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張暁晨の軌跡〜出演作全記録Part2(2012〜2013)

いざ、本格的に俳優へ〜だがしかし。

俳優張暁晨の全軌跡を時系列で記録する、Part2。
モデルからオーディション番組を経て素人アイドル歌手としてデビュー、後ろ盾は上海の芸能界を牛耳っていると言っても過言ではないSMG、その庇護で様々なイベント、ドラマ、バラエティ番組、コンサートなどに出演し、憧れた芸能界でのめくるめく日々を過ごし、

自分でも"恵まれすぎている"と感じていた暁晨。
舞台に出るようになってから演技に対する興味がわき、俳優として身を立てたい、と願うようになり、上海での二年にピリオドを打ち、北京の事務所に移籍した。

2009年3月4日
暁晨は北京の『風尚志』というファッション雑誌のイベントに、遅帥、余少群、BOBO組合(井柏然、付辛博のアイドルユニット。二人は2007年度『好男儿』の主力選手たちで、暁晨の後輩にあたるが、その後爆発的な人気を得、このころ最も売れていた)らと参加した。
ちょうど初主演した舞台《奮闘》の全国ツアーを終えたばかり、自信が漲っていたという。
皆がフォーマルな装いのなか、一人ラフな格好を選び、暁晨の内面的な素朴さと、人と同じには生きない、という挑戦的な野心を示した。

この頃は上海から本格的に北京に活動場所を移し、この時のイベントでも、自分が最もファッショナブルな街と思う都市を選ぶさい、古巣である上海を選ぼうとしたが、先に余少群が選んでしまったため、仕方なく杭州を選んだ。

上海は"第二の故郷"ーーー
芸能人として、足を踏み入れた地、『初心を忘れない』というのが彼の座右の銘だ。
上海は、彼にとって大切な街。本編は、それを忘れることなく、前へと常に前進してゆく、張暁晨の第三ステージを追ってゆく。

2012(29歳)

隋唐英雄
撮影期間2011年10月28日〜2012年1月29日
2012年12月3日播出
宇文成都役

隋の熱血将軍。
隋唐英雄伝というと、同じ時期に制作された《隋唐演義》の方が有名で、宇文成都もそちらの陳昊の方が知られているが、張暁晨ファンにとって宇文成都は鉄板で、これを抜きにして張暁晨を語るべからず、という、10年以上を経ても最も人気を誇るキャラクターであり、今現在でも、宇文成都から彼のファンになったという者がほとんどだ。若い大学生でも、中国では旧作を積極的に見る。

以前はこういった低予算の時代劇は地方のTV局が制作し、地方で放映されるのみだったが、近年配信プラットフォームに組み込まれ、手軽に全国でも見ることができるようになり、昔の暁晨を見て、驚く若者も多くいる。

なぜ、これほど宇文成都のファンが多いかというと、非常にわかりやすい。
成都は悪役だ。主人公らに対する敵方にあたる。
また若く、公主とのロマンスもあり、鬼将軍としてアクションも満載、そして激烈な性格であり、皇帝に忠誠をつくし、壮絶な死を遂げる。

とてもドラマチックな役なのである。

先日、NHKの歴史番組で、何とたまたま、メジャーな《隋唐演義》ではなく、本作が再現ドラマパートで使用された。
まさに"予想外の事態"であった。

6月
我的山(短編映画)
環境保護のための啓蒙短編映画(10分)

映画のプロモーションのため、《アジア2時間消灯キャンペーン》にゲスト出演。
2008年の北京オリンピックを機に始まった環境保護活動。

27日
上海で旧友たち(司健は『好男儿』の時のスタイリスト、陳忞は上海のカメラマン)と撮影。
"文芸と噴青"というコンセプトらしいが、用途は不明。

司健

暁晨は上海にゆくと必ず司健に何点か撮影してもらっている。(以下の作品は、撮影時期不明)

史健の撮影する暁晨は美しく、艶かしい。

8月7日
"PRACEBIRD"品牌活動
《明星潮拍時刻》。
モデルの張亮とともに、このブランドから服とアクセサリーをセレクトし、スタイリングする企画。

張亮と並ぶと小さく感じるが、張亮は187㎝、暁晨は182㎝。向こうのモデルあるある。
俳優は180㎝以上、モデルはみな186〜193㎝くらい。

こういう仕事をさせると、さすが昔取った杵柄。

10月
《成人記》
撮影時期2012年10月
2012年11月30日播出
宋博役

このキスマークはぜんぶ監督(男)がつけた。
"人生で最もおぞましい時間だった(暁晨談)"
宋博はスティーブ・ジョブズに憧れていたが、ちょうどこの年に亡くなった😂

暁晨は恋愛エキスパートという役ではあるが、主人公たちと同じようにたじろぐ場面が多くあった。
ただし、暁晨本人は本当の恋愛エキスパートである。
なんせ彼女がいなかったのは、上海でアイドルをしていた二年間だけなのだ。

20日
発布会

インターネットがプラットフォームのドラマで、しかも1話が12分×10集という形態だった。
女性に興味を持ちはじめた19歳男子たちの性にまつわるあれこれを描く。
とにかくこの頃のネットドラマは一応当局のチェックは入るものの、ユルガバで、性的な題材を扱い、視聴者の話題をさらっていた。

Youtubeで見られるのはこの2本だけだ。

10月
江南四大才子
撮影期間2011年10月〜2012年12月6日
2014年3月6日播出
正徳帝役

劉愷威主演のコメディ時代劇。
明代に活躍した四人の芸術家たちを描く。
当時香港のスターであった劉愷威は楊冪と新婚ホヤホヤ。当作品に楊冪も出演するとあって、大注目されていた。
暁晨は暗愚で名を残す皇帝だが、この作品ではただのお茶目な可愛い皇帝。
読む本は逆さだし、書斎では居眠りばかり。
とても愛らしい萌皇帝❤️

ああ可愛い❤️

年の瀬、暁晨は台湾へ。
人気番組《康熙来了》の収録に参加。台湾でも《水滸伝》が放送されたためだ。

《成人記》で共演した継亜文と
MCたちと

暁晨は金城武に似ている、と持て囃された。

2013(30歳)

3月10日
『好男儿』の後輩、姜潮と湖南衛視《我是大美人》に出演。

4月1日
《優品雑誌》撮影:趙浩淵
撮影場所:天津旅遊集団利順徳大飯店

《隋唐英雄4》
撮影期間2013年4月〜5月
2014年1月28日播出
楊藩役

隋唐英雄シリーズ。前のキャストが役を変え再び集まったという感じ。以降、暁晨は同じメンバーで《神医安道全》《冷枹手》《隋唐英雄5》を撮っている。
今回演じたのは、西涼将軍。

鏝でカールされた前髪
大きな片耳だけのピアス

幼馴染みの梨花を、当然のように妻にできると思っていた楊藩。ところが彼女は、薛丁山に一目惚れ。
楊藩は地団駄を踏み、彼女が嫁いだのちも諦めきれず、追いかける。

丁薛山め…!私と貴様は敵同士
今生貴様を殺さねば男に非ず!

誇り高き楊藩。最もお気に入りは、梨花の夢枕に立ったシーン。

春の朝露が残る早朝の野原
暁晨はいつもの金色の鎧でなく、薛丁山役の葉祖新の銀色の鎧を纏っている。
それが非常に似合っている。
《隋唐英雄4 》では非常に暁晨の容貌や芝居が、他と浮いて見えた。
繊細さ、その技量ーーーこの人は、ここにいてはいけない人だ、と思った。
この人はもっと、この演技が映える一流の場所で活躍しなければ、と惜しんだ。
しかし、ここからがなかなか、難しかったのだ…

5月
《怒放之青春再見》(映画)
撮影期間 5月〜6月
2014年1月10日上映
鄭天亮役

1970年後半の大学時代に仲間になった男女6人。
お互いの恋、友情と将来の夢溢れた日々と、20年後、夢消え失せて日々疲れた彼らとを交互に描き、そこからリユニオンし未来に希望を再び抱くさまを描く青春回帰映画。

監督はミュージシャンである盧庚戌。監督自身が水木年華というユニットグループのシンガーソングライターで、主題歌も歌っている。

たばこをふかし、乱れた長髪に斜に構えた雰囲気ーーーこの天亮役で暁晨は、全く違う自分を見つけた。モデル時代、これがイカした男の姿、アイドル時代、これがモテる王子様などの洒脱なイメージはあった。

それとはどれも違う。
これ以降、暁晨は束ねることのない長い髪を靡かせ、ダメージジーンズにランニングシャツなどのスタイルへと変わる。
これこそ自分だ、自分らしい自分をやっと見つけたーーーそう感じたという。

《冷枹手》
撮影期間2013年6月8日〜8月20日
2014年2月10日播出
柴福東役


主役。暁晨は共産党軍の諜報員で狙撃の名手。
この作品は、共産党軍と国民党軍の内戦中1948年が舞台。
特殊任務を帯びた東福、救出する人質を監禁しているのは、かつての幼馴染馬伯駒(演じるは張震の兄、張翰)。

この表情!ーーー『好男儿』《青蛙王子》のころからは考えられない、しかし、今現在の張暁晨なら絶対に外すことができない、悪役の"素養"まんまんだ。
持ち前の眼光が活きる。
張暁晨と言えば、"眼力"である。

とっ捕まっての拷問、変装など、萌え要素満載❤️
アクションも

全編にわたり満載。
初播出時から再放送をされる度に非常に好評を得ている。
最終的に、因縁のライバルも、福東が引導を渡す。

《快楽ELIFE 》
撮影期間2013年8月8日〜9月23日
2013年10月16日播出
李本悟役

デビュードラマ《青蛙王子》《離愛》に次いで3度目の、王碵監督との仕事。
今度はネットドラマで、1話20分足らずの時間で全20集とコンパクトながら、今の若者ライフを、5人のシェアハウスの住人たちを通してシットコム風に描いた。

キャストのリーダー的存在はマルチプレーヤーの何炅。タイトルも、MCを務める大人気バラエティ番組《快楽大本営》から取られたものだろう。
その何炅主演とあって、番組は初回だけで500万再生数をマーク、大ヒットとなった。

寝ている間に実験台にされる

李本悟は漢方医学生だが天然。
ルックス抜群、しかし全てが緩慢で不器用。
とろいため、いつも誰かに巻き込まれている。
王碩監督は、今までの共同作業からよく彼を理解しておられるのか、暁晨の鷹揚で、優しく、ナイーブで、善人なキャラクターたちを総合したような本悟を作って下さった。

Youtubeに全話あります。

9月23日に《快楽ELIFE 》を上海で終え、暁晨はそのまま次の仕事に。

《蘭陵王妃》
撮影期間2013年9月13日〜2014年1月10日
2016年9月29日播出
香無塵役

李本悟ががらりと変わり、今の張暁晨のビジュアルに近づいた。
片側に垂らした髪が、耽美。またそれがハマっている。
ところが、この香無塵、なぞの塊。

香無塵は変幻自在の魔導士のようなキャラクターだ。
暁晨は白髪の老爺と

眉、髭のない、白髪の若い姿と

黒髪の若い姿とーー、次が最大の問題だ

全く別人の姿とがあるのだ!
もちろん、暁晨ではない。孫志翔くんだ。しかも、暁晨は全体の1割ほどで、殆どが志翔くんなのだ。
影武者としてだとしても、なぜこれほど貌も体格も年齢も異う二人をキャスティングしたのか?

記念すべき30歳の誕生日はこのじじい姿で迎えた

いったいなぜこんなことになったかずっと謎だったが、今回の作業で何となく分かった。
実は暁晨は、同時期にもう一つドラマを撮影していたのだ。また、元々香無塵の設定は、始終仮面で顔を隠しており、それだと蘭陵王と被ってしまうため、このように苦慮したのだろう。

神医安道全
撮影期間2013年9月18日〜
2018年12月20日播出
朵恩役

朵恩は金国の密使。
将軍でもあり、宋の皇室とも懇意にしている。

そして、公主とは恋仲だ。
相手役の梁晶晶とは《隋唐》シリーズからお馴染み。
この作品に出演している俳優たちは、《隋唐》以外でもみな同じで、役を持ち回りしていた。

ある時は敵、あるときは仲間、ある時は恋人、またある時は義母ーーー同じメンバーで演じてはいるが、暁晨が主役になることはなく、たいてい男二主(主役のライバルなどを演じるレギュラー)なのだった。

梁晶晶は同僚たちそれぞれに、マフラーを編んで贈った。暁晨には黒を。暁晨は愛用していた。

暁晨は素人から現場で鍛えられ、演技のノウハウを覚え出したころ、自分とは違う人生を生きる人間を演じることが楽しくて仕方がなくなった。
演じるには自身にあるものから引っ張り出すしかない感情が必要だ。
しかし、感じたことがない感情を演じなくてはならないとき、自分の知らなかった自分が見え、その体験にも夢中になった。

もっともっと自分が知らない自分が見たい。
次の瞬間には、前より成長した自分が現れ、それを体験したいーーーそんな欲求を持つようになった。

言葉で辱めながら、どこか哀しそうでたまらないのは、暁晨ならではの表現だ。
動揺し、剣を取り落とす

朵恩の末路。愛していた公主は主人公に心奪われ、仕返しに主人公の想い人を言葉で汚し、命を奪う。
愛した公主を自ら殺し、
国を裏切り、
"人でなし"と罵られながら辱めた女性と崖から墜落するーーー

10月31日
《怒放之青春再見》北京発布会

11月2日

左下は、自分の大学生時代の姿を紹介しているところ。
19歳のとき。おそらく、南アフリカに雑誌の撮影で訪れたときのもの。

11月26日

劉孜は、『花と将軍』祈王妃役をしていた女優

2013年は、暁晨にとって、こうして目まぐるしく過ぎてゆき、30代が始まった。
ここまでの暁晨の俳優としてのキャリアは、
《美人心計》《新水滸伝》に出ていた
この時期は旬な話題作となったネットドラマ《成人記》《快楽ELIFE 》に出た
というものだ。

地方TV局が製作する低予算娯楽時代劇から、ネットドラマへーーーその内容が若者向けの、刺激的な内容であること、今から思えば、過渡期を経験したのだ。

アイドルというもの、俳優というもの、たった10年で、中国は日本の80年代前半から2000年くらいまでを一気に成長し、暁晨が憧れた"もの"から、その形態や姿はがらりと変わろうとしていた。
そして《怒放之青春再見》によって、暁晨自身は、"流行の先端を追いかけ"るのをやめ、より本質的な自分(自己)を見つめることに回帰する。

2012年から2013年の一年ですでに、たくさんの変化と発見と気づきがあった。
次からの一年で、更に暁晨は己の人生について、考えさせられることになる。
自分を変革するために飛び込んだ芸能界は、畢竟、普通の自分に戻ることはできない世界だったーーー
ならばどうする?
更なる暁晨の軌跡を、どうぞご覧ください。




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