塞爾維亜戦線異状あり(スペルリガ スルビイェ22-23プレイオフプレビュー)
ずべまりです。久しぶりのnoteです。
22-23シーズンのセルビアリーグ、スペルリガ スルビイェ(モツァルト ベト スペルリガ)は昨日4月20日の試合でレギュラーシーズン(16クラブ)全30節が終了。そして今日4月21日に全7節のプレイオフ(上位8クラブ)およびプレイアウト(下位8クラブ)が開幕します。
ただし優勝争いは既に決着済み、勝ち点82の首位ツルヴェナ ズヴェズダは22日のプレイオフ第1節TSC戦で引き分け以上だとクラブ史上34度目のリーグ優勝および6連覇が決定、そして23-24シーズンのチャンピオンズリーグへのストレートイン(グループステージ進出)を欧州最速で果たすことになります(追記:ズヴェズダはTSC戦で4-1と勝利しリーグ優勝およびCLストレートインを決めた)。
しかし今シーズンは例年にない大きな注目ポイントが残っているのです。チャンピオンズリーグ予選3回戦への出場権が与えられる2位争いが大混戦、2位TSCと3位チュカリチュキが勝ち点62で並び名門パルティザンは勝ち点57で4位止まり、ヴォイヴォディナが勝ち点54で5位に迫り勝ち点50の6位ノヴィ パザルまでがヨーロッパカンファレンスリーグ予選(3位が3回戦、4位が2回戦)を含めた欧州大会の出場権争いに絡んでいます。
それでは、今回はスペルリガのプレイオフに出場する8クラブに絞って見ていきましょう。
ツルヴェナ ズヴェズダ
17-18シーズンからの連覇が6になるまであと勝ち点1、20-21シーズンからのクプ スルビイェ連覇が3になるまであと3勝、パルティザンが既にクプで敗退していることもあり3シーズン連続の国内二冠すら目前に迫っているセルビアの絶対王者。スペルリガ優勝が決まれば23-24シーズンにはセルビアサッカー史上初めてチャンピオンズリーグのグループステージにストレートインするクラブとなる。また22日のプレイオフ第1節TSC戦で優勝を決めれば欧州全土で最速の23-24CLストレートインとなる(追記:ズヴェズダはTSC戦で4-1と勝利しリーグ優勝およびCLストレートインを決めた)。サポーターグループのデリイェ セヴェルはホームで行われるTSC戦で優勝を決めてマラカナをお祭りにしたいところだろう。グロバリのバカがデルビ無観客にしてくれたしな。
CLプレイオフでマッカビ ハイファ(イスラエル)に敗れグループステージ進出を逃して退任したデヤン スタンコヴィッチに代わり就任したミロシュ ミロイェヴィッチは成績こそ残しているが首脳陣やサポーターからの評価が悪く、今シーズン終了後に解任される可能性が高い。その後任の最有力は前述のマッカビ ハイファを率いているバラク バハル、既に個人合意に達しており後はクラブ間で詳細を詰めるのみだとか。
攻撃陣ではミラン パヴコヴがサウジアラビアに去ったがアレクサンダル カタイが17ゴールで得点ランキング首位、アレクサンダル ペシッチも10ゴールで2桁得点を達成。ゲロール カンガとオスマン ブカリが8ゴール、ミルコ イヴァニッチが7ゴールと続く。守備陣ではミラン ボリャン、アレクサンダル ドラゴヴィッチ、ストラヒニャ エラコヴィッチの3人を中心とした堅守が光り、右サイドバックには冬にリーベル プレート(アルゼンチン)からレンタル移籍で加入したアルゼンチン人アレックス ビーゴが定着した。左サイドバックのミラン ロディッチは今シーズンも不動、ボランチでは夏にチュカリチュキから加入したスルジャン ミヤイロヴィッチがレギュラーポジションを確保している。
TSC
昨シーズンこそ6位と近年の躍進からは物足りない結果に終わったが今シーズンはレギュラーシーズン2位と期待以上の快進撃、20-21シーズンのEL予選以来3シーズンぶりの欧州大会出場が近づいている。
現在のチーム得点王は9ゴールのペタル ラトコヴとサシャ ヨヴァノヴィッチ。イフェト ジャコヴァツが8ゴール、マルティン ミルチェフスキが7ゴールを記録している。冬にはドゥシャン ツヴェティノヴィッチ(元横浜FM、徳島)がラドニチュキ1923から加入しレギュラーとして出場している。
チュカリチュキ
とにかく安定して3位に入るチュカリチュキ、今シーズンも2位にパルティザンではなくTSCが入っていながらレギュラーシーズン終了時点で3位に着けている。ECL予選では2回戦でラシン ユニオン(ルクセンブルク)を破ったが3回戦でトゥウェンテ(オランダ)に大敗した。
チーム得点王は11ゴールのムハメド バダモシ、序盤戦に9ゴールと爆発した後18試合ノーゴールだったが4月になってやっと2ゴール決めた。ジョルジェ イヴァノヴィッチが9ゴール、マルコ ドツィッチが8ゴール。ツルヴェナ ズヴェズダから夏にヴラディミル ルチッチ、冬にゾラン ポポヴィッチとラドヴァン パンコヴがレンタル移籍で加入しており3人ともレギュラーの座を掴んでいる。
パルティザン
EL予選ではAEKラルナカ(キプロス)に敗れ、ECLではシェリフ(モルドバ)の前に敗退し、クプでは初戦でプルヴァリガ スルビイェ(2部)のラドニチュキSMにPK戦の末ジャイアントキリングを許した。イリヤ ストリツァを解任し、ゴルダン ペトリッチを解任し、イゴル ドゥリャイが監督になっても混乱は収まらずレギュラーシーズンをECL予選圏ギリギリの4位で終了。レギュラーシーズン最終節のチュカリチュキ戦ではサポーターグループのグロバリ ユグが暴動を起こし試合中止(20日に延期され行われたがこれも0-1で敗れた)、おかげで26日のツルヴェナ ズヴェズダvsパルティザン、第170回ヴェチティ デルビは無観客試合となってしまった。彼らは本当にセルビアサッカー界にとっていらないことをしてくれる。
リカルド ゴメスが15ゴールで得点ランキング2位、ビブラス ナトホが12ゴールで3位タイ。しかしそこに続く得点源が見当たらないのが不振の理由かもしれない。まあ彼らの失敗は我々ズヴェズダシュの歓喜になるんですがね。
ヴォイヴォディナ
セルビア3番手クラブの称号こそチュカリチュキに譲った感があるものの上位にはきっちり入ってくる伝統のクラブ。調子の上がらないパルティザンを上回れれば21-22シーズン以来2シーズンぶりのECL予選出場も見えてくる。
ニコラ チュミッチが9ゴールで稼ぎ頭、ヴェリコ シミッチとウロシュ ニコリッチも7ゴールを挙げている。
ノヴィ パザル
13位で入れ替え戦に回った昨シーズンから一転、今シーズンはスタートダッシュに成功し一度は首位にも立った台風の目。その後やや順位を下げたものの序盤戦の貯金でプレイオフ圏入りを果たした。
エースのアンドリヤ マイデヴァツが12ゴールで得点ランキング3位タイと絶好調。一方で守護神にしてキャプテンだったフィリプ クリャイッチ(元大宮)は3月にサポーターから暴行を受けるという衝撃的な事件が起こった後に退団した。
ヴォジュドヴァツ
昨シーズンの5位に続き好成績を残しプレイオフ進出を果たした。ただクプではレギュラーシーズン最下位のムラドストNSに敗れ1回戦で姿を消している。
ミロシュ パントヴィッチの7ゴールがチーム最多とプレイオフでは攻撃面が厳しくなりそうか。ちなみに夏にはモンテネグロから千徳有寛が加入していたが半年で元の国に帰っていった。
ラドニチュキ1923
昨シーズンは14位で入れ替え戦送りとなったものの残留、今シーズンは9位コルバラと同勝ち点となったものの直接対決で1勝1分と勝ち越していたためプレイオフに進出した。クプでは1回戦でプルヴァリガのレギュラーシーズン首位IMTに敗れている。
7ゴールのミルティン ヴィドサヴリェヴィッチがチーム最多得点、ヴォジュドヴァツ同様苦しい戦いになるだろう。夏にはドゥシャン ツヴェティノヴィッチ(元横浜FM、徳島)が加入し主軸として活躍していたが冬にTSCへステップアップを果たした。
ズヴェズダがCLストレートインは果たすとして3シーズン連続の国内二冠なるか、CL予選の切符を手にするのはTSC、チュカリチュキ、パルティザンのどこになるのか、はたまたヴォイヴォディナやノヴィ パザルがパルティザンからECL予選行きの座さえ奪ってしまうのか…22-23シーズンのセルビアサッカーもクライマックス、5大リーグに負けない熱い戦いが繰り広げられること間違いなしです。
У Србији нешто ново! 塞爾維亜戦線異状あり!
参考文献:スペルリガ スルビイェ公式サイト、セルビアサッカー協会公式サイト
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