来の地方TV局以外に、配信プラットフォームでのウェブ上視聴も一般的になりつつあった。

22日『中国訪談』取材。《絶命卦師》の播出も決まる。両作の取材を受ける。

春節。束の間、ご両親と食卓を囲む。抱いているのはミニチュア・シュナイザーの宝貝。

暁晨からの春節を寿ぐ動画。宝貝がとても懐いている。このほかに、暁晨はもう一匹シベリアン・ハスキーの鳴人を当時飼っていた。

この鳴人は、2011年から宝貝と共に飼われていた。
非常に愛され、張家を訪問した暁晨の友人たちは、みな彼との写真を撮っている(2021年夏、お星様に)。

お父様と
お母様と
鍾凱と。鍾凱は無類の犬好き
王伝君と。彼は当時、非常に悩ましい日々を送っており、よく暁晨の家に入り浸っていた
《隋唐》時代に非常にお世話になった李永林と

実家には犬5匹、猫3匹がおり、幼い頃から、暁晨は欠かせない家族という意識があった。始終家を空け、一人暮らしにも関わらず、暁晨は犬2匹と猫1匹を飼っていた。

エキゾチック・ショートの果果

鳴人はモデル時代からの暁晨の親友であり、この頃にはBAZAARなどの一流ファッション雑誌のみならず、中国を代表するカメラマンとなった尹超(Part1参照)の目に留まり、雑誌モデルまで務めた(主人である暁晨は未だBAZAARで1人のみではグラビアを飾ってはいない)。

尹超。名だたるスターのグラビア、各種映画祭時の撮影などを手掛ける一流カメラマン

2月になり、暁晨は再び犬たちを友人に預け、浙江の横店撮影所に向かう。
"想定外""予定外"の仕事が舞い込んだためだ。
それは、2014年から進んでいた一大プロジェクトだった。

《海上牧雲記》
撮影期間 2015年8月30日〜2016年5月27日
2017年11月21日播出
牧雲徳役

牧雲徳。
これは暁晨史上最も複雑で難解な役だった。
そして、今尚"最も好きな役"と暁晨が言う役でもある。

徳はある朝廷の皇帝の甥。しかし皇族というだけでなく、親王である父親の意向で商いを学ばされ、この世界を牛耳る一大コンツェルンのボスでもある。
この世界を支配する二つの氏族の血を引き、高貴で富貴で絶頂聡明とされる役だ。
しかし、当初はこの役は暁晨のものではなかった。

前年秋に発表されていたティーザー配役予告では、徳役は魏大勳とされていた。
しかし魏大勳はこの頃、バラエティやドラマに引っ張りだこになっており、長期にわたるこの作品への参加は難しいとされたのだろう、幾ら調べ尽くしてもこの辺の理由が突き止められぬままだが、なぜかその後、この二月には暁晨が演じることになっていたのだ。

数多の陰謀を父のために、果は自身のために張り巡らし、多くの者の運命を操る、影の総元締めのような役だった。
降って湧いた役だったが、暁晨は、"未知なる"舞台で惜しみなく、それまで培ってきた技術と独自の表現力を発揮した。
私が《神医安道全》などで感じていた、この場は暁晨にそぐわないのでは、という感覚は間違いではなかった。
夢のようなキャスト、スターに混じり演技しても、全く遜色ない姿ーーー

黄軒と
万茜と

以前いた世界では考えられなかった、洗練されたセットと一流監督による演出、金に糸目をつけず製作された衣装に袖を通し、思う存分、各賞に輝く演技派を相手に演技合戦できる幸せに、暁晨は"夢のようだ""どんなに撮影が長引こうとも、そこに居られるだけで幸せだった"と夢見心地で語った。

暁晨だけにしかできぬ繊細な芝居、美しい所作による立ち居振る舞い。善人にも悪人にも、セリフなしで醸す雰囲気から変えることができる自在さ。
この役は魏大勳でなく、張暁晨だからこそ説得力を持たせることができた。

次のシーンは、暁晨自身が人生で最も集中でき、信じられないほど五感が研ぎ澄まされ、演じながら感動した、最も牧雲徳にとって重要なシーンだ。
以来暁晨の《海上牧雲記》と言えば、このシーンが紹介される。

長台詞も牧雲記での張暁晨の見どころだ。

これだけのせりふを、全て体に叩き込んで臨む。
それを聞いているのが黄軒だ。
それが、どんなに素晴らしいことか。
ずっと暁晨を追ってみると、この作品から全てが変わったと言えるだろう。

また、曹盾監督との出会いは、暁晨の演技にも非常に影響を与えた。この現場で監督から教わったことを、暁晨は忘れることなく、今も心がけている。
監督も、視聴者も、今まで全く知らなかった張暁晨という俳優を見知った、初めての機会だった。
それほど、暁晨の活躍していた世界というのは、限定的だったのである。

全シーンレビュー、全21回。ぜひご覧下さい。渾身の愛を込めました。

4月6日
楽視視類"雑誌写真

宣伝照撮影

これらの写真は、今現在でもよく使われている。

5月

暁晨の傍らに、初めて詩婭さん(奥様)が登場

5月20日"楽視STAR"

楽視視類は《絶命卦師》《皇帝の恋》の配信プラットフォーム。

6月15日
広報用写真撮影

6月28日
"新潮NEWTIDE"七月号

7月
"CéCi姐妹"8月号

この雑誌はウェブ上に画像がない。この画像は、私の手持ちの雑誌そのものを、撮影したもの。

実際の記事を訳したもの。

30日
《月光のイタズラ》
撮影期間:2016年7月30日〜9月30日
2016年11月9日播出
姜世凱役

主人公が2016年と1936年の中華民国を行き来する、タイムスリップもの。
しばらく前まではAmazonプライムで見ることができたが、ソフト化はされていない。
韓国の《イニョン王妃の男》の中国版《皇后的男人》(原題《相愛穿梭千年》)の続編だが、両作品に共通するのはタイムスリップの仕組みのみ。三作とも、韓国で《イニョン王妃》を撮ったキム・ビョンス。脚本も同じくパク・ヨンソクによる。
全編、韓国ドラマそのものだ。つまり、韓国へゆく暁晨を見られずとも、韓国ドラマにもし張暁晨が出演したら?を体験できてしまうおいしい作品だ。

主演は魏大勳。そう、この直前に撮り終えたばかりの『海上牧雲記』で、暁晨が演じた牧雲徳を演じるはずだった魏大勳だ。彼はこのとき、珍しく韓国の芸能事務所に所属していた。

このあたり、魏大勳と暁晨の繋がりがいまいち分からない。単なる偶然だとは思えないのだが。
ヒロインは同じく『海上牧雲記』で牧雲徳をこっぴどくフッた盼兮役文咏珊だ。

暁晨は1936年に生きる、上海マフィアの若頭。
会長である黄に心酔し、組のためにクールに働く。
ボスの側にピッタリくっつく"ヒョン"は韓国ドラマの定番だ。

姜世凱は会長にぴったりとついて離れぬ腹心の部下だが、この作品ではその会長も2016年のヒロインの祖父と入れ替わる。
世凱は違和感に気づき、裏切られたと感じる。

切なげな表情は絶品
歴代組長の肖像写真。2016年、黄組の最後の組長は姜世凱だったことがわかる

姜世凱は密かに恋心も育む。かげからヒロインを守ろうとする。こういった側面も、張暁晨が演じるに相応しいと思う。
インタビューで暁晨は、ヒロインは彼の冷たいものばかりに囲まれた心に輝く光だ、と答えていた。

会長役の王徳順とクランク・アップ時に。

撮影中、腹心の友、王伝君が上海の撮影場所まで遊びに来たことがあった。
王伝君は上海出身だ。そして、この頃は暁晨よりはるかに有名な実力派俳優だった。暁晨とは、『好男儿』をきっかけに、一時期同じ上海の事務所に所属し、多数の作品で共演したりなど、家族の、お互いの恋人よりも濃い日々を、この頃過ごしていた。
もちろん現場でも顔パスだ。

脚本の読み合わせ時のショット

放映時、何と言っても多くの記事で見受けられたのは、捕まえた主人公の店で働く従業員(彼はやがて世凱の子分となる)を脅すシーンだ。残忍で冷酷なさまが、真に迫っており非常に怖かった、というもので、今までの張暁晨を知っていれば定番中の定番な芝居だが、それが話題になるというのは、いかに今まで知られていなかったかの証左だ。

8月5日
事務所でサインを準備

9月8日

6月の"CéCi"の時のオフショット写真を事務所が公開。

30日

33歳の誕生日。
暁晨は北京の空港へ戻ったところを、空港にいる芸能人を待ち構えていたカメラに捕まった。
この日は当初から、同時配信を企画していたファンダムのメンバーが空港外で出待ちしていた。
暁晨が外に姿を現すや、"結婚してー!"などと黄色い声が上がった、と記事になったのは、このメディアがいたからだ。
暁晨はまず事務所に赴き動画を撮ったのち、北京のくしかつ屋でファンダムの代表らと会食しながら、初めての同時配信をした。

直播での表情集

10月
再びシャングリラへ
事務所のカメラマンも同行。

ボスである陳坤の著書のタイトル『突然チベットへゆく』のパロディ。
このころから、普段着に甚平が登場する

普段のすがた、王伝君ほか親しい友人たちと過ごすことも多い

11月6日
"行走力量"イベント
毎年夏に行われるチャリティーイベントの総決算。
陳坤の主宰なため、事務所挙げて参加。

7日
"盛装舞歩(Dressage)"
馬への愛情を語る

https://twitter.com/hanoroses/status/1884978217846821163?s=46&t=-rkO03TNthJ2hFjQrx9NTQ

13日"明星在哪儿"
インタビューの内容は下のブログから。

11月16日
発布会
11月9日に早くも定档となり、発布会に出席した。

27日
"時尚先生Esqire"創刊20周年セレモニー

モデルとしてデビューした20歳のとき、"Esqire"の企画で南アフリカまでまでゆきロケをした。
あれから13年だ。
当時のスタッフに挨拶などしたろうか。

《凉生、你可不可以不憂傷》
撮影期間:2016年9月4日〜2017年1月7日
2018年9月17日播出
陸文隽役

暁晨が演じるのは、主人公凉生の異母兄だ。
文隽の母が死んだのち、凉生の母が後妻となった。文隽は、母の死はそのせいだ、と恨みを募らせ、凉生がのちにある財閥の養子になったのち、破滅させようと、ヒロインを陥れ、復讐しようと姑息な手段を使う。

まさに張暁晨のためにあるような役だ。
キャスティングが発表されたとき、何と主人公を演じるのが馬天宇とわかる。
偶然の奇跡だった。

馬天宇と暁晨は、デビューのきっかけとなった《加油!好男儿》という素人オーディション番組で、同じ武漢地区から決勝大会までを過ごす半年のあいだ、宿舎で同室だった仲だ。

番組中、天宇は暁晨に非常に懐き、何でも頼ったものだった。
言うなれば、格好悪いことなども全部晒すことができる数少ない親友であり、装う必要のない、ありのままの自分を見せることができる、暁晨はそんな存在だった。

馬天宇は大変喜んだ。
同じ世界で俳優をやっていたが、未だ共演したことはなかった。
10年目にして叶ったことだった。

参加が公表された記事に、天宇は
"10年前きみはぼくの兄貴で、10年後またもやぼくの兄貴だなんて!ずるいや!"
とコメントした。
それに対して暁晨は
"そりゃ悪かったな。5、60年後にはおまえが兄貴になれるだろうさ"
と返した。二人の関係の遠慮のなさが、表れている。

"10年経とうと、変わらない。きっとこの先もずっと"ーーー

嬉しそうにはしゃぐ天宇が印象的な、メイキング。

私が大好きな于朦朧とのシーンも。

長髪に髭、細身の体をスーツで固め、一見紳士だが非常に胡散臭く、悪辣だがどこか哀しいーーー
そんなキャラクターがぴったりな暁晨と、
どこまでも清廉で正義感が強く、透明感のある儚気な主人公にぴったりな天宇。

二人が歩んできた俳優の道。
10年の月日。
インタビューでは必ずといって良いほど比べられ、一度もブレイクしたことがないせいで、輝くスターとなっている同窓生たちが気にならないか、焦りはないかと聞かれる暁晨。
他人にとっては、"そんな10年"
けれども、暁晨にとっては、前を向き、迷っては道を吟味し直感を頼りに、前進し続けた10年。
遠回りをしたがやっと、同じ場所で天宇と再会できた、そんな作品で、10年目は締め括られた。

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