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隣の席の女子は僕より性欲高め!?【小説】第1話
6時間目が終わり、帰りのホームルームが始まった。先生のお話が終わった後、席替えのルーレットが始まった。毎月10日は席替えをする決まりで、その日は7月10日だった。前に出た男子がルーレットを回しながら「誰が前の席になるのかな」とニヤニヤして言っていた。正直ムカつくものである、たとえ1番後ろになったとしても。ルーレットが止まり、席が発表された。僕は1番後ろの端っこだった。席を移動させている途中に友達が「碧斗、あの陰キャ女子(春子)と隣とかお疲れ!」と煽ってきた。
僕は彼の言葉を聞いて初めて隣が誰かを知った。自分は複雑な気持ちだった。
席を移動させ、座っているとさっき友達が言っていた女子が来た。僕と春子はほぼ初対面だった。2年生の一学期ということもあり、まだ話したことが無い。彼女は僕の方を見て会釈をしてきた。なので、自分も会釈を返した。眼鏡をかけてマスクをしていた。「7月なのにマスクなんて変わった人だなぁ」と感じた。まるで顔を隠しているかの様だ。髪は何故かツインテールだった。まつ毛は比較的長く、声は高めの女子。自分は何故か心がギュッとなった。僕の元々付き合ってた彼女もその子と同じ容姿だった。ただ、違ったのは春子の性格とは正反対で明るく、所謂陽キャと呼ばれる人だった。自分から告白しといて自分で別れを告げた事を思い出してしまった。
僕はそそくさと帰り駅に着き、電車を待った。電車を待っている間、カバンからイヤホンを取り出しスマホに繋げた。曲を聞いていると春子が僕の元に来た。僕は少し驚いたが、冷静さを取り戻し話をしてみた。
「あ、春子さん改めて隣よろしくね。」
「うん、よろしくね。私碧斗君の隣になれて嬉しいかも!」
自分はまた驚いた。その理由が気になったので
「そうなの?何故嬉しいの?」
「実は私の元彼も君と同じ容姿でそれを思い出したからなんだよね、ごめんね変な理由で」
それを聞いた瞬間何かの運命を感じ、外していたイヤホンを落としてしまった。しかしそんな事は気に触れなかった。
「イヤホン落としたよ、取ってあげる」
「あ、ありがとう」
春子が触ったイヤホンは何故か気持ちがこもっていてあたたかかった。僕はそのイヤホンをポケットに入れず、持っていることにした。
電車が来て折角と思い、2人で乗ることにした。電車の中には自分の友達もいた。その友達は僕の近くには来ずに離れて行き、コソコソと噂話をしていた。大体どんな会話をしているのは検討がつく。明日はきっと煽りを受けるだろうという覚悟もありつつ、美子さんと座り駅に向かった。春子さんは僕より先に電車から降りた。降りる時、「また明日ね!バイバイ」と言ってくれた。僕も恥じらいを隠すように会釈した。春子が降りた後、離れていた友達が僕の元に来てニヤニヤしながら「碧斗、あいつとどんな関係なんだよ!もしかして付き合ってんのか?」とからかいつつ妬みも混じて問いかけてきた。僕はタジタジだったので何も言えなかった。
自分の降りる駅に着き、友達から逃げるように降りていった。降りた後に気づいたが僕はずっとイヤホンを握っていた。僕はそれに違和感を覚えた。いつもはそんな事はせずに、カバンの中に入れているのに。やはり、気持ちがこもっていたのだなと改めて感じた。僕は家に帰った。その時何故か大汗をかいていた。いつもはそんなに汗はかかない。もう夏も本番に近づいて来たのだなと思うと同時に違う意味もこもっているのだなと感じた。
次の日何故か早起きをして、顔をいつもより長く洗い、髪をセットした。電車もいつもより1本はやいものに乗った。いつも乗る電車より人が少ないので椅子に座る事が出来た。いつも通りイヤホンを付けて曲を聴いていると、隣に誰かが座った気配がした。横をチラリと見てみると春子だった。春子は笑顔で僕の方を見ていた。僕はタジタジだったが、隠すように話をした、
「おはよう、いつもこの時間なの?」
「うん、いつもこの時間に乗ってるんだよね。碧斗君がこの時間にいるの初めて見るけど...」
「あぁ、今日はたまたま早起きだったからだけなんだよね。」そこから会話は続かなかった。
学校の最寄り駅に着き降りた。しかし駅から学校は5分程でつくので登校時間まてま1時間程余裕があった、今日乗った電車が始発だったから。春子は僕に「時間あるから一緒に出かけない?」と誘いを受けた。
僕は何故か嬉しく思い、うんと答えた。朝なのであまり空いてるお店がなかったので、周りを歩く程度だった。歩いてる時はあまり会話がなかった。そろそろ学校の時間なので戻ることにした。教室に着き、席に着くと春子は「今日の放課後も一緒に帰ろ」と言ってくれた。2回目の誘い、積極的だなと思いつつうんとまた答えた。
第1話、一旦ここで終わりです。イイネが10程到達したら続きを作ろうと思います。最後まで読んで頂きありがとうございます!