未経験からエンジニアになって感じた理想と現実のギャップ:コミュニケーションの壁とその乗り越え方

今日から5回にわたり、「未経験からエンジニアになって感じた理想と現実のギャップ」というテーマでコラムを更新していきます。このシリーズでは、僕自身が未経験からエンジニアとして働き始めた時に直面した現実や、その中での葛藤、学びをシェアしていきます。

ちなみに、僕は2015年から、あるERPパッケージの開発、販売を行っている会社で1年半勤務後、2017年3月からはサーバーエンジニアとして、ゲーム会社で働いています。

社会人歴としては、今年で10年目。大学卒業後、未経験でここまでやって来て、今の会社でリーダーポジションまで昇格できており、キャリア的には充実した生活を送っています。

このコラムは、未経験だけどエンジニアとして働く、という方や、今現在、未経験からエンジニアになろうとしている人、働いていて、力不足を痛感している人に向けたものとなっています。不安やモヤモヤを抱えている人は是非、読んでみてください。


第1回目となる今回は、「コミュニケーションの壁とその乗り越え方」をテーマに、上司とのやり取りで感じた課題や、その解決策についてお話します。エンジニアとしてのキャリアを歩み始めたばかりの方や、同じような悩みを抱えている方に少しでも役立つ内容になればと思います。それでは、始めましょう。

コミュニケーションの壁:上司が僕の話を『何を言っているかわからない』と言ってくる

これはエンジニアでなくても起きうるコミュニケーションの壁ですが、職場に入ると、上司に『何を言っているかわからない』と言われることがあります。
この一言で、『自分はまだ知識が足りないんだ』と感じ、深く落ち込んでしまうことがよくあります。僕も、最初の三年間は何度もこの状況に直面し、そのたびに自信を失っていました。
特に、未経験のエンジニアは、この落ち込みを強く経験する可能性があります。


そもそも、『何を言っているかわからない』は一例でしかなく、報告したら聞き返されたり、もう少しちゃんと考えてから報告してください、と言われることも類似の事象として挙げられます。

僕の失敗例として、あるプロジェクトの進捗を確認するMTGで『不具合があった部分を修正しました。処理がおかしいところも修正しました』と報告したとき、上司から『で、スケジュールは間に合うのか?』と返されたことがありました。

この時、僕が伝えるべきだったのは、修正がスケジュールにどのように影響を与えるかという点でしたが、その場では答えを出せず、ただ焦るばかりでした。

文章にすると、『スケジュールを聞かれているのだから、スケジュールを答えればいいじゃない』と思いますが、準備を怠っていると、こういうミスを起こしてしまいます。自分が言おうとしていること、その目的は何かを理解することはとても大事です。

ただ、『そんなのわかっているよ!』という方は多いはず。僕も、当時本やネットの記事を参考にしつつも、自分が抱えているコミュニケーションの壁を取り払う方法としては違う……もっと違うアプローチが必要だと感じていました。

ちなみに、僕は『何を言っているかがわからない』という問答を繰り返しているうちに、『あなたと一緒に仕事をしたくない』『前の〇〇さんの方が優秀だった』という、『何を言っているのかわからない』以上にきつい言葉をもらう状況になってしまいました。振り返ってみると、そう言われても仕方がないな、と思いますが、当時はとてもつらかったです。

振り返ってみてわかること:本当に何を言おうとしたか思い出せない

ただ、今振り返ってみると、僕はどの場面で上司から『何を言っているかわからない』と言われたのか、自分でもはっきり思い出せないものが多いのです。概ね『この修正方針で問題ないか』だったり、『先方に送る文章を見てもらって、こちらの意図がしっかり先方に伝わるものになっているか』を聞きたいのが、『この修正見てもらっていいですか?』から入って、要求されてもいない処理の方針や自分なりの意図をグダグダ話してしまったりだとは思いますが。

人間、ついつい人のせいにしたくなるのは性分です。『何を言っているかわからない』と言ってくる上司がいる、という字面だけでは、上司が悪者に見えることもあるでしょう。しかし、僕自身の経験上、『本当に何を言いたいか、自分もよくわかっていなかった』から、上司が『何を言っているかわからない』と返してきた、可能性がまあまああるのではないかな、と推測します。

もちろん、僕が後輩を教えたりフォローする立場になって、この言葉は極力使わないように気を付けてはいます。しかし、上司になると、この言葉を使いたくなる気持ちもわかります。

先程例に出したプロジェクトの進捗報告。これを報告される側になると、『で、スケジュールは間に合っているの?』と聞き返したくなるのです。だって、聞きたいのはスケジュールですからね。

では、上司とのコミュニケーションで詰まっている人たちはどうすればいいでしょうか?
今、僕が当時の自分にアドバイスをするならば、下記を試してみてくれないか、と問いかけます。

上司との壁を取り払うために:感情(状況)を先に伝える

よく、「報連相が大事」と言われますが、それ以上に僕が大事だと思うのは「感情」(状況)の共有です。

特に未経験エンジニアとして働いていた最初のころはよく『何がわからないのかもわからない』という状態に陥りました。とりあえず調べたことをすべて上司に報告しても、『で、何が聞きたいの?』と返されて固まってしまった経験がたくさんあります。

しかし、その時に必要だったのは、理路整然としていないところからいきなり解決策を求めるのではなく、自分の感情や状況を素直に伝えることでした。たとえば、『何がわからないのかもわからなくて困っています。助けてほしいです』といった具合です。

『困っているので助けてほしい』という感情を共有することは重要です。上司がその状況を理解すれば、解決のために何をすべきかが明確になります。また、感情を共有することで、上司は具体的なアドバイスをしやすくなります。

また、感情や状況を共有しているにも関わらず、頭ごなしに『いいからやれ』という会社があれば、それは『そういう環境』である可能性が高いので、自分の価値観と合っていないかも、というすり合わせが出来るかもしれません。


このように、感情や状況を共有することで、少しずつ自分の考えを整理し、次第に『何がわからないか』や『何を相談したいか』が明確になるはずです。最初は不安かもしれませんが、このアプローチを繰り返すことで、確実にコミュニケーションスキルは向上します。

次に質問するときには、まず自分の感情を素直に伝えてみましょう。『この部分が理解できなくて困っています。少しアドバイスをいただけますか?』という一言で、あなたの状況が劇的に変わるかもしれません。最初は難しいかもしれませんが、このアプローチを繰り返すことで、コミュニケーションがスムーズになり、あなたの不安も少しずつ解消されていくはずです。


次回は、「組織において、エンジニアはマイペースに仕事できない」というテーマでお話します。

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