突然のこと
小学校3年生。帰る方向が一緒でした。
私の家は学校にかなり近かったので、別れるまではごくわずかな時間。
私が犬の真似をし、おとなしい彼女が餌を与える真似をする、みたいな何の意味もないやり取りでしたが、何故だかそれだけのことが楽しくて、毎日飽きもせずそれをやりながら共に帰りました。
それだけのやり取りを毎日やっているうちに、家に帰ってからも時々一緒に遊ぶようになりました。
かなり仲良くなったと思ったのに、彼女はその年度の終わりだったか、翌年度末だったかに東京へ転校。
全然筆まめではない私が申し訳なく思うぐらい、彼女は手紙をくれました。毎年欠かさず。
少なくとも年賀状にはお互い直筆で一言入れて出し合う仲でした。
私が大学時代に京都にいたころは、弓道部の行事で三十三間堂まで来ることを教えてくれましたし、10年少し前、彼女が名古屋に立ち寄った時にはようやく再会を果たしたりしました。
その時期の私は疲れていてあまり気の利いた話ができなかったのですけど。
今日、帰ったらポストに速達のハガキが入っていました。
「病気療養中でございましたが、去る4月◯日、34歳にて永眠致しました」。
全然、全然知りませんでした。
そんなに重病だったなんて。
確かに、少し体調を崩したとは言っていたけれど。
今年もらった年賀状。
「10月に実家近くに引っ越しました。」
夏にもらった手紙。
「7月から自分のペースで働けるよう当分週3のパート勤務になりました。」
何てこと。私の結婚のことも喜んでくれていたのに。
いっそ明日の夕方、ここ名古屋から池袋まで走るかと悩みましたが、娘さんを失ったご遺族にも何てお声かけしたらいいかわからないし、さっそく電報を手配しました。
驚きの方が大きくて、祈る、という感覚すらちょっとまだよくわかりません。