スコーピオ杯逃げウマ娘育成難易度評価-水マルは本当に育成難易度が高いのか?-

こんにちは。

普段だったら毎回終わったあとにレポートを書くのですが、スコーピオ杯は色々と考える事が多くて楽しんでいます。今回は勝てるウマ娘の幅が広いと言われており、みなさん色々と育成しておられると思いますが成果は如何でしょうか。

今回、スコーピオ杯は逃げの育成難易度が高い。などと言われる事が多く、youtubeなどでも水マルは仕上げる難易度が高いため注意!のような趣旨の動画が散見されたので、育成難易度が高いというのはどういう事か?という事を紐解きたく筆を取りました。

何故スコーピオ杯の逃げは育成難易度が高いと言われているのか?

チャンピオンズミーティングで勝つためには有効な加速スキルが大切。とは既に周知されている事実だと思います。多くのレースで逃げが強いと言われている理由は逃げのみが最も安定して発動する優秀な加速スキル:アングリング×スキーミングを使える事が多いからです。

しかしアングリング×スキーミングは発動条件の関係で、逃げウマの中で1人しか発動する事が出来ません。そのため、レオ杯やヴァルゴ杯の逃げ育成では如何にしてアングリング×スキーミングを発動させるか≒中盤まででのリードを広げられるかのみが育成の焦点だった訳です。

一方で、スコーピオ杯は前述の「逃げのみが最も安定して発動する優秀な加速スキル:アングリング×スキーミングを使える」という前提が異なります。先行タイキシャトル、先行or差し和服ゴールドシチー、差しモンクエルの存在ですね。これまでは逃げの中で1位を取ってしまえば加速スキルによって得た利得によって他の脚質にも勝てる事が多かったのに対して、今回は1位を取ったあと、加速スキルで上がってくる先行ウマ娘に差されないようにする努力が必要になります。

中盤の速度スキルを大量に盛ってその差を埋めるのでも良いのですが、スキルpt効率を考えるとスパートに関与するスキル(加速スキル、終盤接続スキル)を取らないと先行ウマ娘のスピードから逃げきれない事が多くなるんですよね。そして今回はそのスパートに関与するスキルが逃げにも多く用意されている事が育成難易度を上げている。とされる要因だと思っています

纏めると以下のようになります。

これまで必要だったもの:「中盤までにリードを広げる能力」

今回必要だったもの:「中盤までにリードを広げる能力」+「終盤のスパート周りでリードを広げる能力」

今回は二つの能力を両方確保する必要があるので難易度が上がっている、と言われているのだと私は理解しています。最終的にレースに勝つためには両方の合計値なのですが、逃げの場合は前者をある程度確保しないと後者が機能しないので両方盛る必要がでてきます。

ちなみに余談ですが、今回難易度が高い理由は他脚質(先行)が強い事と、書きました。それが当てはまったチャンピオンズミーティング、つい最近ありますね。そう、前回のライブラ杯です。

前回のライブラ杯ではむしろ追込の直線一気の方が逃げのアングリング×スキーミングより優秀なスキルだったため、前回のライブラ杯の方が逃げの育成難易度は高かったわけですね。実際に逃げを採用した方は少数派だったと思いますが、ブロックやポジションキープ周りの仕様の関係でシステム的に逃げが強いのは間違いなく、本当の最上位層はライブラ杯でも逃げを仕上げていたと風の噂で聞いてます

目標ステータス・スキル

さて、育成難易度が高い事は説明したので、次に各逃げウマ娘の育成難易度の評価をしようと思います。

評価を行うためにはまず目標とするステータス・スキルを定める必要があります。

まずは分かりやすいステータスですが以下のように最低ラインと理想ラインを設定します。

画像4

ステータスについては独断と偏見です。これまでの自分の勝手な知見から、プラチナ称号を取るためのラインを設定しています。

適正と金回復スキルについては厳密にステータスではないのですが、必要ステータスを確保するための要素としてここに含んでいます。金回復無しでスタミナを900まで盛るパターンはパワーが1200必要が無いため、現実的に検討する必要が無いと思っています。

最終的に決勝で勝てるかどうかはマッチングに一番左右されるのですが、一応私自身はライブラ杯こそ逃したもののそれまでのプラチナ称号を全て取れているのでそれなりに必要な数値の感覚はあると思っていますし、他の攻略サイトを見てもそこまで大きな乖離は無い、と思います。

次にスキルについてです。こちらは勝手ながら評価にほぺさん(@hoffe_33)が作成された以下の表から評価をしようと思います。

出所:https://twitter.com/hoffe_33/status/1456754277897031684

逃げ固有

逃げスキル

「中盤までにリードを広げる能力」の目標値

最低ラインの目標設定として水着マルゼンスキーの固有+急ぎ足(育成イベントでほぼ確定で取得できます)のラインを設定します。

上記の表ですと中盤速度固有の1.59+0.36=1.95となります。

ちなみに地固めは1.37あるのでこれさえ取れれば一気に追いつける計算です。

コンセントレーションは事故回避の意味で結構な価値があるのですが、数値化が難しいので評価が難しいです。自分が強い側なら取っておきたいスキルだとは思っています

スキルによって終盤のスパート周りでリードを広げる能力」の目標値

最低ラインの目標設定として、今回は先行と争う必要がある。という背景から先行タイキシャトルの3.02のラインを設定します。(こちらもほぺさんのツイートから拝借しています。)ちなみに継承したアングリング×スキーミングの最速発動が2.36ですので差分の0.68を埋める手段があるかどうかが評価基準になります

先行固有_タイキ

ちなみにスピード、パワーのステータスが寄与するのはこの部分のため、速度・パワーを補正する緑スキルもここに入ります。一旦評価の際は左回り〇や道悪〇までを取る事を想定します

評価基準

基本的にウマ娘が持つ固有スキル、覚醒スキル、イベントで取得可能なスキル、成長補正を用いて評価する事になります。達成が難しい要素は因子、サポカ編成によってカバーする必要が出てくるという事ですね。

ステータスについては勝手ながら主観で満たしやすさが〇、△、×の3段階で評価し、スキルについては実数を記載します

サポカと因子にはそれぞれ得意範囲があり、ステータスは両方寄与できるものの、適正は因子でしかカバーできませんし、スキルとスタミナ(≒金回復を指す)はサポカでしかカバー出来ない事もあり、どちらかに偏って要求されるものが多いor少ないケースは個別に言及します

個別ウマ娘評価:水着マルゼンスキー

ステータス:〇

水着マルゼンスキーは覚醒スキルで唯一金回復スキルを持ち、スピードと賢さに補正が乗っているため必要ステータスを満たすことが最も容易です。その分青因子の配分やサポカ編成に自由度が生まれるという事ですね。

中盤までにリードを広げる能力:1.95

固有スキル+急ぎ足で計算しています。基準となるので既に目標ラインからのスタートで、単純にここからどれだけ盛れるかになります。自前で緑スキルを持たないため、強力なスキルである地固めが取りづらい事だけがネック

スキルによって終盤のスパート周りでリードを広げる能力:0

逆に水着マルゼンスキーが劣る部分です。ステータスに余裕があるのでSSRサイレンススズカを採用して逃亡者を取得するのが最も簡単。親を用意出来るのであれば片方をメジロマックイーンにして貴顕の使命を果たすべくを継承する方法もありますが、ステに余裕があるので可能なら逃亡者を取っておきたい気がします

総評:終盤リードを広げる能力のみ補強すれば良いため、因子・サポカの自由度が比較的高め

個別ウマ娘評価:セイウンスカイ

ステータス:△

スピードに補正が無い分スピ2枚or因子を要求されるが賢さをその分稼ぎやすいです。おそらくスピ2枚+金回復(ライスorクリーク)+賢さ3の形でほぼ固定されてしまうので金回復で採用した方に応じてパワー、スタミナの不足分を因子で確保する必要があります

中盤までにリードを広げる能力:1.28

脱出術+尻尾上がりで計算しています。最強中盤スキルの脱出術とコスパ最強スキルの尻尾上がりを持つため、水マルに劣りますが優秀な方と言えるでしょう。水マルに追いつくためにはコーナー〇、直線〇あたりを2つ多く用意する必要があります。地固め無しでも仕上がり次第では追いつける範囲かと思っています

スキルによって終盤のスパート周りでリードを広げる能力:3.81

セイウンスカイの真骨頂です。文句無しですね。ここが十分確保されているため、他にリソースを割く余裕があります

総評:どの能力もバランスが良い。特にスキル回りが揃っているので因子、サポカをステータス中心に考えられる事が利点

個別ウマ娘評価:サイレンススズカ

ステータス:△

根性補正は余計なもののスピ20%補正はスピ賢育成をする上ではかなり有用。スピ1枚でも1200が狙えるラインなのでスタミナを確保するために樫本理子を使う選択肢も取る事が出来ます。

中盤までにリードを広げる能力:0.36

なんと急ぎ足のみです。一応コンセントレーションがあるもののあまりにも足りていないので地固めを確保する事がスタートラインになるでしょう。一応コンセントレーション+左回りがあるので地固めの発動はかなり現実的なのが救いです

スキルによって終盤のスパート周りでリードを広げる能力:3.45~5.63

固有+左回り+逃亡者で計算しています。逃亡者の効果がブレるものの、先頭を取ってしまえばセイウンスカイを超える破壊力があります。ただし、セイウンスカイと違って逃亡者はスキルptを払う必要があるため、その分他のスキルに割く余裕が無い事は懸念です。一番のポイントは必ずしもアングリング×スキーミングを継承する必要が無い事だと思っており、セイウンスカイの因子を用意しづらい人にとっては評価点になると思います。

総評:先頭を取れれば強いが先頭を取るまでのハードルが高すぎる。スキルptにも限界があるためコスパの良いスキルをかき集められるかどうかが重要。ここまでスキルが足りないと賢さに求めるラインも高い水準が要求されそう

個別ウマ娘評価:スマートファルコン

ステータス:×

ステータスの補正は優秀な方だが芝Aと中距離Sの両立があまりにも困難です。芝因子10以上を用意した上で中距離因子6を用意出来るのであれば問題
無いのですが、その上で最低でもセイウンスカイの固有も継承する必要があるので、因子に求められるものが多すぎます。

現実的には芝10以上+中距離3で試行回数を重ねる事になりそうです

中盤までにリードを広げる能力:1.21

固有のみです。ファル子は複合固有のため、加速が絡まない中盤で発動する分には純粋な速度固有に劣ってしまうんですね。それでも脱出術を超える効果はあるので優秀な部類でしょう。道悪〇と逃げのコツ〇と自前で緑スキルが2つあるため、地固めの取得も狙いやすいのですが、ただでさえ重い因子の負担が更に重くなります

スキルによって終盤のスパート周りでリードを広げる能力:0.29

道悪のみです。何もないよりマシなのですが、ここもほぼ無いのと同様なので逃亡者の取得が望まれます。スピード20%の補正によってSSRサイレンススズカを採用しやすいのは利点です。

総評:因子に求められる負担が極端に大きい。因子富豪であれば地固めの取得が容易な事もあって大分育成難易度が低い可能性はある

個別ウマ娘評価:ミホノブルボン

ステータス:×

スピードにも賢さにも補正が乗っていないのが厳しいです。デッキパワーを理論値まで高めた上で練習やURA、アオハル因子などの上ブレが必要に感じます。

中盤までにリードを広げる能力:0.72

逃げ直線〇+逃げコーナー〇で計算しています。ある程度計算ができるのは良いのですが、これらを自前で持っている分、上澄みを重ねるのが大変です。雨の日が機能するのでこれを活かして地固めを取るのがスタートラインになると思います。先手必勝は流石にコスパが悪すぎるので計算に入れてません

スキルによって終盤のスパート周りでリードを広げる能力:1.41

固有のみです。固有の発動は比較的安定する方なため、アングリング×スキーミングを継承さえできれば及第点だと思います。

総評:全体的に低い水準で纏まっている。全ての要素をある程度盛る必要があるので流石にこれはどんな人でも育成難易度が高いのではないか

個別ウマ娘評価:マヤノトップガン

ステータス:×

ブルボンより更に厳しいです。

中盤までにリードを広げる能力:0.22

先頭プライドのみです。流石に地固めが欲しくなりますが、緑スキルを自前で持たないため地固め発動までのハードルが高いのもネックに見えます。

スキルによって終盤のスパート周りでリードを広げる能力:2.05~4.39

固有のみですが固有の理論値はセイウンスカイを越えて最強です。1位でなくても発動するのは大きなメリットなのですが、1~3位で競り合い条件を満たすには結局1位を取るのと近いレベルの中盤スキルが必要な事には変わらないように見えます

総評:イメージは中盤スキルとステが盛りづらいセイウンスカイ。地固めが無いと土俵に上がれないように見えるが地固め獲得のハードルが高すぎる。固有が3位とかでもそれなりに発動して捲れるのであれば中盤スキルを多少妥協できるのかもしれないが…?

最後に

如何だったでしょうか。

評価した感想としては、今回はセイウンスカイの方が育成が簡単そう。ただし水マルも十分育成難易度が低い部類に見えるという印象ですね。

因子がめちゃくちゃに充実している人であればスマートファルコンも選択肢に入るのかもしれません。逆に主要なSSRサポカが全て完凸している人にとってはマヤノトップガンの育成も現実的なのではないかと思います。

育成難易度、と一言で表される事が多いのですが、キャラによって育成に必要な資産が異なりますので、その辺りも加味して育成するキャラを選んでは如何でしょうか

余談:先行・差しの育成難易度は低いのか

普段より逃げの育成難易度が今回は高い事は説明してきたのですが、その対抗馬となる他脚質の育成難易度はどうなのでしょうか。

結論から言うと今回はかなり容易な方だと思います。「中盤までにリードを広げる能力」+「終盤のスパート周りでリードを広げる能力」の両方が必要だという事は述べましたが本来はこの二つの合計値が高ければ良いんですよね。ただし逃げは加速スキルの条件の関係で両方がある程度バランスよく必要なため、難易度が高かったわけです。

つまり、先行タイキシャトルを育成するとしてスキルptを終盤接続狙いのスピードスターに振っても良いし、継承する固有を終盤詰めるオグリ固有にしても中盤の差を詰める水マル固有にしても良い訳です。それでいて固有で得られる効果もかなり高く、発動させるためのスキルの工夫も少ない(どちらかというと脚質分布の影響が大きい)ですからね。

そうなるとあとはステータスですがステ補正が根性に15%振られているモンクエルはともかく、タイキシャトルも和シチーもステ補正はトップクラスに優秀なため、大分難易度が低いと言えるのではないでしょうか

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