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【原神】白朮Webイベント「百草皆薬」感想。図鑑ファンにはたまらない!

2023/4/27〜5/3で開催されていた白朮のWebイベント「百草皆薬」。

ストーリーとしては、いつも璃月港の不卜廬で薬剤を販売してくれている「桂」に多忙な日が続いたので白先生が休みをとらせる。
それにより人手が足りなくなった不卜廬を手伝って、白先生の指示通りに薬剤を調合するよう依頼された……といった内容。

先に言っておくと、このイベントはクエストの進め方だけ見れば、驚くほどゲーム性皆無の理不尽ノーヒントクイズだった。
が、それを差し引いても好きな要素が多かったので、苦戦したクイズ部分も含めて何がどう楽しかったのか感想を書き留めておく。


以下、イベント内容や各種キャラスト・キャラボイス・伝説任務等のネタバレを含む感想。

※ 薬剤レシピに両生類や爬虫類が含まれるので、苦手な方はご注意を。


素材について


まず、処方箋の素材について。

暇さえあれば原神の図鑑を眺めて情報を漁っているいち図鑑ファンにとっては、なかなか嬉しい要素が出てきていた。

調合に使う素材は以下の通り。

(通し番号は筆者による)

イベント内だと各素材はアイコンしか出ていなかったけど、左からそれぞれ下記のようになる。

1. 清心

断崖絶壁にしか咲かない透き通る白い花。平原の温もりと潤いよりも冷たい高い場所を選ぶ花。

「原神」ゲーム内図鑑テキストより

用途・薬効:

  • 料理(天枢肉など)、突破素材(甘雨など)。

  • 璃月のデイリー「稽古の邪魔」では、喉の薬や頭痛薬に使えることが明かされている。

  • 香菱のキャラクターストーリー3によれば、ミントの葉と一緒に食べると腹を下す可能性があるという。

  • 甘雨の好物だが、味は苦いらしい(甘雨のキャラボイス「興味のあること・清心」より)。


2. ミント

清涼成分を含んだ植物の葉。爽やかでヒンヤリした味わいが暑さを取り除いてくれる。大陸の至るところに分布するミントは旺盛な生命力を持つ。

「原神」ゲーム内図鑑テキストより

用途・薬効:

  • 料理(ミントゼリーなど)、塵歌壺の青色の染料。

  • 璃月のデイリー「成長の悩み」では、ミントオイルにすると香膏の原料になることが明かされている。

  • 香菱のキャラクターストーリー3によれば、清心の花と一緒に食べると腹を下す可能性があるという。


3. 琉璃百合

極めて古い花。かつて璃月の至るところにあり、大地の記憶を花の香りに変えられるらしい。伝説によると、この花は美しくて透き通る歌声に咲き、かつてある人物が大好きな花だったらしい。だが今、野外で咲いている琉璃百合をめったに見られない。

「原神」ゲーム内図鑑テキストより

用途・薬効:

  • 突破素材(雲菫など)、便利アイテム(岩神の瞳の共鳴石)。

  • 魔神任務「迫る客星」によれば、野生の琉璃百合を粉にして永生香の香炉に入れるのが璃月の送仙儀式の伝統であるという。


4. ハスの花托

璃月地域の水辺に咲くハスは二つの花が咲く。一つは香りを放ち、もう一つは少し苦い花托になる。薬にも使えるらしい

「原神」ゲーム内図鑑テキストより

用途・薬効:

  • 料理(四方平和など)、薬剤(耐湿薬剤など)。


5. 杏仁

不思議な香りがする種。ひと味違う風味が味わえる。

「原神」ゲーム内図鑑テキストより

用途・薬効:

  • 料理(杏仁豆腐など)。


6. 琉璃袋

生命力旺盛な花。地面に向ける咲き方は自らの香りを守るためらしい。

「原神」ゲーム内図鑑テキストより

用途・薬効:

  • 料理(岩港三鮮など)、突破素材(七七など)。

  • 香菱のキャラクターストーリー5によれば、料理の香りづけに使えるという。

  • 希少性のあるものらしく、特別な日の茶菓子として(申鶴の2023誕生日メール)、お気に入りのブレンド茶として(夜蘭のボイス「好きな食べ物…」)など、璃月人のとっておきの料理の材料として使われている模様。


7. ラズベリー

鮮やかな色をした果物。野外に広がるこの美しい果物は、旅の疲れを吹き飛ばしてくれる。

「原神」ゲーム内図鑑テキストより

用途・薬効:

  • 料理(午後のパンケーキなど)、釣り餌(ワームの擬似餌)、塵歌壺の黄色の塗料。


8. サンショウウオの宝玉

サンショウウオが吐き出した薬用に使える宝玉。サンショウウオが食べた鉱物と元素を合わせて微かな魔力を持つ宝玉を作る。命の危機を感じた時はそれを吐き出し相手を惑わす。

「原神」ゲーム内図鑑テキストより

用途・薬効:

  • 旅人が使えるアイテムとしての用途はなし(Ver3.6現在)。

  • 夜蘭のボイス「シェアしたいこと・遮音」によれば、丁寧に磨くと遮音性の高い耳栓にできるという。


9. 発光髄

ホタルの光を放つ部位。ホタルにとっては求婚のための器官でもある。人にとっては滋養強壮の良薬

「原神」ゲーム内図鑑テキストより

用途・薬効:

  • 便利アイテム(ポケットワープポイント)。


10. カエル

一般的なカエル類。ジメジメした環境に生息する。いつも活力に満ちており、体からは活力をみなぎらせる物質を分泌している。

「原神」ゲーム内図鑑テキスト(物産誌)より

湿気の多い地域の一般的な小動物。分泌する奇妙な粘液は、よく薬用に使われることがある。

「原神」ゲーム内図鑑テキスト(生物誌)より抜粋

用途・薬効:

  • 薬剤(烈火のオイルなど)。


11. トカゲのしっぽ

生命を失った後もクネクネ動くトカゲのしっぽ。強力な薬効を持っており、人の皮膚を硬くする。とても苦い

「原神」ゲーム内図鑑テキスト(物産誌)より

トカゲのしっぽは、乾燥して粉にした後、特別な薬効を持つ。イカれた錬金術師達は、それを爆発の活性剤に加工する技術を生み出した。

「原神」ゲーム内図鑑テキスト(生物誌)より抜粋

用途・薬効:

  • 薬剤(霜劫のオイルなど)、便利アイテム(三〇式・携帯式栄養袋)。


12. 烈焔花の花蕊

アツアツの花蕊。勢いよく燃える花びらは、水をかけて消しても、かすかに熱を放ち続ける。これらの植物は長年にわたって積み重ねた元素力から知能と行為パターンを習得したらしい。

「原神」ゲーム内図鑑テキストより

用途・薬効:

  • 薬剤(耐熱薬剤など)、便利アイテム(放熱瓶)。

  • ダダウパの谷では大鍋の加熱にも使われており、旅人はそれを参考に、ボイス「温泉について…」でパイモンを出汁に浸からせようとしている。


13. 霧氷花の花蕊

固い氷に閉ざされた花蕊。摘み取っても凍えるような冷気を放つ植物。大衆文学において、かつては霧氷花に凍られて身動きが取れないキツネを描写する小説があった。力が弱い生き物にとって、霧氷花は非常に危険な植物だろう。

「原神」ゲーム内図鑑テキストより

用途・薬効:

  • 薬剤(耐寒薬剤など)。

  • ディルックの伝説任務では、精製した霧氷花を試作ドリンクに入れてみたら魔物を引き寄せてしまったというエピソードがあり、その性質を利用してアリバイ作りのための魔物の餌として使われている。


14. 馬尾

たまにある荻と共に生長する紫色の植物。周りの荻より高く、大きく、まるで気高い人のような植物である。

「原神」ゲーム内図鑑テキストより

用途・薬効:

  • 料理(米まんじゅうなど)、釣り餌(ハエの擬似餌)。

  • 煙緋のボイス「興味のあること…」によれば、『璃月風物誌』という書物の中には薬用になる馬尾の記述があり、その馬尾は墨の耐水性を上げる効能があるという。


こんな感じで素材ごとに結構しっかり説明や背景設定があるのに、今までゲーム本編の任務では知識としてあまり役に立ったことがなかった。
なのでほぼ捨て設定だと思っていたのだけど、今回のイベントでは調合指示でほんのりヒントになっていた!

個人的に比較的わかりやすいほうだと思ったのが、小豆の処方箋。

小豆はいつも不卜廬の前で「苦い薬は飲みたくない」と言っているNPC。
Webイベントでもその設定は健在で、白朮にも苦いものが嫌いだと覚えられている様子。

璃月のデイリー任務「良薬は口に苦し」でも薬を嫌がって杏仁豆腐を食べたがっていた子なので、処方箋のトカゲかカエルを杏仁あたりに置き換えればいいんだろうな〜、みたいにわりと普段の知識から推測できる余地があったかなと思う。

こういった調合指示という形で日頃のキャラ設定や素材の図鑑説明が活きてくるのが、図鑑ファン・設定オタクとして個人的にかなり好きだった。


処方箋について


次に、各キャラクターに処方されたものについて。

このイベントの処方箋でできるものは医薬品だけでなく、化粧品や食品までさまざま
特に料理は「これ薬じゃないだろ」みたいなツッコミが入っているのを某所で見かけた。

確かにその感想はわからんでもない。

ただ不卜廬は以前から「ハスの実入り茶碗蒸し」のレシピを売っていたし、Ver3.6で「瓊玉果湯」のレシピも追加されている。

原神は中国のゲームなので、「薬食同源」の考え方で薬膳料理も「処方」の範疇に入れているのかな〜と勝手に思っていて、個人的には料理が出てくることはそれほど不自然に感じなかった。

以下、すべての処方箋と感想。


■ 天おじへの「解熱解毒の丸薬」

以前の配合:
ハスの花托×1、清心×1、トカゲのしっぽ×3

改良指示:
「患者さんは順調に回復しています。当面は解熱、解毒作用のある植物系薬剤を少し増やしつつ、薬効の強い薬剤は減らしていくことで、徐々に体の調子を整えることができるでしょう。」

改良後の配合:
ハスの花托×2、清心×1、トカゲのしっぽ×2


トカゲのしっぽの図鑑説明に「強力な薬効」とあることから、配合指示の「薬効の強い薬剤は減らし」という部分についてはトカゲのしっぽの量を減らす指示であると推測できる。

ただ、もう一つの「解熱、解毒作用のある植物系薬剤」のほうは正解がハスの花托だけど、正直この文面からは何になるのか判断できない。
配合を「変える」指示でなく「増やす」指示なので、全く違う薬剤を入れるのではなく、清心かハスの花托のどちらかを増やすのだろう、と推測するくらいが精一杯だと思われる。

清心は喉の薬や頭痛薬などに使われるようなので、どちらかというと痛み止めっぽい薬効だと判断して「解熱、解毒作用」の候補から外したいところだけど、ロキソニンのように解熱剤と痛み止めを兼ねている可能性も否定できないためヒントにならない。

合成でハスの花托を使用して水元素系薬剤が調合できる点から、水元素→炎を消す→解熱作用、みたいな類推をしろってことなんだろうか……?(解熱となると、氷元素のほうが直感的にイメージしやすい気もするけど)

さらに調べてみたところ、中国ではハスの実は結構メジャーな食材らしく、漢方や薬膳に生薬として用いたり日常的に食べたりしているらしい。
そのあたりからヒントになる要素はないのか? と思ったけど、生薬の「蓮肉」などは下痢止めになる薬効らしく、ここで言及されている解熱・解毒作用のいずれもあまりピンとはこなかった。

ともあれ、璃月のハスの花托には解熱・解毒作用があるという情報を得られたのは良かった。
本場の漢方の知識があったら、もっとすんなり理解できるのかな〜。


■ ルーじぃへの「筋骨温湿布」

以前の配合:
烈焔花の花蕊×1、発光髄×1、琉璃袋×3

改良指示:
「患者さんは治療中にちゃんと休養しなかったため、腰痛が悪化してしまいました。体を丈夫にする薬剤を増やすほか、薬効を調和させるために、とある貴重な薬剤を加える必要があります。」

改良後の配合:
烈焔花の花蕊×1、琉璃百合×1、発光髄×2、琉璃袋×1

発光髄は図鑑説明によれば「滋養強壮の良薬」らしいので、配合指示の「体を丈夫にする薬剤を増やす」は、発光髄の量を増やす指示であると推測できる。
しかし、後半の「とある貴重な薬剤」についてはこれまた手がかりがない。
正解は琉璃百合だけど、希少性に関しては琉璃袋もたびたび言及されているので「貴重な」だけでは絞りきれない。
ノーヒントで攻略する場合は何回か試行するしかないのかも。

烈焔花は鍋の加熱などで火種としても使われているけど、「水をかけて消しても、かすかに熱を放ち続ける」性質が温湿布という形で利用されているのが面白い。
アイマスクにしたら眼精疲労にも効きそう。


■ 小豆への「琉璃正気散」

以前の配合:
トカゲのしっぽ×1、カエル×1、清心×3

改良指示:
「患者さんは苦い薬がお嫌いです。苦味のある薬剤を、薬効の似た貴重な薬剤に置き換え、甘みのある薬剤を少し加えることで、薬を飲みやすくすることができます。」

改良後の配合:
ラズベリー×1、トカゲのしっぽ×1、杏仁×1、琉璃百合×2

用意されている素材の中で「甘みのある薬剤」に該当しそうなのはラズベリーと杏仁。
小豆は普段の会話で杏仁豆腐を食べたがっているので、ここは杏仁かなと思ったら、正解はまさかの両方だった。

苦みのある薬剤を、薬効の似た貴重な薬剤に置き換え」のところも難易度が高すぎる。
図鑑やゲーム内の説明で苦いことがわかるのはトカゲのしっぽ清心だけど、「薬効の似た貴重な薬剤」がわからない。
正解は「清心を琉璃百合に置き換える」だったので、「とても苦い」はずのトカゲのしっぽは残っている。

材料が5個までという制限のせいか、カエルがしれっと消えていたり、清心3個が琉璃百合2個に置き換わっていたりと、個数が全体的に変動しているのも難しいポイント。
これは何回か試行しても正解するの無理そう。
おそらく正解させる気がない問題だと思われるので、素直にヒントをもらうしかないようだ。

ただこの処方箋により、琉璃百合は清心と薬効が似ているという新情報が得られた。
ユリの根は漢方において、肺や喉に効く生薬として咳止めなどに使われる。
杏仁も、生薬として使われる場合は咳や喘息に効くとされているので、もしかしたら小豆は呼吸器系の疾患があるのかな?

ちなみに「琉璃正気散」の「散」という字は、漢方では生薬を細かく砕いた粉薬を指すようだけど、この処方箋のイラストはどう見ても瓶に入った液体だ。
英語版だと「Glazevital Concoction」となっていて、「concoction」が「混合飲料、調合薬」みたいな意味らしい。

なので薬剤を煎じた液を瓶詰めしているのではなく、各材料を砕いて粉末にしたものを混ぜ込んで水薬にしているようだ。
(煎じ液の場合は名前が「琉璃正気湯」になると思われる)

璃月のデイリー「稽古の邪魔」によれば、新鮮な清心を水につけると喉に効くとのことなので、もしかしたら清心や琉璃百合は水薬のほうが薬効が良くなるからこのような形にしている、みたいな背景があるのかも。
あるいは、単に子供だから丸薬や粉薬が飲みにくいだろうという配慮なのかな?
味も甘みを加えて飲みやすくしてあるとのことなので、咳止めシロップに相当する感じなんだろうな。


白朮の指示に沿って配合を改良するという形式のクエストは以上3つのみ。
これ以降は「不思議な処方箋」となっており、処方箋内容の手がかりが一切なくなる。

当てずっぽうするか、「ヒントをもらう」ボタンを押すかのいずれかで解くことになるけど、素材が14種類あって調合必要数が5個なので、当てずっぽうすると試行回数がとんでもないことになる。
ヒントをもらってその通りに調合するしかないと思われる。


■ 申鶴への「冷えた薬草羹」

説明:
爽やかでひんやりした口当たりだが、寒性のものではないため、胃にも優しい。

配合:
清心×2、琉璃百合×1、ミント×1、霧氷花の花蕊×1

白朮のコメント:
「素材を、生のまま食べるよりはいいはずですよ。」

新料理だ〜! 最高!
原神のキャラがごはんを食べている描写が大好きなので、ゲーム内での実装の有無にかかわらず、こうして料理要素が出てくるのはかなり嬉しい。

でも、このシンプルなイラストと簡素な説明だけだとどんな質感の料理なのかがあまりわからなかったので、「薬草羹」の「羹」の意味を調べてみた。
羊羹とか牛乳羹とかあるし、冷たいゼリーみたいな感じなのかな〜? と思っていたら全然違った。

「羹」の読みは「あつもの」で、ああ〜、ことわざの「あつものに懲りてなますを吹く」の「あつもの」ってこの字なのか! と合点がいった。
あつものはスープのことなので、冷たいゼリーどころか意味がほぼ真逆だ。

和菓子の羊羹は、もともとは文字通りの羊肉のスープが禅僧によって中国から日本に伝わったけど、禅宗で肉食が禁止なので代わりに小豆とかで作ったものが原型になって、のちに菓子になったらしい。
馴染みがあると思っていた羊羹や牛乳羹のほうが、むしろ「羹」の字義がまるで残っていない変則的すぎる使い方だった。

なのでこの「薬草羹」での「羹」はもともとの字義どおりスープという意味のようだ。
念のため英語版のイベント画面も確認してみたけど、薬剤名が「Iced Herbal Soup」となっていたので、冷製薬草スープということで間違いなさそう。

なお、説明にある「寒性のものではないため」の「寒性」というのは、薬剤の性質を指していると思われる。
中国では食材や生薬の性質を「寒・涼/熱・温/平」に分ける考え方があり、体を冷やす働きをする性質のものを「寒性・涼性」とする。

つまり、この料理の説明は「口当たりはひんやりしているが、体を冷やす薬効はない」、だから胃に優しい、という意味なのだろう。
(よく見たら英語版の説明にも大体そんなようなことが書いてあった)

申鶴は薬草を食べるのが苦手だから(申鶴のキャラボイス「嫌いな食べ物…」)、少しでも食べやすいようにスープにしてもらったのかな?
普段仙人とほぼ変わらないように見える申鶴の人間らしい一面が感じられる良い処方箋だと思う。


■ 香菱への「健胃剤」

説明:
脾胃を守り、変わった食材が胃にもたらす刺激を減らすことができる。

配合:
ラズベリー×1、杏仁×1、清心×1、琉璃袋×2

白朮のコメント:
「新しい料理を考案される際は、スライムの液体をあまりたくさん入れないことをおすすめします。」


「脾胃」という単語は見慣れないなと思って調べたら、中医学特有の言い回しで消化吸収機能を指す感じらしく、西洋医学でいう「胃腸」に概ね相当するようだ。
そもそも「白朮」というのが健胃作用や強壮作用のある生薬の名前で、脾胃を元気にする働きがあるそうなので、こういった薬剤はもしかしたら白先生の得意分野なのかもしれない。

なお、小豆の琉璃正気散と配合がやや似ているが、こちらは英語版の名前だと「Stomach Soothing Brew」となっている。

「brew」が「醸造したもの、煎じたもの」といった意味なので、散薬のように材料を粉末にしたものが入っているのではなく、材料を煮込んだエキスを使った煎じ薬だと思われる。


■ 雲菫への「駐顔膏」

説明:
化粧を落とした後、肌の手入れにこの膏薬を使うことができる。

配合:
杏仁×4、サンショウウオの宝玉×1

白朮のコメント:
「長生も、劇を鑑賞するのが好きなんですよ。」


まさかのスキンケア化粧品!!
以前放送していた『異世界薬局』というラノベ原作のアニメで、「薬だけでなく化粧品も一緒に売ることで、日用品を買いたい女性客層を広く獲得して売上を伸ばす」という戦略がとる回があって、なるほどドラッグストアに化粧品が売ってるのはそういうことか〜と思ったものだけど、不卜廬でもそのメソッドを採用しているんだろうか?

不卜廬の薬は、刻晴が「大人でも苦いと感じる」というようなことを以前から言っていた(刻晴のキャラボイス「白朮について…」)ので、お店のカラーも漢方薬局みたいなガッツリ東洋医学系のお堅い感じなんだろうと思っていた。

でも今回のイベントをやってみた限りでは、それこそ異世界薬局みたいに化粧品や食品も売っているタイプの、わりと璃月人が気軽に日用品を買いに行けるお店なのかも。

あと、ゲーム本編だと料理にしか使わない素材(Ver3.6現在)である杏仁が配合成分のほとんどを占めている。
杏仁の油は、楊貴妃が全身に塗っていたとも言われるほど美肌効果が高いので、これは相当リッチな使い心地の美肌クリームだと思われる。

そして、サンショウウオの宝玉の使い道がついにできた!!
ずっと何に使うかわからないまま、探索で見かけたらとりあえず集めてみるというのを続けていて、あまりにも使い道がないので攻略サイトを見たら本当に使い道がない(Ver3.6現在)というのを知ってずっこけたことがある。

でも図鑑説明には「薬用に使える」とあるし、白朮も実装されたし、今後のバージョンで何かあるといいな!!


■ 刻晴への「眠気覚ましの香膏」

説明:
ひんやりとした刺激が、眠気を一掃してくれる!

配合:
ミント×2、清心×2、霧氷花の花蕊×1

白朮のコメント:
「玉衡様、どうかお体をご自愛ください。夜更かしはよくありませんよ。」


香膏は「春香窯」の専門分野なのかと思っていたら、不卜廬でも作れることが発覚!
先の駐顔膏の項目でも触れたけど、いかにもな薬や薬膳っぽいものだけでなく、こういった化粧品も不卜廬でできるというのは驚きだった。

この香膏は冷感素材がメインになっていて眠気覚まし目的とのことなので、メントール系のスースーする練り香水って感じなんだろうな。
もしかしたら、花の香りがするオシャレ目的のものは春香窯、薬効を期待したいものは不卜廬、みたいに各店のカラーがある感じなのかも。

各都市でレストランや酒場が何種類かあるのは既知の情報だったけど、こうして日用品の店にもいろいろと選択肢がありそうだとわかったのがとても嬉しい。


■ 辛炎への「ライブに必携の潤喉糖」

説明:
喉の保護に効果的。かつ甘くておいしい。

配合:
ハスの花托×2、ミント×2、ラズベリー×1

白朮のコメント:
「長生は振動に敏感なのです。そうでなければ、機会がある時は必ずライブを観に行くのですが。」


生薬入りののど飴! 日本で言う浅田飴みたいな感じだろうか。効き目がすごそう。
説明によれば「甘くておいしい」とのことだけど、ミントが結構入っているのでスースーする感じではあるんだろうな。

そして、ハスの花托がここでも登場している。
解熱作用があるとのことだったので、喉の炎症を抑えてくれる作用もあるのかもしれない。


■ 魈への「安神丸薬」

説明:
人間の薬で仙体を癒すことはできないかもしれないが、それでも白朮は作ってみたようだ。

配合:
琉璃袋×1、杏仁×1、馬尾×1、ミント×2

白朮のコメント:
「ご健康をお祈り申し上げます。」


「安神丸薬」の「安神」は中医学の用語で精神を安定させること。
業障による精神症状を抑える丸薬のようだ。

ストーリーPV「諸苦無隙」では、気絶した魈が白朮と七七に助けられるシーンがあったけど、白先生は海灯祭後も魈のことを気にかけているんだなあ。
杏仁が入っているのは、魈の好物も関係しているんだろうか?(魈のキャラボイス「好きな食べ物・杏仁豆腐」)。

他の配合成分については、今イベントで唯一馬尾が入っている。
馬尾は、不卜廬で売っているということは何かしら生薬っぽい効能がありそうだけど、今回のイベントではいまいちわからなかった。
普段は米まんじゅうに使われているから、ここでは丸薬のつなぎみたいな役割なのかな? くらいの推測しかできない。
今後何らかの形で馬尾の追加情報が欲しいな〜。

また、説明には白朮が「人間の薬で仙体を癒すことはできないかもしれない」けど作ってみた、とあるが、鍾離なら仙人の魈に効く薬を作れるようだ(鍾離のキャラボイス「魈について…」)。
鍾離から魈に渡される「連理鎮心散」という薬は、仙人仕様だからか「常人が耐えられるものではない」らしいけど、どんな薬なのだろうか?

これに関しては名前しか出てきていない薬なので、薬の名前から配合や効能などを推測できないかと考えてみた。
参考に漢方の名前の付け方を見てみると、いくつか代表的なパターンがある。

【1】生薬の名前(例:葛根湯、麦門冬湯)
【2】薬効の名前(例:平胃散、清肺湯)
【3】適応される病気の名前(例:治打撲一方、四逆散)
【4】中国思想由来の名前(例:小青竜湯、白虎加人参湯)
【5】構成生薬の数の名前(例:五苓散、八味丸)

そして、これらを複数組み合わせている命名パターンもあると思われる。
たとえば、市販薬の「防風通聖散」などは「ボウフウ(主薬の名前)」+「通聖(聖人のこと)」なので、1+4の命名パターンのようだ。
今イベントで小豆に処方された「琉璃正気散」は「琉璃百合(主薬の名前)」+「正気(人体の自然治癒力、抵抗力のこと)」なので、1+2の命名パターンかな。

鎮心」については、最初に出てきた「安神」と合わせた「鎮心安神作用」という言葉があり、これが不安由来の不眠や動悸を鎮めることを指していることから、2の「薬効」に当てはまる語だと思われる。
なので、「鎮心散」は不安を鎮める粉薬ということになりそう。
白朮も鍾離も、魈の主症状は精神症状ということで見解が一致しているようだ。

ちなみに、鎮心安神作用のある生薬には「竜骨(古代生物の化石など)」がある。
璃月の魔神任務で出てくる「仙祖の亡骸」は龍の形をしていたけど、鍾離先生は龍形態のときの自分の骨を削ってきて生薬にしてたりするのかな〜。

連理」については、調べてみてもあまり確かな情報が得られなかったのだけど、ひとまず4の中国思想と予想。
連理とは、「理」が木目を指しており、違う根から生えた木が絡まって一つになる吉兆のこと
転じて夫婦などが仲睦まじいことの例えとしてよく使われる言い回しだそうだけど、以前は『後漢書』の蔡邕という文人が母を寝ずに看病して死後もきちんと礼を尽くして弔ったという話から、深い孝心の例えであったらしい。

魈は鍾離先生に忠誠を誓っているけど、鍾離先生の方からも魈の病状を常に気にかけているよ〜ということなのかな?
正直ここはかなり無理やりな解釈という気がするので、有識者の意見が知りたい。
連理湯という実在の漢方もあるけど、それの名前の由来も気になるな。

以上のとおり、自分で調べた限りでは「連理鎮心散」は「中国思想+薬効」の命名のように思われる。
つまり配合については完全に謎だったので、「常人が耐えられるものではない」ほどの薬効が何の素材から得られているのかは不明。
元素力とか神の心とか、それこそ鍾離が龍になってるときの骨とか、何かしらの超自然的なパワーが秘められた素材を使っているのかもしれない。


■ 夜蘭への「傷薬」

説明:
止血効果のある化瘀薬。傷跡が残らない。

配合:
トカゲのしっぽ×3、琉璃百合×2

白朮のコメント:
「このような薬を必要とされているとは、どうやら常に危険と隣り合わせのようですね。」


また見慣れない単語が出てきた。
化瘀(かお / けお)薬」は中医学で「瘀血(血の巡りが悪い状態)」を解消する薬のことを指し、特に静脈系の血流改善効果があるという。
血を元気にして滞留をなくすイメージのようで、補血作用のある生薬などが入っている場合もあるとのこと。

調べてみた限りでは、「化瘀薬」とされるものは冷え性や関節痛などに処方される内服薬が多く、内臓や血管などを体の内側から治療するイメージのように思われた。
たとえば、止血と化瘀を両立する作用の漢方薬を調べると、婦人科系の不正出血に対する処方の情報が上位を占めている。

でも、この処方箋の説明には「傷跡が残らない」とあることから、どう見てもこれは塗り薬だろう。
英語版でも「Salve(軟膏)」となっている。

英語版では説明文も「Staunches bleeding.(止血をする)」となっていて、「化瘀」にあたる部分が訳出されていなかったけど、「瘀血」は外傷の場合も含む概念なんだろうか?
本国プレイヤーのイメージを聞いてみたいな〜。
トカゲと琉璃百合はそれぞれどちらが止血と化瘀に作用しているのかも気になるところ。


■ 凝光への「養生百花露」

説明:
心地よい香りで、美容にもいい。

配合:
琉璃百合×2、琉璃袋×2、清心×1

白朮のコメント:
「淹れる手順は少々複雑ですが、天権様なら用意してくれる方に事欠かないでしょう。」


「淹れる」とあるので、ハーブティーのようなものだと思われる。
ただ配合については、クセのある素材の割合が多そう。

というのも、璃月のデイリー「稽古の邪魔」で採集する「新鮮な清心」の図鑑説明には、「採れたての花がいい香りがする。お茶として淹れるというなら、少し加工する必要がある。」との記述がある。
清心は香りは良いものの、おそらく苦みが強いなどの理由で、そのままではお茶に使えないのだろう。

また、琉璃袋については、香菱のキャラクターストーリー5によれば「新鮮な琉璃袋を蜜で一晩漬け、次の日に粉状にして料理に入れるとより香りが立つ。」という性質がある。
香料としては優秀なようだけど、これも一晩漬けたり粉末にしたりと、香料にするまでの手間がかかりすぎている

したがって、白先生が言う「淹れる手順は少々複雑」というのは、もしかしたら蒸らし時間の塩梅が難しいとかもあるのかもしれないけど、主に材料の仕込みが大変ということなのではないかと予想。


■ 煙緋への「外回り用の虫よけ」

説明:
虫刺されを効果的に防ぐ。外出には欠かせない。

配合:
ミント×2、トカゲのしっぽ×1、発光髄×1、カエル×1

白朮のコメント:
「雑草の生い茂る場所へお仕事に行かれるなら、もう少し気をつけたほうがいいですよ。」


煙緋は肌見せ面積の多い服を着てるから、確かに虫よけは必須になりそう。
というか、売れっ子法律家でも外回りとか行くんだなあ。

ミントの配合割合が高いので、ハッカ油みたいな感じのスースーする塗り薬だと思われる。
また、カエルが材料に含まれているが、漢方に使われるセンソ(ガマの油)は抗炎症作用局所麻酔作用がある。
なので、ミントの匂いで蚊を寄せつけないようにしつつ、刺されてしまったあとのかゆみ止めとしても機能する薬なのかもしれない。


おわりに


以上、Webイベントの感想!
調べ物しながら書いてたらイベントが終わって1週間以上経ってしまった。

原神のごはん要素がとても好きで、薬膳も好きなので、今回のイベントは個人的にかなり楽しめた。
見慣れた素材も組み合わせ次第で薬膳料理になることを知り、璃月の人々の食生活についてまたひとつ詳しくなれた気がして嬉しい。
また、女性キャラのスキンケア事情なども垣間見えて、食事以外からもキャラたちの日常生活が活き活きと感じられてとても良かった。

これからも新しい薬剤や薬膳料理の情報が出てきたらいいな〜。
「西より届く香り」と同じような感じで、薬剤調合して塵歌壺で渡せるイベントとか来てほしい。
キャラに料理を渡すの大好きなので、今回このイベントで作ったような化粧品とかもキャラに渡してみたいな。


……などとこのブログを書いているうちに、次なるWebイベント「黄金に輝く、不思議な薬剤」が始まってしまった。

イベント期間:2023/5/11〜2023/5/20 24:59(JST)

「これからも新しい薬剤の情報が出てきたらいいな〜」とか言ってるそばからまた調合系イベント! 嬉しい!
このイベントで調合できる薬剤は、図鑑説明や実在の漢方がヒントになる感じというよりも、ファンタジーな魔法薬寄りのイメージっぽい。

なので特に考察などをする予定はないけど、こちらのイベントはヒントの出し方がちゃんと誰でもわかるようになっていてサクサク進められる感じだったので、原神プレイヤーはぜひ参加されたし。


参考サイト


■ 食と養生 - 人民中国

■ 湯、散、丸 - 田中医院

■ 生薬(中薬)四方山話 - ハル薬局

■ 瘀血について - 漢方薬局けんこう屋

■ 蟾酥(センソ)その二 - 救心製薬株式会社

■ 杏仁の美と健康 - 常春藤

■ 第15話 漢方薬の名前の由来 - 吉祥寺東方医院

■ 中国故事226 「比翼(ひよく)の鳥・連理(れんり)の枝」 - やけい

└ cf.『後漢書』より「蔡邕列伝下」原文

■ 薬草辞典 ら行 - 株式会社誠心堂薬局


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