ポジティブな負い目
私は専業主婦なので、何かにつけて「でも私、無職だしな」と考える。
それは卑屈になっているのでも自信を失っているわけでもなくて、
それが私たち夫婦の円満の秘訣。
「でも私、無職だしな」の呪文があれば、夫に対して芽生える小さな不満を、必要以上に花咲かせることなく摘んでしまえるからとっても良い。
結婚してから私もパートに出たこともあった。
世の奥様たちのように、朝子供を送り届けたらそのまま半日パートに出かけて、子供を迎えに行って帰宅後家事をする。
そんなふうに暮らしていくもんだと思っていた。んだけど。
全然できなかった。
なんかマジ無理だった。
驚くほど何もできなくなって、どんどん精神が追い込まれてゆくのがわかった。
あっ、私って普通のお母さんできないんだ、と悟り、娘を妊娠したのもあって、パートを辞めた。
それからは無職のお母さんとして堂々と生きている。
もちろん、このままじゃダメな気がする時もある。
でも外に働きに行っても結局ダメになるし。
内でも外でもダメならばせめて笑っていよう!私は家庭の太陽なのよっ!と開き直ることにした。
だから今日も、「でも私、無職だしな」の負い目の呪文を頭に浮かべて、ケーキの切り方があまりにも下手な夫を罵らずに済んだのだ。